0 本稿のポイント・国際商事仲裁手続きを利用するには、仲裁合意はマスト。 ・仲裁合意は私的解決が可能な紛争のみを対象。 ・仲裁合意は書面によらなけれならない。 ・仲裁合意の有効性と契約全体の有効性は別問題(分離可能性)。 ・仲裁合意の範囲は、仲裁条項の記載に従う。 1 はじめに今回は仲裁合意について、お話したいと思います。仲裁条項例に関する記載は別の回に譲るとして、仲裁合意はどのような場合に締結することができ、どのような場合に有効になり、はたまた無効になるか等につい
0 本稿のポイント・国際商事仲裁の秘密保護には三つのレベルがあり、それは①非公開性、②守秘義務、③秘匿特権である。 ・①非公開性は、仲裁手続が第三者に公開されないこと、つまり、傍聴したり記録閲覧等ができないこと。 ・②守秘義務は、当事者が第三者に仲裁手続の存在・内容について第三者に漏らしてはならないというものであり、法やJCAAなどの仲裁規則において定められる他、仲裁廷の命令や当事者の合意により、課すことができる。 ・③秘匿特権は、ディスカヴァリーが採用されても、証拠と
0 本稿のポイント・NY条約は、仲裁判断の承認と執行に関する統一的ルール ・UNCITRALモデル法は、各仲裁機関の仲裁規則の基となる仲裁ルール ・国際仲裁のリーガルフレームワークでは、最上層にUNCITRALモデル法、次に仲裁機関等の仲裁ルール、最下層に契約上のルールがくる。 1 NY条約とUNCITRAL 150を超える多くの国が加盟するニューヨーク条約。この条約は、1958年に成立しました。これによって、ニューヨーク条約に加盟する国では、仲裁判断は原則として承認、
前回は、国際商事仲裁の全体像を説明しました。今回は、国際商事仲裁の4つの基本原理について説明します。 0 本稿のポイント・①仲裁では、手続のルールも当事者が決められる。(当事者自治) ・②仲裁廷は、自ら、仲裁権限があるかどうかを決めることができる。(審理判断権限) ・③契約本体が無効だからと言って、それに付随する仲裁合意も無効になるとは限らない。(分離可能性) ・④すべての紛争が、仲裁に服することができるわけではない(仲裁可能性) 1 当事者自治の原則(Party
近時、盛り上がりを見せている(?)国際商事仲裁について、10回に分けて、解説していきたいと思います。 0 本稿のポイント・国際商事仲裁は裁判の代わりになる手続 ・国際商事仲裁を利用するには、仲裁合意が必要 ・裁判による判決では、海外資産に対して執行できない可能性が高いが、仲裁判断による執行はできる可能性が高い ・仲裁判断は申立てからだいたい1年くらいで出される ・仲裁機関は多々あるが、ニューヨーク、パリ、シンガポールの仲裁機関が特に利用されている。 1 国際商事仲