寂しい駅前通り
駅前商店街が駄目になった原因の一つに、車社会の到来が読めなかったということがある。
特急の停まるJRの駅があり、そこに隣接する大きなバスセンターがあり、その中には私鉄の始発駅がある。しかも人口は多い。
ということで、駅前で商売する人は、永遠に繁栄が続くものだと思っていた。
ところが車社会の到来と共に、徐々に人は減っていった。所狭しと店を建てていたので、駐車場のスペースがなかったのだ。
商店街と行政が協力して、近くに大きな駐車場を作れば、客離れはなんとかなったかもしれない。しかし、彼らはそれをやらなかった。
そうこうしているうちに、郊外に大型ショッピングセンターが次々と出店した。駐車場は広く、さらに無料ときている。取り扱い商品は、駅前の商店街とほとんど変わらない。これを車社会の人間が逃すはずがない。
それと同時にやってきたのが、百貨店や大型量販店の閉店の嵐。この街では、短期間に百貨店が2店、大型量販店が3店、閉店した。その集客力で恩恵を受けていた地元の商店も徐々に閉店に追いやられ、かくして駅前商店街はシャッター通りへと成り下がったのだった。
毎日お祭りのように賑わっていた人通りも、すっかり減ってしまい、往時を知っているぼくたち世代の人間は、いつも寂しい思いをしている。