マッサンのガバガバ静岡反省文 ~なぜ私はエンド時に《地底街の密告人》を起動したのか~
10/12~13、ツインメッセ静岡。この日、この会場に数多くのMTGプレイヤーたちが詰めかけていた。
目的はそう、プレイヤーズコンベンション静岡。地域予選ファイナルズを始めとした数多くのイベントが目白押しであり、特にレガシーを主にプレイする筆者と、その周りの人たちにとっては、エターナルウィークエンド(EWE)が主なイベントだったと記憶している。
筆者もMTGプレイヤーの端くれ。もちろん静岡に足を運んでいた。今回は筆者が静岡で何をしていたのかをここにまとめておこうと思う。暇つぶしに読んでいただけられれば幸いだ。
①8月 ~モチベゼロ~
確か2ヶ月ほど前だろうか。EWEのスケジュールが発表された際、筆者の周りは俄かに浮足立っていた。無理もない。1年に1度、日本はおろか海外からも人が集まりレガシーの腕を競い合うイベントの日である。腕の上手い下手はあれど、武者震いをするのは当たり前である。
では、当の筆者はというと…。
やる気の欠片もなかったのである。
…お願いだから石を投げないでほしい。これには一応理由がある。
イベント運営という立場でレガシーに関わり続けてはいるものの、実は筆者はもうロクにレガシーのイベントに参加していない。そしてこのEWE、恐ろしいことにラウンドが10回戦と超長丁場のイベントなのである。
そう、「EWEは普段イベントに出ない人間が参加するにはあまりにヘビーすぎる。」というのが、筆者が参加をためらった理由である。
というわけでEWEは見送る形となったが…実はこのイベント、かなりカジュアルにレガシーを遊ぶことが出来るイベントもご用意されている。それが「チームレガシー」。チームメイト3人とタッグを組み、互いに協力しながら遊ぶゲームである。
筆者も毎回これに参加しており、当然周囲も参加するよね?と言ってきた。しかし、ここで筆者が返した答えは…。
「え?やだよ。」
…お願いだから石を投げないでほしい。これにも一応理由がある。それもクソしょうもない理由が。
何のことはない。前回常滑で行われたチームレガシーでボコボコに負けてやる気が雲散霧消していたのである。
加えて上に書いた通り、陛下くんがもうすでにPT出場が決まっており1日目ヒマであるとの話もあり、じゃあ寿司でも食いに行こうぜと誘ったところ陛下君は快諾。更に間の悪いことに、ぶんまる君から「静岡?いいゴルフ場あるよ」という提案が。
じゃあもうモチベーションもクソもないしPCのイベント出る必要ねえな?会場行ってお世話になった人たちに挨拶して寿司食ってゴルフでいいじゃん。
この世の終わりのようなクソモチベの人間が生まれ落ちた瞬間である。
②9月 ~天罰~
が、この堕落しきった筆者に天誅が下る。9月、急に陛下君からこんな話が降ってくる。
「俺本戦出るわ。寿司は無しで。」
筆者と違ってモチベーションに満ち溢れている陛下君が、堕落に身を任せ寿司を貪ることをよしとするはずがない。聞けば「今のパイオニア青白が強くて俺のホームグラウンドかもしれん。優勝も視野。」とのこと。そして続けざまにぶんまる君からこんなコメントが。
「ゴルフ?1日目しか時間がないですね。」
…そう、ぽっかりと2日目に穴が生まれたのである。奇しくもこの時、身内のチームレガシーに手を挙げていたのは5人、あと1人いればチームがちょうど2個組める状況である。
初日にゴルフ。2日目にチームレガシー。これで筆者の欲求とコミュニティの欲求がピッタリと解決する。身内と寿司が食いたいという筆者の欲望を半分削りながら。
絶叫。脱糞。筆者は泣き叫び怒り狂いながら、チームレガシーの参加に手を挙げた。
③10月 ~The Spy~
断腸の思いでチームレガシー参加を決意。とはいえ…デッキがない。いや正確にはあるのだが、よりによってバントナドゥというかなり時間と脳のリソースを割くデッキしか手元にない。前述した通り、常滑でデルバーを握ってタコ負けしたのでデルバーやそれに準ずるテンポデッキを握る気も起きない。というかモチベはカスのままなのでまともなデッキを握る気が1ミリも起きない。
さてどうするか…と思いつつ日々を過ごしていると、こんなデッキが目に入ってきた。
「The Spy」。何らかの手段で《欄干のスパイ》か《地底街の密告者》を盤面に叩きつけセルフミル。後は墓地に落ちた《タッサの神託者》を釣り上げるなりなんなりして勝利するという、レガシー特有の高速オールインコンボデッキである。
上振れしたときのブン回りは相手に「俺が悪いんか?」と思わせるほどのとんでもないものである一方で、負け方も「初手にパーツが来なかった」「初動を《意志の力》などで弾かれてそのまま負けた」というものも多い。
つまり言い換えれば、「その日の気分で勝つし、負ければ俺の日じゃないと言い訳が可能。言い換えれば勝てば俺のおかげで負けても俺は悪くない。運が悪かっただけ。It's not my fault。」という類のデッキである。
「やる気皆無なんだしこれでよくない?」
思考がナマケモノと化した筆者は、迷うことなくこのデッキに手を伸ばした。「こんな運ゲーにチームメイトを巻き込むのか」「そんな理由で握るのはThe Spyをやっている他の人に失礼なんじゃないのか」「やる気がないんだったら出てけコラ!」といった良心の発する警鐘は、鈍化した脳みそにまったく響かなかった。
④10/13 ~チームレガシー本戦~
というわけで迎えたチームレガシー本戦。チームメイトに「スニークショー」を握るマッツ兄貴と「赤単プリズン」を握るリク君を両サイドに加え、相変わらず毛ほどもモチベがないまま出陣。何ならロクに寝れず朝飯も食ってないのでもはや人としての形を留めていなかった可能性もある。
ここからは試合をダイジェストで振り返っていこう。果たしてこのモチベが怪しい人間は、勝ち切ることが出来るのだろうか?
