【医療的ケア児】おうちの生活がはじまります
※アンリーシュさんにも掲載していただいた福祉制度入門編の記事に、イラストを添えてまとめました m(_ _)m
・子どもの入院治療や体調が落ち着いてきたら、おうちでの生活についての話しがでてきます。退院と在宅移行は、お子さんと一緒におうちですごすことができる喜びの反面、今まで病院で行ってきたケアを家ですることのご不安もおありかと思います。今回は、おうちでの新生活について、今日は一緒に考えていきましょう。
1.想像してみよう
・いま、すやすやと 夢をみているお子さんを見ているママ、パパへ。ちょっと想像してみましょう。「もし今夜、奇跡がおこって、おうちでのくらしが始まったら、お子さんと一緒にどんなことがしたいですか?」
みんなで公園におさんぽしてみたり、お友達と一緒に歌に合わせて楽しくおどちゃったりしているかもしれません。どんなイメージが湧いてきましたか?どこに向かっていきたいですか?
・親でいることの幸福や喜び、不安、痛み、そして子どもへの思い。たくさんの気持ちを抱えて、今日まで歩んでこられたと感じております。その先には、かならず、うれしくて たのしくて、瞳をきらきら輝かせる日がきっとあります。
2.退院のイメージ
・退院まで流れです。病棟の看護師さんと一緒に、抱っこやお風呂の練習をしてみたり、チューブやテープの使い方などを練習します。また、安全な移乗の方法をスタッフさんと一緒に確認するなど、退院後のケアについても考えていきます。
・院内外泊や試験外泊をし、徐々に退院に向けて準備が進んだら、病院の医療相談員に、退院後の訪問看護の手配、福祉制度の案内等を相談してみてもよいでしょう。
在宅移行後も、地域には訪問看護師さんや相談支援員、ヘルパーさんなど、ご家族と一緒にお子さんを育ててくれるサービスがいくつもあります。彼らは、退院後のとても心強い仲間になります。
次に、地域の具体的な支援サービス(こども応援団)についてです。
①医療支援
おうちでの生活が始まった後も、お子さんの体調は主治医の先生が診てもらうこともできます。訪問医には、体調相談や薬剤処方、家族診療、予防接種やカニューレや胃ろう交換といった医療行為から、ホームケアの提案や訪問看護の指示書作成等、様々なことを相談できます。
②保育園
保育の選択肢が増えてきています。おうちに保育士が訪問してマンツーマンの保育をしてくれる居宅訪問型保育や、看護師がいる児童発達支援事業所もあります。健常児も障がい児も一緒に過ごす保育園である、インクルーシブル保育園も少しずつ広がりをみせています。
③福祉制度
福祉制度には、病状や障がいの度合いによって、いくつかの制度があります。入院等の医療費助成のある小児慢性医療券や、税の免除や福祉サービスが使える障がい者手帳、お風呂道具やベッド等の日常生活用具や、バギーや車いす作成等の補装具制度などです。また、医療的ケア児協議会を設置する自治体も増えており、災害時の対策や必要な制度について検討されています。
④訪問看護と介護
東京都では重度心身障害児と医療的ケア児は、東京都訪問看護事業(通称東部訪問看護、西部訪問看護)が一定期間(半年~1年程度)利用ができます。また地域の医療保険の訪問看護ステーションも利用することができ、日々の体調管理や医療的ケア、入浴介助等の支援の他、月2回程度在宅レスパイトという見守り看護も利用することができます。
居宅訪問型児童発達支援では、外出が困難なお子さんや通所先がない地域のお子さんを対象に、週2回程度看護師や保育士が訪問をして遊びや余暇、療育支援等をしてくれます。
ヘルパーサービスはお風呂介助や通院同行、余暇活動の移動支援等が利用できます。
⑤相談支援
保健所や区役所の保健師さんは、地域の医療機関や訪問看護ステーション等の調整をしてくださります。
障がい児相談支援員では、児童発達支援やヘルパーさんのサービス等利用計画の作成や、ヘルパーさんの利用を調整してくれます。
4.未来予想図をつくってみよう
・これから人生という大海原に出航するにあたり、ほのぐらい夜の海にさまよいこむこともあるかもしれません。そんな時に一番星となる目標や見通しをたてること、海図があることで、子どもとご家族が望む暮らしすがたが現れて、夢や希望から想像を寄せていくことができます。そうすることで生活の彩りもより増していきます。
・子どもの半年、1年、3年先を想像してみて。どんな姿になっているかな。そこにむけて今からできることを考えていきましょう。そして、その月日のさきには早春の彩りが華やかな日々がやってくるでしょう。
5.ケアスケジュールをつくってみよう
・お子さんを、ご家族と何人もの支援者で育てていくためにも、24時間、1週間のケアスケジュール表を作ってみましょう。
子どもは寝返りがあったり、呼吸器の管理などがあり24時間目が離せない時もがあります。また、経管栄養などがあり生後幼い場合は、注入の回数も頻回だったりします。主治医ともご相談のうえ、注入時間のアレンジができるとよいですね。
日々の医療的ケアは朝早くから夜遅くまであり、24時間体制となりますので、お父さんやお母さんの1日の予定やお仕事の休み等もスケジュールに書き込んでいきましょう。
・お子さんの医療的ケアが、おばあちゃん等の育児協力者やヘルパーさん達などの身近な人にも関わってもらえるようになると、ご家族も長い時間、自由な活動もしやすくなります。
家庭の経済を担うお父さんの負担も考慮が必要ですが、ご家族のみなさんが睡眠時間が確保できるように、朝のおむつ替えや注入などはパパが行えると夫婦がより円満になってよいのかなと感じております。
6.まとめ
・医療的ケア児を育てるうえで、病院や在宅、それぞれの場所に、医療的ケアや家族の生活をコーディネートしてくれる相談員さんが必ずいます。
体調は主治医。退院調整は医療相談員と病棟看護師さん。
在宅中のホームケアは訪問看護さん。発達や育児相談は保健師さん。福祉制度は相談支援員さんにご相談していくのがよいでしょう。
気が付いたことは、なんでもご相談くださいね
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