見出し画像

マッサンの統率者通信 ~統率者レジェンズを遊びつくせ!~

1.はじめに

画像1

2011年、初めての統率者戦向けセット、「統率者2011」が発売。以来、定期的に統率者戦向けのセットが供給され、その度にユニークな統率者や、刺激的なカードが供給されていった。

これらの統率者戦向けセットは、構築済みのデッキとして発売されている。買ってすぐ統率者戦を始めたいプレイヤーには魅力的だし、初心者にレベルを合わせてゲームがしたいプレイヤーにも丁度良かった。買ったデッキを改造する楽しみもあったりと、よくできているのである。

だが、この度発売される統率者戦セットは一味違う。

画像2

「統率者レジェンズ」

この「統率者レジェンズ」、なんと、ブースターパックでありながら統率者戦で使うようなカードを多数収録した、初めてのセットである。

画像3

そのため、出てくるカードの中には統率者をサポートするカードが多数含まれており、また、統率者に指定できる伝説のクリーチャーも多数収録されている。統率者戦を遊んでいる人や、これから統率者戦を始める人にとっても魅力的なセットだろう。かくいう筆者もすでに予約している。

今回は特別編、一統率者戦プレイヤーの目線から、この「統率者レジェンズ」というセットがどういうものなのか、じっくり見ていこうではないか。

2.「共闘」を持つ多くの統率者

まず真っ先に筆者が注目したのはこれである。

画像4

統率者レジェンズに収録されている伝説のクリーチャーのうち、なんと単色統率者41枚すべてが共闘を持っているのである。

共闘とは何ぞや。ざっくり説明すると、共闘を持つもの同士を2体合わせて統率者に指定できるというシステムである。

画像5

元々は「統率者2016」で収録されたシステムであり、当時は2色の共闘持ちが15体収録されている。熱心な統率者プレイヤーの方にとっては《トリトンの英雄、トラシオス》と《織り手のティムナ》の組み合わせ、通称「トラティム」と呼ばれるデッキが有名だろう。

今回の「統率者レジェンズ」で共闘持ちが増えたため、単純計算で共闘持ちを使ったデッキは1540通り考えられる。そのため、この記事で全ての組み合わせは紹介しきれない。ただ、筆者が気になった組み合わせだけでもちょろっと挙げてみよう。

①《イクシドールの理想、アクローマ》+《クローサの心胆、カマール》

画像6

画像7

《イクシドールの理想、アクローマ》が戦場にいる状態だと、他のクリーチャーは持っている能力に応じて+1/+1修正を受けることが出来る。

後は、どれだけ能力を持つクリーチャーが用意できるかだが、それを解決できるのが《クローサの心胆、カマール》である。このカマールがいる状態だと、戦闘開始時に各クリーチャーに+3/+3の修正とトランプルを付与できる。

これだけでも上のアクローマと併せて+4/+4の修正が可能だが、更にカマールの能力を使えば土地を破壊不能、警戒を持たせた1/1のクリーチャーにできる。なので、カマールとアクローマがいれば土地を7/7破壊不能トランプル警戒で殴りつけることが出来るのである。

両者のマナが重いのがネックだが、緑という土地を伸ばしやすい色を使えるのでその辺も気にならないだろう。ストーリーで密接なかかわりがあった二人を一度に使えるというのも面白いだろう。

②《パワーストーンの技師、グレイシャン》+《ゴブリンの武器職人、トッゴ》

画像8

画像9

《パワーストーンの技師、グレイシャン》はアンタップ状態のアーティファクトを好きなだけタップさせて、タップさせた分ライブラリーの上からめくり、1枚を手札に、残りを墓地に送ることが出来る。

かなり強力な能力だが、いかんせん能力のタネになるアーティファクトを用意してやる必要がある。そこで役に立つのがこの《ゴブリンの武器職人、トッゴ》である。トッゴがいる状態だと、土地が出るたびにアーティファクトである岩トークンを生成することが出来る。

要はトッゴをさっさと出してモリモリ岩を作ってやり、グレイシャンを出して能力を使ってやるという算段である。

画像10

また、グレイシャンを使う都合上、アーティファクトを多く採用するはずである。グレイシャンの能力を使えば多数のカードが墓地に行くが、墓地からアーティファクトを返すカードは赤に多いのだ。お互いにうまくカバーしあっているのである。

他にも様々な組み合わせが考えられるはずだ。興味のある読者の方々は色々試してみてほしい。

3.新能力「再演」

次に見ていきたいのはこれだ。

画像11

今回の「統率者レジェンズ」で新たに収録された能力、「再演」である。

この「再演」、どういう能力かを書き下すと以下のようになる。

再演X(X,あなたの墓地からこのカードを追放する:各対戦相手につきそれぞれ、このカードのコピーであり、このターン可能ならそのプレイヤーを攻撃するトークンを1体生成する。それらは速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、それらを生贄にささげる。この能力はソーサリーとしてのみ起動できる。)

