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元日カニ騒動
奈良に越して来て、結婚し、義実家で年を越すようになった。
毎年必ず元旦の日はカニが出る。
小2娘と年長息子は一丁前に「カニなら美味しいから食べる」と2〜3年前と比べると断然食べるカニの量が増えた。
これは危機である。
ただでさえ高いカニ。その量だって安心してゆっくり食べながら腹がちぎれるほどある訳ではない。子どもたちまでカニ争いに加わってしまったら私が食べるカニの配分が少なくなるではないか!
義実家という手前、そんなにガツガツカニを喰らい付く訳には行かない。一応〝嫁〟なので我先にとカニを鍋から奪うことは出来ない。やはり気を使うのだ。
美味しい美味しいと子どもらが無邪気にカニを食べる。ほらほら食べやと義両親は孫が可愛いからカニを次から次へと与える。
あぁ、私の食べるカニの量が減る…醜い母の本性が現れる。オレの、オレのカニがぁ…
もうお腹いっぱい!とそそくさとゲームを再開しに隣の部屋へ移動する娘。その後息子もカニはもういいやと娘の後について行く。彼は途中で止めたYouTubeを再開しに。
さぁ、ここからが本番だ。子どものいなくなったカニ争い。今年こそは負けたくない。嫁=外部の者という概念を自分の中で壊したい。
夫はカニの日はいつに無く気合いが入っている。普段はジーパンなど履いているのにカニの日だけはカニの汁が飛ぶからとスウェットの部屋着を履いている。
ハンパない気合いの入れようだ。カニの為に着替えてまで臨むとは。
毎年皆のカニへのガッツに怖気付いて進んで鍋の中のカニを取りに行けない私は今年こそは積極的に取りに行く覚悟をしていた。
負けないぞ…がっついてるなという視線は気にするなっそんなの誰も見ていない、妄想だ。
己とカニの鍋だけに集中するんだ、全集中の呼吸、カニの呼吸!壱ノ型、皆がカニの身を取るのに必死で視線が下向きになっている時を狙って鍋からええ具合のカニを見極めて素早く取る軟甲綱十脚目!!
作戦は見事に成功した。気を使ってええ具合のカニを取ることが出来なかった過去の自分は捨てた。ビールと日本酒の呼吸も使ったので自分の中の殻を破って積極的にカニを狙いに行けた。
ええ具合のカニを今年は満足出来るほど頂けた。
もうこれで悔やむことは無いだろう。2021年はカニで始まりカニで終わった。カニ騒動を勝ち取った者はカニの呼吸の使い手となりいずれ柱となり得る。
来年もカニ騒動に打ち勝ちに行く!