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給食室
この間、用があって、ぼくが通っていた小学校の近くまで行った。
当時木造だった校舎は、鉄筋校舎に変わっていた。位置も若干移動していて、木造校舎の建っていた場所が運動場になっており、運動場のあった場所に鉄筋校舎が建っていた。位置的にまったく変わってないのはプールだけだった。かつては田んぼだらけだった周りの景色も、今は住宅地に変貌していた。
というわけで、母校ではあるが、母校とは言い難い雰囲気を、今の小学校はかもし出していた。
ただ一つだけ、昔とわらないものがあった。それは建物だとか位置などではなく、においだ。何のにおいかというと、給食室のにおいだ。
最近の給食はかなりいい食事を出していると聞くが、それでも給食室のにおいは変わってなかった。行ったのが平日の午前中だったので、においがプンプン漂っていた。
このにおいに気づいた時、それに関連して何十年ぶりかに思い出したことがある。それは、三角巾、かっぽう着、マスクである。学期中に何度か給食係が回ってきたのだが、その時にはそれらを着用しなければならなかったのだ。
かっぽう着はパリパリに糊が利いて袖部分が貼り付いてしまい、とても着にくかったのを思い出す。またマスクは現在のような不織布ではなくガーゼだった。いつもそのガーゼをなめたり噛んだりしていたので、何日かすると臭くなっていた。その臭いの印象が強かったのか、今でもマスクを見ると嫌な気持ちになる。
しかし、小学校を卒業してから、マスクはともかく三角巾やかっぽう着は着用したことがない。おそらくこの先もすることはないだろう。