要は墓地にある再演持ちのクリーチャーを指定のコストを支払うことで追放し、コピーであるトークンを生成することが出来る能力である。この「再演」、出てくるコピートークンの数は対戦相手の数に依存するので、1対1だと出てくるトークンは1体だけだが、統率者戦では4人で遊ぶので、出てくるトークンは3体だ。

また、ターンの終了時にトークンは生贄にささげられる。そのためだろうか、多くの再演持ちクリーチャーが死亡したときに何らかの能力を誘発させるのだ。再演を使うと統率者戦なら能力が3倍に誘発するのでかなり美味しいだろう。

なお、トークンは必ず可能なら各対戦相手を攻撃する必要がある。そのため、一方的に相手のブロッカーに討ち取られる可能性があるかもしれないが、上のことを考えてやれば特に問題なく運用できる。

多人数前提の統率者戦ならではの能力でありながら、1対1のリミテッドでもうまく運用できそうな、かなり面白そうな能力ではある。

さて、前置きはここまでだ。ここからは、いかにしてこの再演能力を悪用するか考えてみよう。

①再演で出てきたトークンの能力を倍にする

まずはこれだ。先ほども言ったように、再演を持ったクリーチャーはほとんどが死亡時に誘発する能力、あるいは場に出たときに誘発する能力を持っている。これを倍にしてやれば、再演時に誘発する能力は通常時の6倍誘発する。

画像12

パーマネントが場に出た際に誘発する能力を倍にするものなら《冒涜されたもの、ヤロク》や《パンハモニコン》などが考えられる。特に前者は統率者に指定できるため、かなり相性はいいだろう。

画像13

また、死亡時に誘発を倍にするものなら《テイサ・カルロフ》が適任だろう。こちらも先ほど紹介したヤロク同様、統率者に指定できるという強みがある。

②トークンを増やす

この再演能力、墓地からクリーチャーを追放してコピートークンを生成する能力である。となれば、再演時に出てくるトークンを倍にすれば、トークンが6体出てくるため、再演時に誘発する能力は6倍になる。

画像14

トークンを倍にするカードで一番わかりやすいものは、統率者戦で大人気のあのカード、《倍増の季節》だろう。色々倍にするトンデモカードだが、なんと生成するトークンも倍になる。こいつを出して再演能力を使えば、倍の6体のトークンが生成されるというわけだ。

画像15

ただトークンを倍にするだけなら《選定された行進》や《再度の行進》など、他の選択肢も存在する。色々試してみるといいだろう。

画像16

なお、このトークンを増やす戦略と非常に相性がいいのがこの《ファイレクシアの三重体》だろう。死亡時に3/3のトークンを3体ばらまくのだが、上の《倍増の季節》があれば、再演時にまずコピートークンが6体出てくる。で、トークンが死亡した際、1体につきトークンが倍の6体。色々計算した結果、9/9のクリーチャー1体から3/3トークンが36体出てくる計算だ。

4.帰ってきたあんな能力、こんなメカニズム

さて、「統率者レジェンズ」は人気の高い様々な能力やメカニズムを持ったカードが収録されている。それぞれ見ていこう。

まずは、統率者という多人数戦でこそ輝く、このメカニズムだ。

画像17

「統治者」

この統治者を得たプレイヤーは、終了ステップに追加のカードが引ける。ただこの統治者、他のプレイヤーから戦闘ダメージを受けた場合、その戦闘ダメージを与えたプレイヤーに統治者が渡る。

多人数で遊ぶ統率者戦だからこそ、こういうプレイヤー同士の殴り合いを誘発させるシステムはかなり面白いだろう。

画像18

で、今回の「統率者レジェンズ」では、統治者を得ている場合、更にボーナスを得られるカードが多数収録されている。自分のパーマネントに呪禁を持たせたり破壊不能を持たせたりと様々なカードが存在する。

中でもおススメなのがこのサイクル、「宮殿サイクル」である。

画像19

場に出た際に統治者の権利を得ることが出来、統治者である限り自分のアップキープ時に様々な恩恵を得られるカードである。更に、自分が統治者でなくなっても、ちとしょぼくはなるが能力自体は誘発し続ける。

各色1枚ずつ用意されているので、それぞれ自分に合ったものを使うといいだろう。

続いては、その派手さからファンが多いこの能力である。

画像20

「続唱」

唱えた際、ライブラリーの上からカードをめくっていき、唱えたカードのコストより低いものがめくれた場合、それをノーコストで唱えられるという能力である。更にめくれたカードが続唱を持っている場合、更に続唱が誘発する。

