#30 私がフィリピン・セブ島にしばらく住んでみたけれど移住しなかった理由
2023年の秋から冬にかけて、セブ島に3か月滞在していました。海外放浪生活をはじめてから、自分はどんなところで暮らしたいんだろう、どんな暮らしがしたいんだろうと考えていく中で、私には明確な目標ができました。
海の見えるアトリエで、自分の好きなものを作りながら、のんびりと暮らす。
お家大好き人間ですから、フィリピン・セブ島に滞在するときも、家選びにはとことんこだわりました。むしろ「暮らしてみたい理想の部屋候補」が見つかったからこそ、セブ島に来たと言っても過言ではありません。
今回は現地でビザを更新するくらい、本気で移住しようか悩んだセブ島暮らしの感想です。セブ島でのんびり暮らすのもいいかもな…そんな気持ちを「ちょっと待てよ」と思いとどまらせた理由を3つご紹介します。
フィリピンの人は人懐っこいけれど…
フィリピンの人はとても明るく、人懐っこく、誰にでも気さくに話しかけてくれます。そんな中で声をかけられて自分のことを聞かれたとき、私はいつも「ひとりじゃないよ、仕事で来てる」と返していました。
そう、セブ島では一人でいるのか、家族と一緒なのかめっちゃ聞かれます。その上で個人情報がとてもオープンです。どんなに高級なコンドミニアムでも。
日本でも住民の噂話をする掃除のスタッフさんとかいますよね、それが当たり前だとイメージしてもらえれば。そして悪意なく噂がどんどん広がります。
フレンドリーといえば聞こえは良いけれど、どこの国だってスリも犯罪もあることを考えるとすこし危険です。
私の場合、「日本人の」「女の子が」「どこどこの階に」「長期間滞在している」という情報がいつの間にか警備員どころか併設のカフェの店員さんにまで筒抜けでした。
もし警備員の人が悪い人だったらどうしよう?
一人だとわかってナンパしてくる警備員もいるので、女子ひとりでの滞在というのは本当に面倒です。相手がこちらに関心のない諸外国なら問題ないのですが、相手がこちらに興味津々で、しかも人当たりがいい中で害になりうる人を見分けるのは本当に難しい。
だから本音を言えば、欧米よりも気を張っていました。
家の中だからって安全とは限らない。自衛が必要です。
道を歩いてれいれば「バイクはいるか」「何か買わないか」と声をかけられますし、タクシーで移動をしていれば停まっているタイミングで窓をトントンと叩かれます。(これはセブ島に限ったことでもないのですが)
常に誰かに構われている感のある国、それがフィリピン。フィリピンの人は構いはじめるとキリがないと思うのは私だけでしょうか。応対する元気のない時はつらい。もう私を放っておいて!って気分でした(笑)
根は良い人なんだろうなと感じることが多いので、そんな中で無視するのはすごくイヤなんですが、全員と友達になるわけにもいかないので。高級コンドミニアムといわれる受付のスタッフやガードマンでさえ個人情報の意識がそこまで高くないことを踏まえれば、自衛はしすぎて困るということはないと思います。
「フィリピンの人は人懐っこいけれどプライバシーがない」
セブ島の海は確かにきれいだけど…
海の美しさなら沖縄の方が圧倒的にきれい、って言ってしまったら元も子もないでしょうか。ここからはセブ島で暮らしていて、環境面で「うーん」と思った点です。
フィリピンに限ったことではないのですが、そもそも女子ひとりで、移動に困ることなく徒歩で動ける国は本当に稀です。セブ島の場合、歩道はガタガタで、移動は車とバイク、たまにローカルバスや乗り合いバスしかありません。
マニラやセブ島で便利な場所というと、マニラならBGCやマカティエリア、セブ島ならITパークやアヤラモールに隣接しているコンドミニアムですが、そこから海は見えません。
私の目的は海を見ながら暮らすことなので、セブ島内でもきれいな海はマクタン島のようなリゾートエリアに行かないと楽しめないです。けれど周辺環境が未開発なのでとても不便なんですよね。
あとネットが時々すごーく遅い。5Gと表示されていても遅いです。現地産の配車アプリや決済サービスなども、UIは良いのですが挙動が遅くて困ることがありました。
日常生活のインフラがいま一歩足りていない。これはフィリピンに限ったことではないですが、他の国が日本の7~8割の体感レベルで暮らせるなら、フィリピンは5~6割といったところでしょうか。停電も多かった。
急ピッチでいろんなものが開発されているフィリピンでは、一見きれいに見えるのに、素材や設備が見た目に伴っていないものが生活の中でとても多いです。すぐにボロがでる。言ってしまえばハリボテ感がすごいのですが、この話はまた別の記事でご紹介します。
「セブ島の海は確かにきれいだけど、それが部屋から見える場所は限られている」
英語留学が流行っているけれど…
フィリピンの公用語は英語とタガログ語です。
一応公用語となっている英語ですが、街中で聞こえてくる会話やラジオはほとんどタガログ語(またはビサヤ語)なので、アメリカやイギリスと比べると決して英語漬けという環境ではありません。
発音も人によっては結構クセがあると思います。あと、日本人が聞き取りやすいということは欧米人にとっては聞き取りにくいのでは?とか思ったり。
これは発音の勉強をすればするほど感じたのですが、日本人アクセントがダメなわけではないけれど、それを恥ずかしいと思ってしゃべれないのなら、フィリピンのアクセントで英語を覚えるのは本末転倒なのでは?と。
もちろん英語学習に関して良い面もあります。
フィリピンの人にとって英語は第二言語ですから、聞き返したり、単語を言い換えてのんびり意思疎通をとってもイヤな顔をされません。
そもそもフィリピンの人って本当に人懐っこくて、無愛想な人は100人に1人くらい。みんなニコニコしていて、香港から来た私はギャップで逆に怖くなってしまったくらいです。(香港でニコニコしてる人は100人に1人くらい。)
国によってこんなにちがうことある!?って思いました。極端な例の端から端にいってしまった気分。
安価に英語漬けの日々を、と望むなら確かにフィリピンは選択肢のひとつになりますが、日本でも英語漬けの日々を送れることを実現してしまった今から考えると、結局はその人のやる気次第なのかなと思います。
「英語留学が流行っているけれど、フィリピンである必要はない」
こんな風に移住しなかった理由をつらつらと書いてきましたが、それでもセブ島は、実は私の「こんな風に暮らしたい」という理想の7割を叶えてくれた場所でした。
まぁ、現地でビザを更新したくらいですから(笑)
はじめて自分から、実際に住むことに対して一歩踏み込んでアクションを起こした場所かもしれません。そんなリアルな移住も絡んだ話は、次回こっそり更新予定です。お楽しみに(?)
数ヶ月ずつ滞在して「どの国に住みたいか」を考える自由研究をしているフリーランスの考察・感想です。このnoteは移住計画の頭の中を綴っています。よろしくお願いします。