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フィンランドの寿司食べ放題はなぜランチ2500円なのか

フードアナリスト®、沖縄食材スペシャリストの高井です。

1、はじめに
今回は、ヘルシンキのharusushi  https://haruplus.com/freda/index.html さんで考えました。
欧州の物価はなんでも高いです。フィンランドの消費税率は昨日(2024年9月1日)に24%から25.5%にとうとう引き上げられ(注1)、食品の消費税は14%ですが、 外食は本当に高いと思います。その中で、オフィス街のレストランは、ディナーは高くてもランチは結構安い店も多い。その中で、寿司の食べ放題で税サービス込みで14.9ユーロ(日本円2500円)は、日本と比較しても価値があると思いました。その秘密を探ってみました。

2、ランチベネフィット制度

フィンランドのオフィス街に行くと、ランチの食べ放題が多く、価格が12ユーロ程度である。これは、政府のランチベネフィット制度の影響が大きいと思います。フィンランドのランチの値段は、この制度と連携しているか否か関わらず、この限度額の12.7ユーロ(2060円)を意識した料金設定になっています。ディナーが非常に高い高級レストランもランチはこの限度額近辺で料金設定している店があるようです。
ランチベネフィット制度(フィンランド語で「Lounasetu」)は企業や政府が従業員の昼食費用を補助する仕組みで、多くの企業が採用しています。非課税限度内であれば企業側は経費で処理でき、従業員は所得税の対象になりません。従業員側は、提携しているレストランやカフェとはプリペイド方式、クーポン方式や社員食堂方式を採用しているので、領収書をもらってクレームする手間もかかりません。
この制度を導入している国は欧州でありますが、フィンランドが限度額が高いようです。フィンランドでは1日8ユーロ(1300円)から12.7ユーロ(2060円)の範囲(2024年)で企業ごとに決めています。尚、限度額を超えた分は自己負担になります。尚、スーパーや食料品店での食材や飲み物の購入は対象外ですし、アルコールも対象外です。因みに、フランスの限度額は6.5ユーロ、イタリアは8ユーロ、スペインは11ユーロです。

2、Haru 寿司さんの工夫


ではなぜHaru寿司がヘルシンキ中心地で安く提供できるか探っていきましょう。Haru寿司の食べ放題は、夜は寿司だけではなく、ソフトドリンクや揚げ物やサラダやデザートなども取り放題で時間無制限です。
大事なポイントはネタです。地元で安価で仕入れられるサーモン中心に絞っていることです。使っているサーモンは、日持ちがする火が通ったスモークサーモンだと思われます。サーモンを色々な具材と合わせることによって種類が豊富になっています。ヴァリーエーションが豊富なので、美味しくいただきました。また、野菜寿司も多いです。
第二のポイントは徹底した効率化です。最初にお金を払うと醤油瓶を渡され、それをテーブルにおきます。 醤油瓶でそのテーブルを誰かが使っているかがわかります。 シャリは均等なので、機械で握っていると推測されます。サーモンなどの食材も捌いたものを仕入れていると推測されます。日本は回転寿司が盛況ですが、お腹一杯食べると2000円以上かかりますし、最近はタブレットと奮闘して個別注文で時間がかかります。このHaru寿司の方が客も効率的だし、客の回転が速いので、店側も助かるのではないでしょうか。
尚、わさびなしで握られており、別にわさびをつけて戴きます。ここのレストランの従業員は日本語で会話しておらず、中国人だと推測されます。

3、終わりに
ここの寿司は自分としては満足でした。特に、海外で寿司をいただけるとホッとします。不満があるとすれば、ネタよりシャリです。寿司酢をちゃんと使って欲しいです。また、このような寿司屋は、フィンランドだけでなく、欧州の国々にもあるようです。
寿司ネタに拘らずに、美味しい寿司ランチを提供することは、日本でも可能だと思います。マグロなどの魚種の調達はだんだん困難になってきており、地元で獲れる安くて美味しい魚種を、他の具材と組み合わせて提供するのは良いアイディアではないでしょうか。また、食品ロス削減にもつながります。
日本は回転寿司の機械化に大きな投資をしていますが、機械に大きく投資するより、仕組や工夫に投資することもできると思いました。

以上




(注1) https://www.vero.fi/en/businesses-and-corporations/taxes-and-charges/vat/rates-of-vat/

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