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負けず嫌いの料理修行~ましログらし5
1 はじめに
真しろは現在、修行場(エセックス大学)で寮暮らしをしている。寮といっても食堂があるわけではなく、少なくとも朝と夜は自分で食事を確保しなければならない。
そんなわけで、住み始めて1ヶ月が経ってから、真しろは料理修行を始めることになった。いや、始めずにはいられなかった。
今回の記事では、真しろが料理修行を始めるに当たって考えたことや、実際にどんなことから始めているのかについて簡単に記しておきたい。ちなみに、短く断っておくが、真しろは料理も含めて家事が恐ろしく苦手である。
2 負けず嫌いが火を付けた
上では、食事が付いていないから自分で料理をせずにはいられなかったと書いたけれども、出来合いの料理や冷凍食品を買ったり、食べる量を減らしたりすれば、別に本気で料理なんてしなくても、極論、死にはしないだろう。真しろが料理修行をしようと決意したのは、実は単なる負けず嫌いが理由なのだ。
真しろには、自分と同じで、料理などの家事が苦手な旧友が数人いる。中高時代は彼らと一緒に、手先が不器用な生徒として周りから馬鹿にされてきた。そんな彼らも、一人暮らしや寮暮らしなどで、自分で食事を確保しなければならないような状況になった。最初こそ、料理をせずに食事を確保していた彼らであったが、聞けば最近、ネット上のレシピを検索しながら、自分なりに料理をしているらしかった。ある人は親子丼を、ある人は豚汁をチャチャッと作れるようになってしまったらしい。昔はみんなそろって料理ができないからどうしようなんて笑い合っていたのに、これはまずい……! そんな動機で料理修行を始めるのはどうなんだと言われるかもしれないが、やはり真しろは、自分だけフライパンや鍋を片手に立ち止まって置いていかれるのなんてごめんだった。早く火を付けなければ、自分だけご飯が食べられないなんて嫌だった。だからその負けず嫌いな気持ちが、コンロのボタンを押したのだ。油を引くことさえ忘れたまま。
3 朝食から始めよう!
とはいっても、いきなり親子丼だの豚汁だの、自分にとって難しい料理を作るのはさすがにためらわれた。ひとまず、昔家族の手を借りながら頑張って作ったことのある朝ご飯の簡単なメニューから自分で作ってみることにした。何を始めるにも朝が肝心ということだろう。
下でも触れるが、こういうときに強い味方になってくれるのが卵である。真しろが朝ご飯として毎日作るようになったのは、ベーコンエッグとチーズトーストだ。チーズトーストはただトースターにトーストを入れてチーズを乗せるだけなので料理とは言えないかもしれない。しかしベーコンエッグは、それなりにやることがあるので、最初は緊張したものだった。うまく卵が割れなかったらどうしよう。形が崩れたらどうしよう。焼き加減はどれぐらいがいいんだろう。不安が不安を呼んで、最初うまく作れたときは本当に安心した。ちなみに今では、ベーコンエッグとチーズトースト、紅茶をキッチンに並べながら作業をするのが、1日の中で一番楽しい時間になっている。
4 たまご占い
確実にうまくやる方法はきっとあるのだろうが、料理修行初心者の真しろにとって、ベーコンエッグの形が崩れてしまうことは日常茶飯事だった。最初こそそれに不安を覚えていたが、慣れてくると、「今日は崩れるかな、崩れないかな」というわくわくに似たような気持ちになって、むしろ楽しくなってしまう。
あくまで真しろの感覚だが、形が崩れてしまう理由は……。
・ 卵がきれいに割れなかった。
・ 焼き加減が良くなかった。
・ フライ返しで卵を潰してしまった。
というようなことが考えられるのだろう。
いずれにせよ、形が崩れるか崩れないかを感覚で判断している真しろであるから、きれいなベーコンエッグができた時は、「今日はいいことあるかも!」と思うようにして、形が派手に崩れてしまった時は、「今日はついてないなあ……。」と思うことにしている。これがいわゆる、卵占いである。「そんなことをしていたらいつまで経っても人に振る舞える料理なんてできないだろう」なんて言う人もいるかもしれないが、料理は人に振る舞う以前に、自分が楽しんでやれるかが大事だと、初心者ながらに思うのである。朝ご飯でやる占いは、案外当たる物で、きれいなベーコンエッグができた日はテストの点数が良かったことは実際に起きたので、それなりの信憑性はあるかもしれない。
5 Song for You
ベーコンエッグの形が崩れてしまったとき、いつも頭の中で脳内再生されるのが、あいみょんの、『愛を伝えたいだとか』である。なぜなら、1番の歌詞に、「それに割れてしまった目玉焼き、ついてないなあ、バランスを取ってもあふれちゃうや」という部分があるからだ。うまく作れなかったときはいつもこの曲を聴いて、気分を落ち着かせている。ちなみにこの曲は目玉焼きがテーマではないと思われる。
ご視聴になりたい方はこちら。
https://open.spotify.com/track/3hnc4KOBcUB6bC7gGwlBPG?si=elc6ap1KRBmiYGtwE9xNGA
6 おわりに
ちょっと変わった動機で料理を始めた真しろであったが、少なくとも始めたころよりは、料理をすることに対して力が入らなくなった。「他人の評価を気にしたり、他人に負けたくないからと意地を張ったりしていては、きれいなベーコンエッグを作るどころか、潰れた黄身しか残らないよ。」と誰かに言われた気がしたからかもしれない。
次回はそんな料理修行をしながら考えたことを、エッセイ仕立てで記してみようと思う。
いろいろと書いていたら、フライパンからおいしそうな音がしてきたので筆を置こう。Have a nice day!