第120回おうちでレガシー カバレージ Round1 SNKY（ナドゥ） VS スン（ナドゥ）
『モダンホライゾン３』のリード・デザイナーとして、本日私たちが下した決断について皆さんにお伝えしたいことがあります。
《有翼の叡智、ナドゥ》は、デザインに失敗しました。
長いMTGの歴史で、名指しでこんなことを言われるカードも珍しいだろう。それだけ《有翼の叡智、ナドゥ》のカードパワーは高く、現に主戦場を想定されていたモダンでは、そのオーバーパワーから御用となってしまった。
が、デザインに失敗していようがボロクソに叩かれようが何だろうが、フォーマット上リーガルならば使用できるのがMTGのいい所である。そして、このカードはレガシーでも実用に耐えうるパワーを持っているのではないか？と考えたプレイヤーが、今回フィーチャーテーブルで相対した。
「スン」「SNKY」、どちらのプレイヤーも用意したデッキは「ナドゥ」。その名の通り、《有翼の叡智、ナドゥ》を軸に据えたコンボデッキである。細かい構築の差はあれど、どちらのデッキもやることは極めて単純。「《有翼の叡智、ナドゥ》から得られる無限のアドバンテージで相手を押しつぶして勝利する」という事である。
果たして、どちらの《有翼の叡智、ナドゥ》が相手を押しつぶすことになるのか。そもそも《有翼の叡智、ナドゥ》はレガシーという伏魔殿で生き残ることが出来るのか。デザインに失敗したカード、その羽ばたきぶりを見ていこう。
■Round 1
先手を貰ったSNKYは《貴族の教主》を展開。その後続くターンで《飢餓の潮流、グリスト》を招聘し、+1能力でクリーチャーを横へ並べ始める。クリーチャーの数自体がアドバンテージ源となるナドゥデッキにおいては、順調な滑り出しと言えるだろう。
他方、後手を貰ったスンは《森を護る者》を展開。コンボパーツを保護できるクリーチャーを展開しつつ、更に自分も《貴族の教主》を展開し、SNKYの動きについていこうとする。
が、SNKYはターンを貰うと、ここで《コーの遊牧民》をプレイ。「0マナでクリーチャーを対象に取ることが出来る」、すなわち「《有翼の叡智、ナドゥ》と組み合わせてとんでもないアドバンテージを稼ぎ出す」と書かれたカードを前に、スンは頭を抱える。
ひとまず《棘を播く者、逆棘のビル》を展開しつつ、《カラカス》をセットし、来たるべき《有翼の叡智、ナドゥ》ににらみを利かせていく。
しかし、SNKYは《カラカス》を承知の上で《緑の太陽の頂点》をX=3でプレイ。ライブラリーからこのデッキの主軸である《有翼の叡智、ナドゥ》を持ってくる。
早速《コーの遊牧民》の能力を起動し、一気にアドバンテージを稼ごうとするSNKY。これに焦ったか、スンが《カラカス》を起動する。しかし、SNKYは涼しい顔で、《カラカス》の起動の上からさらに《コーの遊牧民》の能力を起動する。
そう、《コーの遊牧民》の能力はインスタントタイミングで起動できるため、別に《カラカス》があろうがなかろうが、あまり気にすることなく能力を使うことが出来るのである。そして、土地が3枚あれば再び《有翼の叡智、ナドゥ》を手札から展開できるわけで…。
そのことに気が付いてしまったか、スンは盤面を畳んだ。
SNKY１ースン０
■Round 2
2ゲーム目、《思案》で手札を整えるスンに対し、SNKYは《緑の太陽の頂点》X=0で《ドライアドの東屋》をサーチ。使えるリソースを伸ばしていく。対するスンは《喜ぶハーフリング》を2体展開。
これでマナの出力は十分。互いに出方を伺いつつ、諜報土地を駆使してドローの質を上げていく両者。先に動くことになったのはスン。《森を護る者》を展開し、あとで出てくるであろう《有翼の叡智、ナドゥ》の守りを固めていく。
対するSNKYも《森を護る者》→《コーの遊牧民》と展開し、こちらもコンボに王手をかけていく。流石にこのまま動かれてはマズいと思ったか、スンはターンを貰うと《緑の太陽の頂点》をX=3でプレイ。《有翼の叡智、ナドゥ》を盤面に呼び込もうとする。
しかし、SNKYはこれに対応し、《森を護る者》に《剣を鍬に》をプレイ。スンは土地を差し出しこれを防ごうとするが、SNKYは更に2枚目の《剣を鍬に》をプレイ。
一見すると不可解なプレイだが、これには訳がある。現状スンの盤面で対象に取ることが出来る能力を持つクリーチャーは《森を護る者》のみ。つまり、事前に土地を差し出させることにより、その起動に大きな制限をかけることが出来るのだ。
果たして、スンの盤面には土地が2枚のみ。《有翼の叡智、ナドゥ》をサーチするも、これでは《森を護る者》の能力の起動がリスキーと考えたか、SNKYにターンを渡す。
SNKYはターンを貰うと、《死者の原野》をセット。そしておもむろにクリーチャーをタップし召集コストに充てつつ、《召喚の調べ》をX=3でプレイ。こちらも《有翼の叡智、ナドゥ》を呼び込む。
スンと違い、自由に能力を起動できる《コーの遊牧民》をコントロールするSNKYは、悠々とアドバンテージを稼ぎ始める。盤面に土地を置くたび、《死者の原野》が誘発し、新たなアドバンテージ源を呼び込むに至り、スンは右手を差し出した。
SNKY２ースン０
■Round 3
■デッキリスト
■対戦動画
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