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【第9回】所有人称接尾辞【クリミア・タタール語】

※表記上の注意
母音調和による音の交替は大文字を用いて表します。
E=e / a、U=i / ı / ü / u、I=i / ı

所有人称接尾辞は所属人称接尾辞とも呼ばれ、名詞に付加されて所有・所属関係等を表す接尾辞です。クリミア・タタール語ではmülkiyet affiksleriと呼ばれます。

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所有人称接尾辞の最初の母音はU=i / ı / ü / uですが、-(U)mIz、-(U) ñIz、-lErIではI=i / ıが現れてるところに注意しましょう。

3人称の複数の所有人称接尾辞は、-(s)Uと-lErIという二つの形を採用しています。これは、接尾辞をつける名詞が単数か複数かによって変わります。例えば「彼らの母」という場合に、「彼ら」が兄弟だとすると母は一人になりますので、ana-sıとしかできませんが、「彼ら」が友達だとすると、それぞれに母がいるはずですのでana-larıとなります。複数の場合はana-lar-ı(母ー複数-3人称単数所有人称接尾辞)と解釈することができますので、結局は3人称の所有人称接尾辞は単数・複数の両方で-(s)Uとすべきなのかもしれません。

【会話表現】
Afu etiñiz.「すみません。(許してください。)」
Bağışlañız. 「すみません。」
Ayıp etmeñiz.「すみません。」
Çoq yazıq.「とても残念だ。なんてひどい。」
Yazıqlar olsun.「なんてひどい。」

【学習の感想】

クリミア・タタール語では3音節目以降の母音が円唇母音にならないという規則(母音調和を参照)があるため、-(U)mIzや-(U) ñIzなどでは後の母音がIとなっているのかとも考えたが、su「境界(?)」など円唇母音で終わる一音節語の後に着く形がsumuzになるのか、sumızになるのかを確認したいところであるが、今日のところは類する語を見つけることはできなかった。もし前者になる場合は先行研究の-(U)mIzや-(U) ñIzを-(U)muzや-(U) ñuzとする必要がある。