♯12 忙し過ぎるよりも辛い!?派遣社員ひまひま問題
数年前、電話応対のためにビジネス英会話を勉強したい(きっかけは♯11参照)と思い立ち、派遣会社の主催する講座に頻繁に参加していた。
仕事帰りに比較的安価で受けられることで、とてもありがたかったのと、
色んな会社に派遣されている派遣社員が一同に集まるため、同じ境遇の人達と話ができる機会はレアで参考になり、何よりも日ごろのうっぷんが晴らせて楽しかったのである。
「そんな会社あるんだ!?」
派遣される企業によって悲喜こもごもある中、様々な派遣社員の方と話をしていて意外と多かったのが
「今の派遣先で仕事を回してもらえなくて、毎日暇過ぎて辛い」
という話だった。
いわゆる「派遣社員ひまひま問題」
忙し過ぎるのも辛いが、職場で放置、無視され仕事がないのもかなり辛い。
ひどいケースだと、
「何もしなくていいから、電話が鳴ったら取るだけでいい」と言われていた人もいた。
その一方で、
「暇な時間は企業から資格の勉強を許してもらっている」
という強者もいたけれど、なかなかそんな会社はないのではないだろうか。
派遣社員は原則的に直接要望などを企業側には伝えられない。企業側も同じだ。
間に派遣会社の担当者が入りお互いの要望をまとめることになる。
仕事がない場合、まずは派遣会社の営業担当者に相談することになる。
就業中、必然的に派遣会社の営業の存在は、派遣社員にとっては一つの「要」となる。
だが、想像に容易いが、この営業も人によって力量の差が激しい。
派遣会社の担当営業の多くが20代の社会人経験の浅い人が多く、派遣社員と企業の間に挟まれて右往左往するケースがあまりにも多い。
その会社の仕事が理解、想像できないという人もおり、自分自身では解決策を持っていないのだ。
また多くの担当を持たされていることから、一人一人の丁寧なケアまで余裕がないという感じで、
「企業とは相談してみてはいるのですが……」
「もう少し我慢して下さい」
大体は簡単には改善されず、でもすぐには辞めることもできない。
結局、契約終了まで我慢することになる。
私も今までに企業に行ってはみたが、仕事がなくて途中で帰らされたケース(これは本来派遣先企業としてはアウト行為である)や
社員から仕事を振ってもらえず放置されるというケースを度々経験している。
残念ながら、営業に相談しても全くあてにならないことも何度かあった。
私の経験上、出勤初日に担当社員から
「前任者が作ったこのマニュアルを完璧に覚えるぐらいに目を通していて下さい」
「穴があくほどこのマニュアルを読んでいて下さい」
などと言われ、数時間放置される会社は概ねハズレである。
しかも、そのマニュアルが実は業務マニュアルではなく前任者からこの社員への引き継ぎ書である場合が多い。
機密情報がてんこ盛りで、この会社に来て初日の派遣社員に理解できる内容ではないのだ。
大して読まずに渡してくるのである。
要はこの社員も派遣社員に任せる仕事を理解できていない、或いは決めていないのだ。
おまけに当の本人は「忙しい」と言って、けんもほろろな対応をされる。
あまりの手すき状況に耐え切れず、
「何か出来ることは…」
などと、話しかけると逆ギレのように対応されることもある。
こうなると、社内でこっそりと別の頼れる人を探す必要がある。
派遣社員の受け入れに慣れている企業であれば、担当社員がポンコツであることが周知されているので話が早い。
先輩派遣さんがいると心強いし、社員で助け舟を出してくれる人がいればこの職場はそのまま何とか働くことができる。
幸い、私は今までこのどちらかのケースで救われてきた。
派遣会社の営業も頼りにならず、派遣社員の受け入れに慣れていない職場で、コミュニケーションを取ることが難しそうな職場だったならば、やはり心が折れて私も諦めて辞めていたことだろう。
自分が職場で必要とされていないという状況で、その場にいること程、精神的に辛いことはないと思う。
出来れば、仕事以外のことで神経を擦り減らしたくはない。
企業側も安くはない経費で派遣社員を雇っているのである。
受け入れる以上は、双方がWIN-WINな状況で就業を促せる状況を作る必要があるのではないだろうか。
また、派遣会社の営業もしっかりとスタッフに寄り添う環境づくりをして欲しいと切に願う。