想い出シリーズ｜入寮決定
彼の東京行きが決まってから、寝るのが怖くなった。目を瞑ると過去が走馬灯のように蘇って涙が溢れてくる。どうしたんだ自分。
昨日のことから幼稚園時代のことまで、時系列もバラバラ。この前は小学生の時に一緒にお風呂に入っていたことが映画のフィルムの様に頭に浮かんでいた。
彼が隣にいなかったことはない。当たり前だけどずっと一緒にいた。少なくとも中学生で「くそばばあ」と言われるまでは。
懇談会で一緒に学校へ行く時は「3メートル離れてくれ」と命令された。懇談会の最中もムスッとして口を聞かないし帰り道も3メートル離れて歩いた。ちょっとでも近づくと「シッ！」と手で避けられる始末。
それが高校になると落ち着き、隣を歩いても文句は言われずに済んだ。高校の個別懇談会で私は「第1志望は○○大学ですよね？」と言って大恥をかく。その後の懇談会で担任の先生が私に話を振ることはなかった。
大学に入っていわゆるデビューをするのだけど、それでも遅かったくらいなんだな。高校の時もっと遊べば良かったね。それも家庭のことを考えてくれてたのかな。
今日は会社へ書類を送るために「切手ください」と100円を持ってきた。でも今封書は110円。「10円足りんけど？」と言うと「10円くらい負けて」との返事。
このゆるさが親子だなあとしみじみ。彼に負けたお金、お釣りは数しれず。本当に抜け目がない子だけどやはり子どもなら全く気にならない。
誕生日にプレゼントは何がいいかと聞くと決まって現金と指定された。親もバカだから(笑)ちゃんと現金を差し上げた。本当に子どもがすることは許されてしまうんだよなあ。
寮に入ることが決定した。3つある寮の中でも2番目に近いところ。住所は神奈川県になるけど、いろいろ遊ぶところができていいやん。寮は朝夜食事付きでコインランドリーが備え付け。風呂トイレが集合なので多少不便だけどしばらくは我慢してもらうしかない。
3年経てば寮からは出ていかないといけない。まあ一人暮らしの手始めとしてはピッタリじゃないかな。ただ、ボーナスがないので貯金をしっかりしておいて欲しい。あの子のことだから不安はないけれど。
Xデー（？）もほぼ決まった。ちょうどあと1ヶ月。どのようにこれから心境が移り変わって行くのだろうか。
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