いたまさお

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写真論の体を装った小説ーー失われた母を求めて               ロラン・バルト『明るい部屋』

ロラン・バルト最後の著作となった写真評論、バルトによる「写真とは何か」を探る試み。 ロラン・バルト『明るい部屋』花輪光訳 みすず書房 ロラン・バルトの『明るい部屋』は、著者自身が心を動かされる写真、そしてその印象から出発して、主観的感覚の明証性からわかる「写真」とは何かということを説明しようとするバルト最後の著作です。写真論としてはスーザン・ソンタグの『写真論』、ヴァルター・ベンヤミンの『写真小史』に並び、古典的な著作となっています。 第一部で著者は写真から受ける感動を

    • セクシャリティの観点から見る市場経済 現代社会で性的弱者であることの残酷さ ミシェル・ウェルベック『闘争領域の拡大』

      28歳童貞、醜男。女の子をおとせる見込みなし。現代社会で性的弱者であることの現実を仮借なく描くフランス現代文学を代表する作家ミシェル・ウェルベックの最初の小説作品レビュー。 ミシェル・ウェルベック『闘争領域の拡大』 中村佳子訳 河出書房新社 2018年 本書は1994年に発表されたミシェル・ウェルベック初の小説作品の邦訳が文庫化されたものであります。ウェルベックはフランスいちセンセーショナルな作家という評価をほしいままにしている何かとお騒がせものの作家であります。本作品は

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