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私だけのダイエット(前半)

レコーディングダイエットは自分に合っていると思っていた。
あすけんのアプリでカロリーや栄養バランスを確認しながら献立を考えられるし、痩せるための適量を知ることができる。
家事の合間に記録しつつ昼と夜の食事のことを考えることが、私の一日の中に組み込まれていた。

このサイクルが壊れたのが、年長さんだった息子が卒園し、春休みに入った一日目である。

「おかあさん、おひるごはんなに?」
「おかあさん、いっしょにプラレールやろうよ」
「おかあさん、ゲームやっていい?」
「おかあさん、こうえんいきたい」
「おかあさん、ばんごはんなに?」

めちゃくちゃ話しかけられる。
朝起きてから夜寝るまで、普段から口数の多い息子は唯一の話し相手である母を逃さない。
ちなみに在宅勤務で夫も家にいるのだが、コロナ以降ずっとこの生活スタイルなので慣れたもの。特別に用事がない限り仕事場には近づかない。

それまで息子が幼稚園にいる間にあれこれ考えて献立を組んでいたのに、とにかく思考を遮られて前に進まないのだ。
スマホを開いてボンヤリ眺める隙がない。

こうして、あすけんに入力できない日が積み重なり、とにかく子供が食べてくれるメニューに偏った状態で春休みを終えた。
あすけんのアプリをダウンロードした時は、息子の入学式でパンツスーツをシュッと着こなすことを目標としていたのだが、今ひとつ改善されないまま着ることとなった。残念である。

息子が小学校に入学してしばらくは登校に付き添っていたのだが(集団登校ではない)、それがなくなり7時半に玄関で見送るようになると、急に時間ができた。
そこで私は30分程筋トレでもしようかとアプリをインストール。
Twitterでフォローしている方が『筋トレでお腹が締まった』と言っていたのに安易に影響を受けたのである。
持っていたのにずっと部屋の隅で丸まっていたヨガマット(15年前に購入)をリビングに広げ、娘にEテレを見せている間に取り組むことにした。

筋トレは良い。やった感がすごい。
アプリがメニューを組んでくれるし、筋トレをお休みする日も設けられている。
終わるとヘトヘトになるが、やり続けるとプランクが初日ほど辛くなくなってくるのだ。ちゃんと鍛えられている。

しかし開始2週間程で敵が現れた。
娘である。
最初からちょこちょこ邪魔はされていたのだが、段々と攻撃力が上がってきたのだ。
私にトレーニングの指示を出しているスマホに手を伸ばしてくるだけだったのが、開始と同時に突撃、お腹や背中に乗っかってくるので異常な負荷がかかる。
楽しいEテレには目もくれず、床に転がる母と戯れようと目をキラキラさせる娘。
当時はまだ歩行がおぼつかない1歳児ではあったものの、ずり這いのスピードは速く、こちらの体につかまり立ちなどされては危なくて身動きがとれない。

ちょうど生理前の怠さに鞭打っていたことも相まって、私は早々に白旗を揚げた。
こうも続かないものかと、さすがに自己嫌悪に陥ってしまう。

育児中というのは本当に不自由だなぁ、と。
時間はあるのに出来ないことが多いのだ。
未就園児がいるというだけでスポーツジムやランニングはNG。とにかく外出はできない、かといって上記のように室内で筋トレをするのも妨害され、産後の妻に『ダイエットしたら?』などと不用意に言いやがる世の夫たち全員に抗議したい。まず運動できる環境を用意してくれ。話はそれからだ。

ダイエット向きの食事作りもままならず、筋トレも妨害される。
しかしこのままの毎日を送っていては、誰も何も変わることができない。娘の攻撃力だけどんどん上がっていく。
毎日家事育児に追われながら考えて考えて辿り着いた最適解については、後半に続く…


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