推し活してたあの頃
今から28年前…インターネットも身近になく、推し活と言う言葉も無かった時代。好きなバンドの情報は自力で地を這って探すしかなかった。本屋へ行き、パチパチなどの音楽雑誌でバンドの情報を得て、チケットはわざわざチケットぴあへ早朝に行って並び、チケットが取れるかどうかは並び順と店員さんのパソコン捌きに運命がかかっていた。
今はどうだ、ググれば簡単にバンドのプロフィールやYouTube動画が見れるだろう。チケットだってスマホでパパッと簡潔に手に入れることが出来る。もちろん抽選の場合もあるが…
あぁ我の青春時代、平成よ。ソナタは不便ながらも己の力で情報を得て、始発に乗り、暗闇のなかチケットぴあへ行き極寒の中オープンまで待つ辛抱強さを私に与えてくれた。この情報過多時代、推しの数分前の行動さえも手軽にストーリーで知れる世界線、なんて素晴らしい時代になったんだい!
15歳で推しに出会った。どタイプの男前だった。その男前はバンドのボーカルで私は高校3年間をそのボーカルに捧げた。推しのライブ、毎日が輝いていた。自力でチケットを買い、こずかいをはたいて毎月ライブハウスへ通った。入り待ち出待ちは当たり前!下北沢、渋谷、新宿…
いつからか活動を潜めフェードアウトしていったボーカル。今は記憶の彼方だけど、その人以上にツボな顔面には出会ったことがない。
音楽好きになったのは完全にそのバンドのボーカルのおかげだ。その都度その都度、好きなバンドはあったけれど、この歳になるとさすがにライブハウス通いは辛いかな。それでも気になるバンドが浮上してしまった。不意にだ、完全に不意だ。
意識していないところから急に耳に入ってきた旋律。気になるリズムと歌声。そんな出会いありますかっての。出会ってしまったものは仕方ない。好きな気持ちは止められない。
高校生の頃のあのキュンとした思い出が蘇ってくる。全ての青春を捧げた日々。後にも先にもあんなに充実した推しライフは無いであろう。