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マッサンのブロール構築記 Season2 ㉞騒々しい写本、コーディ

1.はじめに

(おことわり)
今回の記事は、通常のブロールではなく、ヒストリックブロールの記事となっております。その点、ご了承ください。

人というのは、年月を経るごとに大きく変わるものである。彼が愛する人を救うために戦ったのは、もう22年前になるだろうか。

「なにっ!ジェシカがさらわれた?!」

悪の組織マッドギアにさらわれた恋人、ジェシカを救うため、ジェシカの父親とたまたま居候していた友人と共に、彼は立ち上がった。

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誰の話かもうお分かりだろう。カプコン名作ベルトスクロールアクションゲーム、「ファイナルファイト」の主人公、コーディーである。ゲームではこの後紆余曲折を経て、最終的にマッドギアは壊滅。救い出したジェシカと彼は結ばれた。めでたしめでたしである。

…めでたしめでたしのはずだったのだが…それから6年後、再びゲームに登場した彼を見て、多くの人は度肝を抜かれることになる。コチラが、1995年の格闘ゲーム「ストリートファイターZERO3」でお目見えされた彼である。

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囚人服…?手枷…?どういうことなの…?

実はコーディー、先述のマッドギア壊滅後の平和な街になじむことが出来ず、ただただ喧嘩に明け暮れることになる。結果、心身ともにすさんだ挙句、刑務所にブチこまれることになる。彼女のジェシカには、その際に彼を見限り去ることになってしまった。何とも悲しい話である。

ちなみに彼、収監された後も闘争を求め、刑務所の厚さ50㎝のコンクリ壁を破壊してストリートファイトに繰り出すというバキのスペックのような生活を送ることになる。

まあ、脱走しながらも長らく刑に服していた彼だが、実はこの度、ついに恩赦が出ることになった。実に16年ぶりに、新鮮なシャバの空気を吸えるようになったのである。

それではご覧いただこう。コチラが、出所後のコーディー君である。

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《騒々しい写本、コーディ》

…コーディー君、なんかすごい変わった姿になってない?もはや人としての形を成してないような気もするのだが筆者の気のせいだろうか。

彼の出所後の仕事は、どうやら大学の事務員というか職員というか、そんな感じである。色んな大学のガイダンスを担当しており、早くも大学のマスコットとして活躍しているそうだ。よかったよかった。

というわけで、本日は出所祝い。闘争を愛してやまない彼を、ブロールというルール無用の戦いの場に連れていくことにしよう。ちなみに、ブロール(Brawl)とは「殴り合い」「乱闘」という意味。まさに彼にピッタリのフォーマットだろう。

2.こいつで何ができるのか

さて、そんなわんぱくなコーディー君。一体どんなスペックなのだろうか?確認してみよう。

《騒々しい写本、コーディ》
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伝説のアーティファクト・クリーチャー ― - 構築物
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あなたはパーマネント・呪文を唱えられない。
4, T:WUBRGを加える。このターンにあなたが次に呪文を唱えたとき、マナ総量がそれより小さくインスタントやソーサリーであるカード1枚が追放されるまで、あなたのライブラリーの一番上から1枚ずつ追放していく。ターン終了時まで、あなたはそのカードをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。これにより追放された、他のすべてのカードをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。

…コーディー君?キミなんかパワー低くない?3マナ1/4てどういうことなんすか?いや待て、能力でムキムキに強化されるに違いない。そうに決まってる。能力をちゃんと確認しよう。

まず、コーディー君最大の特徴として、コーディーがいるとパーマネント呪文を唱えられなくなる。当然クリーチャーはダメだし、アーティファクトやエンチャントもNG。強力なプレインズウォーカーもダメである。つまり、唱えられるのはインスタントかソーサリーに限定される。

ただ、このデメリットを跳ね返す強力な能力がある。4マナ適当に払ってコーディーをタップすると、白青黒赤緑1マナずつ、計5マナ供給される。そして、この能力を起動後にインスタントかソーサリーを唱えると、ライブラリーの上から唱えた呪文のマナコスト以下のインスタントかソーサリーがめくれるまでめくっていき、ヒットした呪文をマナコスト無しで唱えることが可能となる。