カード1枚で最低2枚分のアドバンテージを得ていると考えられる。何が出てくるか分からないバクチ要素があるのも面白いだろう。

画像22

今回の「統率者レジェンズ」では、様々な続唱を持ったカードが収録されている。色々使ってみるのもいいだろう。中には続唱×4というバカの極みみたいなカードも収録されている。

画像21

更に、今回は、統率者に続唱を持たせるカードも存在する。続唱に特化した統率者もいるので、組み合わせて使ってみるのも面白い。

5.サンプルデッキ

というわけで、様々なカードが収録される「統率者レジェンズ」、今回はこの収録されるカードを使ってデッキを組んでみた。以下がそのデッキリストである。

画像23

せっかくなので今回は大々的にフィーチャーされた「共闘」を使ってみた。片割れに選んだのは《船壊し、ダーゴ》である。

この《船壊し、ダーゴ》、7マナとかなり重いのだが、唱えるターン中に生贄にささげたアーティファクトとクリーチャーの分コストが2マナさがる。また、唱えるに際し任意のアーティファクトやクリーチャーを生贄にささげられるので、実質赤マナとクリーチャーかアーティファクトが3つあれば唱えられる。

「コストが下がる」これを聞いて嫌な予感がしたそこのあなたは大体正しい。大体このコストが下がる方法を悪用することで、とんでもないことが可能になるからである。で、お察しの通りこの《船壊し、ダーゴ》も例外ではない。

ちょっと考えてみよう。《船壊し、ダーゴ》が死亡すると、統率領域に戻してコストが2増える。この時増える2マナのコストも、他のアーティファクトやクリーチャーを生贄にささげても軽減されるのだ。

つまり、こういう動きが可能になるのだ。

①アーティファクトやクリーチャーを3枚生贄にささげて《船壊し、ダーゴ》をキャスト
②《ファイレクシアの供儀台》で《船壊し、ダーゴ》を生贄にささげる
③統率領域に《船壊し、ダーゴ》を戻す。この時点で次にキャストするために必要なマナは赤マナだけ
④《ファイレクシアの供儀台》から出した赤マナで《船壊し、ダーゴ》をキャスト
⑤②に戻る

画像24

そう、クリーチャーを生贄にささげることで色マナを捻出できるアーティファクト、《ファイレクシアの供儀台》があれば、延々と《船壊し、ダーゴ》を統率領域から唱え続けることが出来るのだ。

画像25

延々と場と統率領域をグルグル出来るので、クリーチャーが場に出たときにダメージを与えるカードなんかとは相性がいいだろう。《鍛冶の神、パーフォロス》や《前哨地の包囲》が良い相方だ。

更に、この統率領域から延々と唱え続けるシステム、かなり相性がいい統率者が同じ共闘持ちでいるのである。

画像26

同じく「統率者レジェンズ」で収録された《三度の再誕、ジェスカ》である。

このプレインズウォーカー、扱いがかなり特殊であり、統率領域から統率者を唱えた回数、忠誠度カウンターが乗る。

で、このジェスカ、クリーチャー、プレインズウォーカー、そしてプレイヤーを最大3つ対象とし、忠誠度カウンターを取り除いた分のダメージを与える。

つまり、アホみたいな話だが、上の《船壊し、ダーゴ》のサイクルを1億回繰り返し、3マナ捻出して《三度の再誕、ジェスカ》を唱えると、カウンターが1億個乗った状態でジェスカを出せる。そうしたら、乗ったカウンターを好きなだけ取り除いて対戦相手に致死量のダメージを与えることが出来る。

もうお分かりだろう、この《船壊し、ダーゴ》と《三度の再誕、ジェスカ》を組み合わせれば、あっという間に相手をまとめてKOすることが出来るのだ。

画像27

必要なものは上の統率者以外には《ファイレクシアの供儀台》とダーゴに食わせるアーティファクトかクリーチャー3枚だけ。実は赤は限定的ではあるもののサーチ手段が意外に多い。これを駆使して必須パーツを探していこう。

6.終わりに

初の新セットレビュー記事、いかがだっただろうか。

画像28

今回紹介したカード以外にも「統率者レジェンズ」には魅力的なカードが多く含まれている。中にはレガシーやヴィンテージといった構築フォーマットでも使われるようなカードもあるだろう。

画像29

また、統率者戦で使われる往年の名カードも多数再録されている。今まで使いたかったあんなカードやこんなカードを手に入れるチャンスである。

そんな魅力的なセット「統率者レジェンズ」、発売は11/20である。この記事を公開したタイミングでは各店舗でプレリリースが行われていることだろう。是非、お近くの店舗でプレリリースに参加してみてはいかがだろうか。

いいなと思ったら応援しよう!

マッサン
よかったらサポートして頂けると幸いです。MTGアリーナの活動などに充てたいと思います。