【詩】喪失と絶望の世界の中で灯りを探す旅に出る
あなたは
自分の道を
自分で選んだ
それを私たちが
受け止めるのは
あまりにも酷だった
私たちは
喪失感のあまり
ただ固まって
絶望の夜の海に
放り投げられた
その海の底にも
あなたはいなかった
水面へ這い上がるには
エネルギーが必要で
何もかもが
カラカラな私たちには
海が必要になっていた
夜の海
夜光虫が光って
綺麗なのは水面だけ
海の底には
得体の知れない
奇怪な魚たち
難破船を見つけ
その中に入ってみる
入ってみたところで
よけいにつらさが増す
隠れ蓑にはならなかった
涙をこぼしても
周りから泣くなと
怒られて
涙は海の底に置いてきた
陸に上がって
世界を見渡す
世界は何事も
なかったかのよう
私もその世界に
戻ってみようと
足掻いてみる
それすらも叶わず
私はますます
絶望の世界に浸っていく
そう
きっとあの人も同じ
絶望の底から二度と
這い上がることはない
それなら私も
覚悟を決めて
夜の海の底のような
暗い闇の世界で
生きていこう
あなたと同じ
暗い海の底で
あなたと
同じ気持ちを味わいたい
先のことは分からない
分からないから苦しい
夜の海は怖いから
せめて仄かな光が
自分を確かめる
ことができるくらいの
仄かな光が欲しい
コメントはオフとさせていただきます。
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