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【超個人的】テュルク語学徒のはしくれがやっておけばよかったと思う外国語ベスト3

外国語を勉強するのは楽しいのですが、ある一定のレベルまで鍛錬するのは一苦労です。研究対象の言語をより深く知っていくのは楽しいのですが、その先行研究の文献はその言語で書かれているとは限りません。それらの言語を勉強していくモチベーションを保ちつつ習得するというのは結構大変です。今回は、私が大学生までにもっと勉強しておけばよかったと個人的に思う言語ベスト3をご紹介します。

【第3位】中国語

具体的にはサラール語という中国の青海省で話されている言語の先行研究が中国語で書かれているという理由です。サラール語はトルクメン語との関係で非常に興味深い言語で、サラール族の伝承によると、自分たちの起源は中央アジアにあると言われているそうです。中国で出されている数冊の研究もなかなか優れた記述研究でコンパクトにまとめられています。中国語が分からなくてもある程度は使えるのですが、やはり説明などは辞書なしに読むのは難しいです。他にも、新ウイグル語、カザフ語、西部裕固語など、中国で話されているテュルク語は他にもありますし、古代テュルク語(ウイグル語、突厥語)に関する研究も盛んですので、中国語が読めれば役立つことは間違いありません。ただし、今すぐ必要というわけではありませんので、3位にランクインです。

【第2位】ロシア語

テュルク語学徒にとってなかなか険しい山がロシア語です。特に旧ソ連圏のテュルク語を対象にする場合は必須と言ってもいいかもしれません。言語の場合、(特に独立国家の場合は)現地語で書かれた文法書も出版されているので、全く触れられないかというとそこまでではありませんが、研究しようとなると話は別です。トルクメン語の場合、特に優れた概説書が一冊トルクメン語で出ていますが、もう一冊参照すべき概説書がロシア語で書かれていますので、基本的には私がロシア語を読む機会というのはその文献を読むときくらいでしょうか。ただし、こちらは関心のあるところを読むくらいであれば基本的な文法事項と辞書があればどうにかなるので、時間はかかるとはいえそこまで苦労はしていません(でもせっかく読んでも研究には使えないことも多くあります 泣)。また、トルクメン語の正書法はトルクメン語だけを用いてで書くことが決められていますが、実際の口語にはロシア語の単語がたくさん出てきます。ロシアや中央アジアのコードスイッチング(バイリンガルの言語の交替)を研究したりする場合にもロシア語は必要になってくるでしょう。ロシア国内のその他のテュルク語に興味を持った場合にもまずはロシア語ができれば文献が手に入りやすいと思います。

【第1位】英語

意外でしょうか。でもダントツで1位は英語です。もちろん私だって高校を卒業していますからそれなりには読めます。でも、もっとスラスラ読めるようになっていれば、こんなに苦労することはありませんでした。言語の研究をするにあたって、おそらく多くの人にとって一番必要とされる言語は英語なのではないでしょうか。言語学の専門書はもちろん英語です。むしろ英語であってくれてありがとうと言うべきかもしれません。でも本を丸々一冊読んだり、早く読むことをやってこなかった私にとっては今でもなかなか大変な作業です。論文や文献を読んでいればだんだん専門の語彙や書かれていることが予測できるようになるので慣れては来るのですが、やはり時間がかかります。何なら、トルコ語やトルクメン語の「使える」先行研究も英語で書かれています。現地語で書かれたものも読むには読むのですが、あまり使えないことが多いです。もちろん言語のデータ的には豊富でありがたいことも多いですし、読めていないと大変なことになりますが、もっと多読が苦でないくらいには高校や大学のときにもっと頑張っておけばよかったなぁと思います。

【番外編】

トルコ語の研究をやるならドイツ語フランス語も結構先行研究あるんですよね。私の指導教官は読めて当然でしょと言わんばかりに勧めてきます。恐ろしい。

ペルシャ語ができればイランのテュルク諸語の調査がしやすいだろうし、こちらもいずれはと思いつつ、今の今まで初級文法で止まっています。

テュルク語の最初の辞書であるDîvânu Lugâti't-Türk (ديوان لغات الترك)「チュルク語辞典」はアラビア語で書かれていますので、いつかはちゃんと原文を読んでみたいと思いつつも、なかなか手が伸びない言語のひとつです。アラビア語の教材はトルコ語で豊富ですので、教材だけがどんどん増えていきます。

誰かの何かの参考になるかはわかりませんが、個人的ランキングでした。