【第5回】名詞文(現在形)【クリミア・タタール語】
※表記上の注意
母音調和による音の交替は大文字を用いて表します。
E=e / a、I=i / ı、U=i / ı / ü / u
今回からついに文を作るために重要な文法事項に入ります。まずは、名詞文です。「AはBです。」という言い方を覚えましょう。
これも文法説明に役立つような単純な文で条件に合うものがなかなか見つからず、肯定形の形容詞の例や否定形の形容詞があげられませんでした。単純とは言っても、私が作った分をチェックなしで乗せるわけにはいきませんのでご容赦ください。
標題のolmaq fiiliとは「『である』動詞」という意味ですが、「名詞文なのに動詞?」となる方もいらっしゃると思います。テュルク語の人称は助動詞に由来していることもあり、「名詞文」を作る人称も動詞(を含む)と扱われることが多いです。「名詞文」の名詞は述語が名詞(と形容詞)になる文という意味ですので、「名詞文」は言語学ではコピュラ文と呼ばれますが、一般には耳なじみのない言葉ですので「名詞文」という名称にしています。形容詞と名詞が一緒に扱われているのは、形容詞がそのまま名詞として扱われることもある(そのまま複数接辞をつけて名詞として使うものもある)など、一定の似た特徴を持っているためです。人称が現在を表しているのかという議論もありますが、ここでは全体で「現在形の文の表し方」だと考えてください。文法に興味のない方はこの辺はサラッと流していただいて構いません(言い訳だらけの言語解説)。
【会話表現】
Geceler hayır.「おやすみなさい。」
Hayırğa qarşı.「おやすみなさい(返事)。」
Kerek.「必要だ。」
Kerekmey.「必要でない。」(動詞)
Kerek degil.「必要でない。」(形容詞)
【学習の感想】
人称の母音調和は円唇母音(u/ü)にならないという特徴があるようです。もともとクリミア・タタール語は3音節目以降には円唇母音が来ることが出来ないという特徴をもっていますが、rus-ımのように2音節目でも円唇母音が出ていない例を見るとやはり人称は音節に限らず円唇母音にならないということだと確認できます。今日は文法の話ばかりになってしまいましたね。
母音調和の規則を忘れた人はこれから毎回出てきますので、復習しておきましょう。