魔女とキルケゴール。
どれだけキミのことを考えただろう。
どれだけ悩みぬいただろう。
それはまるで初めての恋文のように、
なんどもなんども、
なんどもなんども、
書きなおした言葉。
どれだけの言葉が犠牲になっただろうか。
たくさんの犠牲の上にたった
私にとってシンデレラのようなその言葉は、
残念ながら、
キミには届かなかった。
届かなかったのである。
あぁ、まただ。
多くの人は王子様の言葉に従うのだ。
魔法で カボチャの馬車を用意しても、
魔法で かがやくドレスやガラスのくつを
仕立てても、
王子様にはかなわない。
醜い魔法使いでは力足らずなのである。
何度この味をあじわっただろうか。
どれだけ味わっても慣れやしない。
ぎゅっと胸がしめつけられる痛み。
にがい鉄の味がした。
私にキルケゴールの救済はあるのだろうか。