人事評価の出口基準と入口基準とは?
今回は、私がコンサルティングファーム勤務時代に、所属メンバーの業績評価や、昇進・降格、採用に携わっていた経験をもとに、読者のみなさんご自身のキャリアデベロップメントについて、ヒントになるかと思う視点をご紹介できればと思います。
業績評価や採否に求められるポイント
コンサルティングファームに限らず、事業を遂行するあらゆる組織において言えることだと思いますが、業績評価とは、その組織が顧客に提供する価値を最大化する視点で行うべきだと思います。
今いる社員を、学校時代の通知簿のように、今いる生徒を一定の比率で評価5から1まで、分類するのとは違うと思っています。
弊社では、たまたま状況や顧客に恵まれて高収益を達成した場合は、業績賞与で該当する社員に還元しますが、その社員自身の実力レベルが向上して、今後もその成長度合いを、他の顧客にも適用できる場合には、昇給や昇格に反映する形で評価を行っています。
利益を上げた場合に、短期的なものか、今後も継続できるレベルアップにより、継続的に再現性のある高業績なのかを、上司は客観的に判断し、評価会議で責任をもって、他の評価者に説明し合意形成を図ることが求められています。
ですから、上司の側も忙しい中にも、結果だけでなく、メンバー個々の実力の伸長とその経緯を把握していることが必要となってきます。
なんか、厳しすぎるとお感じの方もおられるかもしれませんが、お客様の立場だとすると、期待の成果をあげてもらえるかどうかが、最大の関心事であると思いますので、厳しい評価をする側も、される側も必要なんだとご理解ください。
出口基準の特徴
さて、そういう中でも、出口基準と入口基準という2つの考え方があると思っています。
評価は、公平に行うべきですし、全員は無理にしても、限りなく多くの人が理解して、合意できることが重要であることは当たり前の話です。
ここで、まず、わかりやすいと感じている出口基準からご紹介します。
出口、ある取り組みをした結果、出口の段階で行う、昇格対象者とするかどうかの基準のことです。
ここでは、年齢や経験年数ではなく、あらかじめ、明らかに公開し、明文化して共有している基準を満たしているかどうかが、判断ポイントです。
そして、過去の取り組みの結果として、実績がその基準を満たしているかで判断するので、出口基準と呼んでいます。
出口基準は結果で判断するので、わかりやすいといえますが、潜在的にまだ発揮していない実力を埋もれさせる懸念があります。
入口基準の推奨
一方、入口基準はどんなものでしょうか?
豊富な経験と判断力がある評価者が、このメンバーは、まだ実績は残していないが、いろんな行動やリーダーシップ能力から判断して、一つ上の段階で本人に実体験をさせても、十分な実績を生み出すだろうと、入り口段階で上のランクに昇進させて、経験させるというものです。
周囲は、理解しづらい、不公平だという声も出ることは想定したうえでの、判断になります。
その対象者が、本当に実力を潜在的にもっていれば、このような経験を実地にさせることで、早期に芽が出て花が開くことを促す効果もあります。
その代わり、時期尚早、もしくは、評価者の誤りであれば、降格もあり得ます。
高校野球の強豪校で、3年生と2年生で、ほぼ同じ実力だと判断した監督は、次年度のリーダーを育成するためにも、2年生をレギュラーにすることがあるのと、同じ考え方かもしれません。
組織ではなく、自身の成長のためには。。。
ここまでは、チーム内や組織内でのレベルアップと評価を前提にお伝えしてきましたが、ご自身の夢や希望については、どうでしょうか?
何かやりたいことがある場合、やりたいということは、まだ実現できていないんだろうと思われます。
そこで、実力を付けてから、取り組もうとしていると、だんだん不安が募り、なかなか第一歩を踏み出せなくなることが起こるように思います。
もちろん、全く無謀なギャンブルのようなリスクの高すぎることをお勧めしているわけではありません。
でも、第一歩を踏み出さないと次の展開がない場合は、この「入口基準」を用いて、決断するのも、一つの考え方ではないかと思っています。
本稿が、少数派かもしれませんが、何かのご参考になれば幸いです。
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