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【詩風】遠くでカンコン
遠くでカンコン、
踏切警報機が鳴っている。
いつの頃からだろうか、
夜中の警報機は、
犬の遠吠えのように
むなしいものになった。
むかしはカンコンに旅情を誘われ、
いつも夜汽車の中にいる自分を
想像していたものだった。
ところが、
この時代は夜汽車がない。
味気のない新幹線が
企業人の時間帯に合わせて
行ったり来たりしているだけだ。
夜中に停車駅で買う
ほの温かいワンカップの楽しみも
今はなくなった。
遠くでカンコン、
踏切警報機が鳴っている。
いつも春になると、
どこかに行ってみたいと思う。
だけど、味気のない現実が、
旅への期待を拒んでしまう。