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三億円の夢

『〇〇』をするとお金が貰えるという夢を見た。
 金額は人それぞれ違っていて、ぼくの場合はその金額が三億円になるらしい。
 その『〇〇』というのが、とても簡単なことで、
「本当にそれをするだけで、三億円もらえるんですか?」と、興奮したぼくは大声で尋ねた。
 それを教えてくれた人は、ぼくの問いかけに静かにうなずき、
「目が覚めたら、さっそくそれをやってみなさい」と告げたのだった。
 そこで夢が覚めた。

 その余韻はしばらく続いていて、この上もない至福感に包まれた。その至福感の中で、無垢なぼくは、今日は絶対にいいことがあると腹の底から確信したのだった。
 ところがだ。目が覚めたぼくは、その『○○』が何であるのかを忘れてしまったのだ。いや、うっすらとは覚えているのだが、思い出そうとすればするほど記憶が遠のいてしまう。

 とはいえ夢では簡単ことだと思えたことだから、きっとそのヒントは、ぼくの潜在意識の中に隠れているはずだ。
 ちょっとそれを探してみよう。決して無駄ではないはずだ。だって三億円なんだから。

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