『時間がない』と登山の話。
時間がない。と言ったことは誰しもあるだろう。
もちろん私もある。
最近では、
時間がないって言うな!
時間は作るものだ!
なんて説教じみた言葉も聞くようになった。
最もらしく聞こえるけど、
今ではまったく論理的でない、
感情論に聞こえるようになった。
本当に時間が作れるなら、
あなたはきっと神様ですね。
なんて言いたくなる。
さて、
今回は時間について、、、ではなく、
時間がない。という言葉についての話。
結論を先に言うと、
時間がない。って言ってるときは、
やるべきこと、義務感で過ごしてる時で、
限られた時間で事を成す、
詰め込み学習みたいなもの。
ちなみに、
やりたいこと、欲求で過ごしてる時は、
時間が足りないって言葉をチョイスします。
限られた時間で事を起こす、
自由学習みたいなもの。
時間がない。
時間が足りない。
この二つの違いにビビビッときました。
成すべき事が重要になると、
とたんに窮屈な時間になります。
成すべき事を目指す人生こそが素晴らしい。
何かを成す人が素晴らしい。
そんな価値観は平成で終わりにしよう。
偉人は自分で偉人になったわけではない。
そう思えてなりません。
***
アリストテレスの
キーネーシスとエネルゲイアという
言葉があります。
わかりやすく簡単に言うと、
キーネーシスはキー(鍵)を手に入れる
ゴールを目指す生き方と覚え、
エネルゲイアは、
エネルギー(源)そのものと、
覚えるとわかりやすいです。
登山を例にあげれば、
頂上に行くことが目的のキーネーシス登山。
山を登ることが目的のエネルゲイア登山。
キーネーシスでは、
頂上に行けば○、行けなかったら×
頂上に行けさえすれば、ヘリでも何でもいい。
早く着くことが考える。
エネルゲイアでは、
頂上に着くかどうかは問題ではなく、
登ることが目的のため、
1歩でも100歩でも1,000歩でも同じ。
登っている限り目的は達成し続ける。
何をして登ろうか?を考える。
蝶々を追って登ろうか。
景色を見ながら登ろうか。
私は頂上へ行きたいのか?
それとも、私は山を登りたいのか?
***
人生に置き換えると、
キーネーシスの人生は、
何かを成すことを目標にする。
成さなければダメな人生になり、
成すためなら、何をやってもいいし、
早く成すことを考えることが多い。
合理性や効率ばかりを考えていた私は、
まさしくこれに当てはまる。
ヒトはいつも考えているような人間になる。
エネルゲイアの人生は、
生きることが目的であり、
生きている限り、それは達成し続ける。
生きてることがすでに素晴らしいということが、
40間近になってやっと…
やっと腹に落とし込めたのだ。
***
話を戻しますと、
時間がないと言ってる時は、
キーネーシスの生き方をしているのです。
人生とは何かを成さなければいけないし、
それは誰よりも早い方がいい。
いやしの言葉としては、
遅くてもいいから、自分のペースでいいから、
何かを成しなさい。
こんな癒しの言葉もある。
しかし、
これでは肝心な部分が変わっておらず、
本当の癒しには繋がらないのではないだろうか。
エネルゲイアの人生では、
生きることを目標にしているため、
生き続けるには時間が足りないのです。
時間がないのではなく、
足りないのだ。
もうこれ以上伸びない。
そんな残念だけど、これは仕方ない。
それが人間の寿命であり、
きっと生の美しさなのだ。
私はそれを感じないまま、
早く成すことばかりを目指してきた
自分が悲しくなった。
見えた景色なんてあまり覚えてない。
お金と時間と数字ばかりの思い出。
思考ばかりの人生だった。
人生は何も成さなくてもいい。
そんな遊び心を取り入れていたら、
至高の人生だったのではないかと、
少し悔しく思う。
でも、私はまだ生きてる。
これからは、早く成すことは一旦置いて、
何をして生きようかと考えていこうと思う。
生きる事を目的にする人生を選ぼう。
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