またこのコーディー、全色のマナを供給可能となるので、カテゴリー的には「5色統率者」に分類される。つまり、古今東西、ありとあらゆるインスタントやソーサリーが使用可能となる。拳に頼らずサイキックで戦うコーディー、お前はベガかローズかなんかか。

3.こいつでどうやって勝つのか

さて、このコーディー君の能力をまとめると以下のようになる。

・5色統率者
・パーマネントを唱えられない
・マナを出して追加でインスタントやソーサリーをプレイ可能

筆者が記事にするうえで苦手とする「5色統率者」なのだが、今回に限っては事情が大きく異なる。なぜなら他の統率者と異なり、「パーマネントを唱えることが出来ない」という大きな制約を課せられているためである。

そのため、ざっくりとした方針を立てると、「インスタントやソーサリーを駆使し、莫大なアドバンテージを稼ぎながら圧殺する」という風になるだろう。

…なのだがこの方針、大きな問題を抱えている。そう、「インスタントやソーサリーだけでは、相手を倒しきれない」という問題である。強力な呪文が使えた昔ならいざ知らず、昨今のMTGはパーマネントで相手を殴りに行く前提でゲームバランスが調整されている。そのため、スタンダード基準ではかなり難しい戦いを強いられてしまうのだ。

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白状すると、筆者もブロールでコーディーを使って色々トライしてみた。しかし、莫大なアドバンテージを得ることはできても、勝ちにつながらないケースが多々あり、「こりゃちょっとブロールで遊ぶには限界がある」と判断。お蔵入りになっていた統率者なのである。

だが、これはあくまで「スタンダード基準のカードプールで遊ぶ」という前提のブロールであるから起こりえることである。かなり荒業だが、カードプールを拡張し、ヒストリック基準のカードプールで遊ぶとどうなるだろうか?

そう、ただ今(※記事執筆時点)絶賛イベントが行われている、ヒストリックブロールである。

…と意気込んでみたものの、やはりキツそうな印象を受ける。ヒストリックで用いることのできるカードは、基本的に「アモンケット」「カラデシュ」ブロックの一部のカード、そして「イクサラン」ブロックから現在に至るまでのすべてのカードである。

そこに「ヒストリックリマスター」という形で一部カードが追加されてはいるものの、基本的には現代MTGのカードで遊ぶことになる。やはり無理があるんじゃないだろうか?

…そう思っていたのだが、実はヒストリック、今回の新セット「ストリクスヘイヴン」の参入により、事情が大きく異なっているのをご存じだろうか?

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「ミスティカルアーカイブ」

「スタンダードでは使えないよ」と制限を課した上で再録した、往年の名カード達である。これらのカード、スタンダードで使えないだけなので、ヒストリックではバッチリ使えるのである。つまり、昔猛威を振るったあんなカードやこんなカード(※一部使用不可)が、ヒストリックブロールで思いのままに操れるというわけだ。

さらにこのミスティカルアーカイブ、なんとすべてがインスタントとソーサリーである。もうお分かりだろう。コーディーを使うことで、ミスティカルアーカイブとして収録された極悪非道なインスタントやソーサリーが思いのまま使えるのである。

というわけで、今回の方針、改めてこう設定できる。

「コーディーを使って、ミスティカルアーカイブを思う存分使い倒す」

これらの呪文、設定上は大学内の蔵書に記録されている呪文だそうだ。蔵書を持ち歩くコーディー君にピッタリの呪文だろう。筆者の知ってるコーディーとかなりかけ離れているがもはや何も言うまい。

4.どうやってデッキを組むか

というわけで、実際にどういうカードが使えるか、具体例を確認していこう。

①実録!これがミスティカルアーカイブの「力」だ!