1回戦 UBテンポ
G1 勝ち
なんか初動が弾かれたけど2発目が普通に通って勝った記憶があります(記憶喪失)
G2 負け
2ゲーム目は《思考囲い》で《欄干のスパイ》を抜かれ、そのまま《ネザーゴイフ》が走り出し終了。負け方をよく覚えていないので多分運が悪かっただけです。俺のせいじゃない。
G3 負け
発目の《地底街の密告者》が《意志の力》で弾かれて《ネザーゴイフ》着地。そのままドカドカ殴られ続けてライフが危険水準へ。しかし、何とかマナを溜めて《欄干のスパイ》をプレイ!お相手の《目くらまし》には《猿人の指導霊》!まだ戦える!
お相手「じゃあそいつの誘発に《記憶への放逐》撃ちますね~。」
筆者「投了します…。」
ちなみにこのゲーム、1ターン目に土地+《水連の花びら》を展開。その上で《暗黒の儀式》を唱えて《地底街の密告者》をプレイしたのだが、何故か《水連の花びら》からマナを捻出しようとするやる気がないムーブをブチかます。
流石に目に余ったか、横にいたマッツ兄貴から「(使い切りのマナソースじゃなくて土地から)マナを出しな」と指摘を受けるものの、カッコ内の言葉が発せられておらず、筆者は「(トラブルの元になるからちゃんと使った《水連の花びら》は墓地において)マナを出しな」と解釈。「了解」の声と共に墓地にスーっと移動する《水連の花びら》。兄貴は顔を覆った。
2回戦 スニークショー
G1 勝ち
確か《欄干のスパイ》が通って勝ちました!(忘却)
G2 負け
今度はしっかりと打消しを構えられ、その上で《騙し討ち》が着地。そして飛び出る《偉大なる統一者、アトラクサ》。駆けつける《引き裂かれし永劫、エムラクール》。ありがとうございました。
G3 負け
《思考囲い》で打ち消しを抜いて様子を見ていたところ、お相手《実物提示教育》をプレイ。そのまま《偉大なる統一者、アトラクサ》を展開し、《意志の力》と《思案》を手札に加える。
筆者が展開したカードは《地底街の密告人》。墓地対策がないことは《思考囲い》で分かっているので、これを自分のターンに起動し、墓地から《ナルコメーバ》を呼び戻し、《陰謀団式療法》をプレイ。手札の打ち消しを抜き去り《戦慄の復活》をプレイして勝利する…はずだった。
しかし、ターンを貰う前、急に脳内で変な声が響いたのである。
「エンド時に《地底街の密告者》を起動した方がよくない?」
勿体ないもクソもないのだが、やる気が皆無、睡眠時間不足、オマケに碌に朝飯も食ってないという事もあったのか、何故かこの状況で「エンド時に起動して次のターンで《陰謀団式療法》を撃った方がマナ1マナ多く使えるよね?」と、よくわからない考えが頭をよぎる。そして…。
「エンドステップに《地底街の密告人》を起動します。」
「《ナルコメーバ》4枚が盤面に出ま…あ゛(絶句)。」
そう、本当に信じがたいことで、今こうやって記事に書いていても本当に理解に苦しむのだが、ここに至るまで、全く何の疑いもなく、上記の《陰謀団式療法》も《戦慄の復活》もインスタントタイミングで撃てると誤認していたのである。
だがまだ負けたわけではない。一応《記憶の旅》が撃てる。これでパイルに《再活性》を積めばまだ全然…相手《意志の力》さっき手札に加えたよな…。
こうなると筆者にできることはただ一つ。腕を組み微笑み、ゆったりと構えて「俺は《否定の契約》を持っている(持っていない)があなたは?撃つの?《意志の力》撃つの?へー?通ると思うそれ?」というメッセージを無言で訴えかけるしかない。
自信満々の筆者に向かって長考するお相手、うなりつつ相談しつつ、彼が出した結論は…。
お相手「《意志の力》を《記憶の旅》へプレイします。」
筆者「ごめんなさい(投了)。」
ちなみに、お相手のチームのリーダーはどうやら弊イベント「おうちでレガシー」をご存じだったらしく、色々お話を伺えた。普段から配信をちょこちょこ見てくださっていたみたいで、こういうところで自分のまいた種が芽吹いているのを見るのは嬉しいものである。
