トルクメニスタンの断食・若者は比較的まじめにやっている印象
2021年は今日(4月13日)からラマダーン(断食月)ですね。ということで、トルクメニスタンの断食月がどのように過ごされているかについてご紹介したいと思います。
私の記事を読んでくださっている方は皆さんすでにご存じと思いますが、まずは簡単にイスラム教の断食について。イスラム教ではイスラム歴の9月に断食をする習慣があります。このイスラム歴の9月のことをラマダーン、ラマザンなどと呼びます(ラマダーン=断食と勘違いしている人によく会いました)。よく知らない人は断食というと全く食事を取らないと思う人も多いのですが、イスラム教の断食は日の出から日の入りにかけて行うもので、日が落ちてから次の日の出までの間に食事を取ります。この断食の目的は飢えた人の気持ちを共感することで平等や連帯感を経験することにあるらしいです。宗教的な試練であるので、来世に行った時の徳となるのでしょう。断食月は飲食だけではなく、悪口やけんかなどの忌避されるべきことや、喫煙や性交渉などの欲も断つことが求められます。妊婦や旅行中の人は日を改めて断食をすることが許されているなど、信仰する人の健康に優しいシステムになっています。
さて、話はトルクメニスタンに戻ります。トルクメニスタンでは断食月はoraza(オラザ)、断食のことはagyz bekleme(lit. 口を閉めること)と呼ばれます。
トルクメニスタンは政教分離の国です。つまり、イスラム法が国の法律となっているわけではなく、憲法が制定されています。信仰は自由ですので、(割合的に)トルクメン人を中心とするテュルク系の住民はほとんどイスラム教スンニ派を信仰しています。(それ以外にもロシア人やアルメニア人等非テュルク系住民を中心に正教徒の人もいます。)
普段からモスクからアザーン(お祈り)が聞こえたり、大規模な礼拝が行われることはないので、そういう意味ではイスラム教の国に住んでいるという実感は少ないと言えます。モスクは中央アジアで最も多きなキプチャク・モスク(扉絵)がアシガバッド郊外にあるほか、市内にも2,3の立派なモスクがありました。ただ、お年寄りや信心深い人を除いてはそんなに多くの人がモスクで礼拝しているという印象はありません。金曜日の集団礼拝がイスラム教にとっては重要ですが、金曜日も普通に仕事日ですから、金曜礼拝は週末等に代替しているようです。これはトルクメニスタンに限った話ではなく、他の中央アジアやトルコなどでも同じだと思います。
実際の断食の様子ですが、意外かもしれませんが年配の人よりも若い世代の方が守っている人が多いです。私の予想では、ソ連時代を生きた人々はそもそもお酒や豚肉を食べる習慣が身についていましたし、そんなに信仰心が強くないのだと思います。2,3家族に一件は断食をしているという印象で、みんながみんな厳しく断食をしているという感じはしません。ただ、個人というよりは家族単位というイメージで、やはり親が断食をしている家族は子供たちも守っている気がします。若い世代が多いというイメージと矛盾するように思えるかもしれませんが、以下の3つが混在しているということです。①みんな断食をする家族、②親は断食をしないが子供は断食をする、③親も断食をしないし子供もしない
2021年は4月が断食なのでまだよいですが、ここ10年ほどは夏の暑い時期に重なっていたので、大変だったと思います。特に、トルクメニスタンは夏は50℃を超える日もありますので、水なしは辛いものがあります。
断食明けの食事は、イフタ―ル(トルクメン語ではagyz açar(lit. 口を開ける))と言いますが、イフタールを盛大にするという印象もそこまでありません。トルコでは断食中は食事が豪華になり、夜明け前までにすごくたくさん食べていた印象だったのですが、トルクメニスタンではそういうことはなさそうです。断食月になると、アシガバットのトルコ料理屋さんでイフタールディナー(食べ放題)がやっていましたので、私たち夫婦はよく通っていました。断食もしていないのにね(笑)
その時の様子はこんな感じ。純粋にトルコ料理というよりはトルクメン人が好きそうな酸っぱいものもいっぱい並んでいる。なぜかメインディッシュの写真がなかった。
私自身が断食をするわけではないので、そんなに書くことがありません。断食明け祭りについてはまたその頃にでも。