それではご覧いただこう。コチラが、ミスティカルアーカイブとして収録された呪文の数々である。まずはジャブから行こう。

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《時間のねじれ》
3UU
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、このターンに続いて追加の1ターンを行う。

5マナで追加ターンを得る。シンプルながら強力無比なカードである。

ただ、何も考えないで撃つと、5マナで追加ドローと追加で土地を置くことをしているに過ぎない。これを使うからには、何らかの工夫がほしい所である。具体的には、コーディーの能力を起動し、ライブラリーの中の4マナの呪文にアクセスできるようにするなどが考えられるだろう。まあ、損はしないのでボンボン撃っていい呪文である。

次は、太古の昔からよみがえったトンデモソーサリーである。

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《精神の願望》
4UU
ソーサリー
あなたのライブラリーを切り直す。その後あなたのライブラリーの一番上のカードを追放する。ターン終了時まで、あなたはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにこれより前に唱えられた呪文1つにつきこれを1回コピーする。)

ライブラリートップをめくり、それのマナコストをタダで唱えることが可能なソーサリーである。デッキトップの呪文が10マナの《全知》だろうが何だろうがタダで唱えられるため、これだけでも強力に聞こえる。

だが、この呪文の真の恐ろしさはこれではない。この呪文の真の恐ろしさ、それがこの、最後にしれっと書かれた「ストーム」である。

ストームとは何ぞや。ざっくり説明すると、これを唱える前に唱えていた呪文の数だけこれをコピーするというものである。仮に《精神の願望》を唱える前に呪文を3回唱えていれば、3回分のコピーが生成され、4枚分タダで唱えることが可能となるのである。さすがにムチャクチャである。

唯一の難点は、「いかにして呪文を前もって唱えておくか?」という点である。ストームがいかに強力な能力とは言え、6マナのマナコストはやはり重い。普通に使うとなると、せいぜい1~2回の誘発が限界だろう。

だが、なんとこのミスティカルアーカイブ、これと相性のいい呪文まで完備しているのである。それがコチラ。

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《ミジックスの熟達》
3R
ソーサリー
あなたの墓地にあるインスタント・カード1枚かソーサリー・カード1枚を対象とし、それを追放する。これにより追放されたカードをコピーする。あなたはそのコピーをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。ミジックスの熟達を追放する。
超過5RRR(あなたはこの呪文をこれの超過コストで唱えてもよい。そうしたなら、ミジックスの熟達はあなたの墓地にある各インスタント・カードやソーサリー・カードをそれぞれ追放する。これにより追放された各カードにつき、それをコピーする。あなたはそれらのコピーをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。ミジックスの熟達を追放する。)

このカード、4マナ払って墓地のインスタントかソーサリーを追放し、そのコピーをタダで唱えることが可能なカードである。が、コイツが真価を発揮するのは、赤3マナ含む8マナ払い、「超過」モードで唱えたときである。

この「超過」、テキスト内の「対象」を「すべて」に置き換える能力を持っており、今回の例で行くと、墓地に落ちているすべてのインスタントとソーサリーのコピーを唱えることが出来ると書いているのである。で、当然だがこれらのコピーは唱えられているので、《精神の願望》のストームも問題なく誘発するのである。

つまり、どういうことかというと

①墓地にバカスカインスタントとソーサリー、および《精神の願望》をため込む
②《ミジックスの熟達》を超過で唱える
墓地から大量のインスタントとソーサリー、および《精神の願望》のコピーが唱えられる
④《精神の願望》解決、ライブラリーの上からさらに呪文が唱えられる

という、とんでもねえ数の呪文を相手にぶつけるコンボが可能なのである。

で、この墓地にためる呪文だが、正直何を持ってきてもOKだ。マナを無視してバカでかい呪文をぶつけてもよし、アドバンテージを稼ぐような呪文を唱えてもよしと、あたかもストZERO3におけるオリコンよろしく、自分で好きな技(ソーサリーやインスタント)をコンボに組み込むことが出来るのである。

ただ、これだけでは呪文を大量に唱えるだけなので、当然だが勝ちにつながらない。せっかくなのでコンボの〆も用意しておこう。このカードなんかはどうだろうか。

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苦悶の触手
2BB
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは2点のライフを失い、あなたは2点のライフを得る。
ストーム(あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンにそれより前に唱えた呪文1つにつきそれを1回コピーする。あなたはそのコピーの新たな対象を選んでもよい。)

