ひより奮闘日記【第16話】約1分で読めるシリーズ

ーーーーーー
【新店長襲来から4ヶ月】

進展があって、店長との関係は少し良くなりました。

店長の昔働いていた職場の人が来店して驚いていました。

「職を転々としているし、うちでは5年ほど働いていたけど……心配したよ」

盗み聞きは良くないけど、聞こえた会話。
どうやら店長はレストランでホール接客をしていたらしい。

「まあ君は静かな方だし合ってるね、話も上手くないし」

って、最初は仲良いのかなって見てたけど店長は目を合わそうとしないし話の雲行きが怪しい。

結局、嫌味というか高圧的に一方的に話して帰っていった。

カフェは良いよな。味がそんなに美味しくなくても客は入るしボーッと立ってればいいんだから、こんなことも言ってた。

私だったら言い返すのに店長は何も言わず大人の対応をしていた。

でもね、言い返してもいいと思う。

メニューは少ないけど、売上やお客さんの反応をみてコーヒー豆の配合替えたり改良しているの知ってる。

普段は無表情だけど、お客さんを前にすると口数は少ないけど悩みも聞いて優しい空間を提供してる。

陽気に話す人の方がイメージ良いのも分かるけど、努力が見えずらいのは悔しい。

個性だと思うけど、認められるのは難しいのかな。

「店長、ちょっとくらい言い返しても良いと思います。なんなら私がいいます」
「……気にしてない、スルーすればいい」
「気にしますよ……私が」
「他人の意見は話半分で聞く、じゃないと行き先がブレる。心配……かけたな」
こんなやり取りで、カフェを淹れてくるところが憎めない。

気遣ったら逆に気遣われた。

「他人の意見に一喜一憂していたら踊らされているだけで、目的地まで辿り着けなくなる。……八木も、惑わされず進め」

その一言に、きっと人生を歩んで学んで来たのだと思う。

私はまだ甘い考えかもしれないけど、店長に対して少しずつ尊敬の念が湧いてきた今日この頃。

私の活動も、少しは認めてくれているかも。

この一件から軽口だけど話すようになって、距離は少し近くなったのかなと思います。

ーーーーーー

---

もうすぐ4月、新学期や入学、入社式など新たに始めることが多い季節となりました。

皆さんはどうお過ごしですか？
私は、はちみつシロップを炭酸で割りレモンを添えて爽やかな朝を迎えました！

明るい春を迎えたいものですね。
今日もお疲れさまでした！

by八木ひより