3回戦 食物連鎖(しみさん)
筆者「ヒサシブリダナ~おうち義勇軍の皆様。何でここにいると思う?」
マッツ兄貴「お前がさっきのゲームで異常な判断をしたせいだぞ。」
G1 勝ち
《空を放浪するもの、ヨーリオン》が入ってるデッキが都合よく《意志の力》引いてこれるわけないだろ!→初動《意志の力》で打ち消されるもそのあとVトリガーから片翼の天使でKO。
G2 勝ち
相手がゆっくり目のデッキと判断した+なんか土地が2枚で止まったので手札が相当に濃厚なものと判断。ひとまず《思考囲い》で手札を確認すると《渦まく知識》《激しい叱責》2枚と超絶濃厚な手札。
裏を返せばこれ《渦まく知識》抜けば勝てるんじゃね?と思い《渦まく知識》をハンデス。そしてなんか攻めるきっかけが欲しいな~と思っていたところに都合よく《否定の契約》ドロー。コンボ始動して撃ち込んできた《激しい叱責》を弾いて勝ち。これが本気のスパイ、わかる?
ちなみにこの方、よくおうちでレガシーにてアルーレンをプレイされている方なのだが、この後リク君とフリプしてたところを横で見てたら《食物連鎖》が飛び出して、ここでようやく「あ〜食物連鎖か!」と気づく。
なんで《意志の力》のコストで《霧虚ろのグリフィン》が追放されなかった時に気づかなかったのかは永遠の謎です。(本気で最近のアルーレンはグリフィン入んねやくらいに思ってた。)
3回戦延長戦 ジェスカイ石鍛冶(ちよ兄)
時間が余ったので義勇軍のちよ兄からお誘いいただきフリプ。えっこのデッキとフリプ?いいんスかこれ。
G1 勝ち
なんやかんやあって《欄干のスパイ》投下。降りてこないマッドボールくらいの不快感を与えたと思います。
G2 勝ち
相手ゆっくり目のデッキだな~ということで万全の状態で仕掛けるべく《思考囲い》で前方確認。すると《記憶への放逐》2枚とまあ濃厚な手札。
じゃけん誘発でコンボを始動しない方法を取りましょうね~と《地底街の密告人》を展開。そのままコンボ始動。《陰謀団式療法》で《記憶への放逐》を抜き去り決着。この辺からこのデッキの味に気付き始める。
4戦目 黒単
G1 勝ち
ダブルマリガンから《地底街の密告者》を展開したら《不快な群れ》で対処されていや~キツイっすという状況に。
が、ここで引いたカードがよりによって《再活性》。ニッコニコの状況で《地底街の密告者》を釣り上げて勝利。日ごろの行いですね。
G2 負け
ほぼテンパイのハンドをキープするも、お相手《暗黒の儀式》から《思考囲い》。さすがにコンボの起点をつぶされるか?と思いきや、抜かれるのは《残響する真実》。
え?許された?筆者が安堵するのもつかの間、相手が浮きマナで展開したのはよりによってコンボ始動が不能になる《墓掘りの檻》。
絶叫しながら《残響する真実》(と手札から展開するための《タッサの神託者》)を引きに行くも都合よく引けるはずもなく。結局《ネクロドミナンス》から無茶苦茶されて終了。俺悪くないもんね!
G3 勝ち
マリガンしつつ2ターン目に仕掛けられるハンドをキープしたので何もないことを祈る。1ターン目相手が出してきたのは《古の館底種》。これなら勝てる!と判断し、《欄干のスパイ》を展開してコンボ始動し勝利。
が、実はこの状況、下手したら死んでいたらしく、なんと相手の手札4枚がピッチスペル2枚。うち1枚が《魂の撃ち込み》という超絶濃厚ハンド。全部ツッパしたら15点ライフが飛ぶというもので、もし土地を2枚ボルトインしていたら…と思うとゾッとする。
⑤終わりに
以上、2勝2敗(フリプ合わせると3勝2敗)と初体験(+地の底まで落ち込んでいたモチベ)にしては中々悪くないんじゃないか?という結果を残すことができた。
なお、この世の終わりみたいな動機で握ったこのThe Spyだが、
と、この静岡だけで終わらせるにはもったいない味を味わうことができたため、しばらくMOで擦ろうと思う。
また、筆者が主催するこちらのイベントにおいても、筆者はThe Spyを持ちこんで参加予定だ。皆様のご参加、お待ちしている。