パッと見ると4マナ2点ドレイン。だが、こいつも《精神の願望》同様ストームがついている。つまり、ありったけの呪文を上の工程で稼いだ後、これで相手の生気を吸い取れば勝ちとなる。具体的には、13回ほど呪文を唱えていればきっちり吸い取れるだろう。ちょっと遠く感じるかもしれないが、コンボとはそれを完遂できるようになって初めてコンボなのである。

5.サンプルデッキ

というわけで、コチラがコーディーで暴れ回るために組んだデッキである。ヒストリックブロールを遊ぶ機会は非常に限られているが、もし興味があればぜひ以下のリストをダウンロードして使ってほしい。

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(画像クリックでMTGGoldfishに飛びます)

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先にも述べたが、とにかく墓地にソーサリーやインスタントを放り込まないとコンボまで持っていけないので、《安堵の再会》や《胸躍る可能性》など、「カードを捨てて引く」呪文を大量に採用している。これで手札の呪文を墓地に送りながらライブラリーを掘り進め、《ミジックスの熟達》まで到達するのが基本的な流れとなる。

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また、8マナというとにかく大量のマナが必要となるので、《秘儀の印鑑》などのマナアーティファクトも一定数採用している。「マナアーティファクトとコーディーって相性悪いんじゃないの?」と思われるかもしれないが、コーディーを出す前に展開すればいいし、何ならいらなくなったらさっきの呪文で捨てて別のカードに変換してもいい。

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で、コンボに組み込む呪文だが、今回は「デカくて派手な奴のほうが気持ちいいだろ」という身も蓋もない理由で根本原理をすべて採用。アホみたいにドローしたりコーディーを無視してパーマネントを並べたりと至れり尽くせりだが、やはり一つ抜きんでているのがこの《出現の根本原理》である。

この根本原理、単色呪文を3つ持ってきて、うち相手が選んだ呪文以外をノーコストで唱えられる。何が撃てるかは相手の気持ちになって考えてやる必要があるのだが、大体は《時間のねじれ》と《苦悶の触手》と《精神の願望》を持ってくることになる。地獄かな?

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ヒストリックならではのカードとして《永遠の大魔道士、ジョダー》を採用。ありとあらゆる呪文を白青黒赤緑マナで唱えられるようになるのだが、コイツとコーディーの相性がすこぶるよろしい。

どういうことかというと、コーディーは適当な4マナを白青黒赤緑マナに変換できるため、根本原理だろうが何だろうがあらゆる呪文が4マナで唱えられるようになるのである。また、コーディーの能力も誘発するのでダブルアップも狙えるというええカードになっているのである。

6.終わりに

いかがだっただろうか。今回はコーディーという、ソーサリーやインスタントを中心に据える統率者を軸にして、ヒストリックにたくさんある強力な呪文を使い倒すというデッキを組んでみた。

折しもこの記事を書いた時点ではアリーナにて「ヒストリックブロール祭り」なるイベントが開催されており、筆者もこのデッキを片手に祭りに参加した。ド派手な呪文をボカボカ相手に投げつけて壁際に追い込む勢いは本当に気持ちがよかった。間違いなくいいデッキである。

ヒストリックブロールは現在、アリーナに公式サポートされておらず、なかなか気軽に遊ぶことが出来ないフォーマットである。また、ヒストリックというスタンダードで用いることが出来ないカードをもとに遊ぶので、敷居が高く感じるかもしれない。

だが、やはりカードプールが増えることで、様々な強力なカードが使えるという楽しさは他に代えられないものがある。次にヒストリックブロールが遊べるタイミングはわからないが、ぜひ、機会があれば皆様も遊んでいただきたい。


…え?何ですと?「これはコーディーじゃない?」嘘つけコーディーって書いてるじゃないか。ホレ、名前見てみろよ。コーディーって書いてる…書いて…

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…あれ?よく見ると「コーディ」って書いてる…?人違いってことぉ…?

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マッサン
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