【詩風】柱時計
15分早い柱時計が
コチコチと鳴っている。
そして1時間おきに
15分早い時報を告げる。
わざとそういうふうに
設定しているのではない。
電池を替えた時に、ちゃんと
時間を合わせているのだが
自然と早くなっていって
15分先まで行くと
ようやく落ち着くのだ。
この柱時計の時報には
いくつかの楽曲が使われている。
例えば『いとしのエリー』であったり
例えば『中央フリーウェイ』であったり
ぼくが学生の頃に流行った歌が
メインになっている。
そういう懐かしい歌をFM音源が
淡々と奏でているのだが
その音源で聞くと、なぜか
学生の頃の楽しかった思い出ではなく、
この柱時計を買った結婚当初の
かなりきつかった思い出が蘇る。
しかし、この柱時計は
何で15分早くなるのだろう。
嫌な思い出を早く忘れようとする
ぼくの念いが為す技なんだろうか。
それとも「過去を早く打ち切って、
今を大切に生きなさい」という
神さまの啓示なんだろうか。