人形町今様[29.6.2020]
人形町はいいぞ.
水天宮をはじめ,七福神が狭い地域にぎゅっと集まっている.劇場が近くて,人形師の居住区だったことからついた地名だそうである.
東京のこの辺は本当に通りひとつひとつ顔が変わる.
馬喰町,紺屋町,鍛冶町,兜町,職業ごとに居住区が細かく分かれ,最適化されたつくりになっていたのだろう.
日本橋や茅場町から目と鼻の先,地下鉄もバスもいっぱい通っていて,交通の便も悪くない割には休日でも空いている.人形焼の発祥の地でもあり,古い店舗や街並みはあちこちに残っているのだけど,浅草みたいにごった返すこともあまりない.せいぜい平日の食事どき,その辺のオフィスから人が吐き出されてくるぐらいがMAXなので,日曜にくると拍子抜けする程度の人口密度である.
東京駅からも近い.
古い店,個人店も多くあるし,外したくない人のためにチェーン店もごろごろある.日帰りやライトに数時間遊びたい人には割とおすすめしている.古きよき東京を人に揉まれることもなく適度につまみ食いできる.
ボロボロの普請の前に急にランボルギーニとか停まってるのもおかしみがあってよい.
生まれも育ちも江戸川区の上司2と,昔この辺りを歩いた.まだ東京の東側のことをよく知らず,水天宮前の駅で待ち合わせて,人形町,小伝馬町,岩本町…と上りながら,「水天宮から秋葉原って普通に歩けるんだよ」と教わった.小伝馬町は昔で言う共同駐車場だぞと聞いて,そうか馬…と感心したものだった.
こうしてみると,当然ながら東京もひとつの地方なのだなと思った.地方としての東京生まれ東京育ち.豊かさとはこういうことだなあ.