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12兆ドル規模の製造業を脅かす「3Dプリンター」とは?注目銘柄も紹介!

1.3Dプリンターとは?

日本語では、立体印刷機といい、3次元的なデータをもとにして、スライスされた2次元の層を1枚ずつ積み重ねていくことによって、立体モデルを製作する機械のこと。

薄い層を積み上げる積層方式を基本としながら、液状の樹脂を紫外線で少しずつ硬化させる「光造形方式」や、熱で溶かした樹脂を積み重ねる「FDM方式」など、様々な方式のプリンターが存在します。

小型のものから大型のものまであります。

2.3Dプリンターの昔と現在

3Dプリンターは、1980年代に誕生しました。当時は見た目が悪く、高価で、スピードは遅く、プログラミングは難しく、壊れやすく、プラスチックしか印刷できませんでした。
しかし、現在では元素周期表をほぼ制覇し、数百種類の材料をフルカラーで印刷できるようになりました。
しかも、プリントアウトできるものも高度になっていて、ジェットエンジンからマンション、回路基板や義肢まで、3Dプリンターは短時間で、ますます複雑な装置を生み出すようになりました。

3.製造業に及ぼすこと

3Dプリンターは本質的にオンデマンドで(要求に応じて)動かせることから、在庫にともなうあらゆるコストが消滅します。
それによって、サプライチェーン(物流システム、供給網)、輸送ネットワーク、資材置き場、倉庫などはすべて不要になります。これこそが、3Dプリンターが12兆ドル規模の製造業を脅かすと言われる要因です。

4.3Dプリンターの実用例

『航空宇宙+3Dプリンター』
メイド・イン・スペース社がISS(国際宇宙ステーション)への物資供給にかかる時間とコストを削減しようと、宇宙で使用できる3Dプリンターを開発しました。

『コンピューティング+3Dプリンター』
ナノ・ダイメンション社が商業用回路基板を印刷できる3Dプリンターを開発しました。これによって、商業用回路基板の作成にかかる時間が数か月から数時間に縮まりました。

『クリーンエネルギー+3Dプリンター』
クリーンエネルギーを実現するうえで最も重要なバッテリー、タービン(流体のエネルギーを回転運動に変換して動力を得る原動機)、太陽電池を作るのに3Dプリンターが使われています。

『バイオテクノロジー+3Dプリンター』
2002年 世界初の3Dプリンターで作った人工腎臓が登場。
2010年 世界初の3Dプリンターで作った義肢が登場。(アンリミテッド・トゥモロー社、オープン・バイオニクス社)
同年、オルガノボ社が血管を作成。
現在 プレリス・バイオロジックス社が毛細血管、アイビバ・メディカル社が腎臓を記録的スピードで印刷。
このようなバイオテクノロジーに対する3Dプリンター技術の劇的な変化から、2023年には3D印刷された臓器が市場に登場すると予測されています。

『建設+3Dプリンター』
ブレット・ハグラー氏が設立したニューストーリー社が太陽光発電を使った3Dプリンターを開発しました。これによって、48時間で37~48平方メートルの住居を6000~10000ドルで印刷できるようになりました。

↑3Dプリンターで作った家

5.コロナの3Dプリンター業界への影響

ARK社のレポートでは、3Dプリンターの売り上げは減少していたが、今回のコロナ禍で、3Dプリンターの用途が広がったと述べられています。

コロナ禍でかなり活躍した例を挙げると、人工呼吸器バルブや緊急呼吸装置やフェイスシールド、マスクなどを3Dプリンターで作ることができます。

6.3Dプリンターの市場規模と成長性

3Dプリンターの市場規模

ARK社のレポートでは、3Dプリンターはまだ始まったばかりの分野であり、今後は最終製品(END-USE PARTS)の分野のポテンシャルが大きくなると述べられています。

確かに下図をみると、最終製品(END-USE PARTS)の分野は、試作(PROTOTYPES)や金型(MOLDS & TOOLS)の分野とは桁違いのポテンシャルであることがわかります。

試作(PROTOTYPES)⇒工業製品の設計・開発段階において、内部構造や動作状況を確認するための試作品。金型不要で短期間・低コストにて作成、評価でき、製品開発のリードタイム短縮につながります。

金型(MOLDS & TOOLS)⇒射出成形やプレス成形に用いる型(金型)。工業製品の設計・開発段階においては、試作用の簡易型が繰り返し利用されますが、これを3Dプリンターで作成することで、短期間・低コストにつながります。

最終製品(END-USE PARTS)⇒一品ものの特注品、少量生産品、交換部品などの最終製品をダイレクトに3Dプリンターで製造すれば、型の製作工程が不要になり、コスト削減や製造時間の短縮になります。

次に3Dプリンターがどの業界で活用されるか見ていきたいと思います。

上の図を見ると、最も割合が高いのが航空宇宙分野(Aerospace)だとわかります。

航空宇宙分野の中で、人工衛星にフォーカスしてみます。
人工衛星は技術の進歩による打ち上げコストの低下によって、今後打ち上げる量が増えるとされており、非常に明るい分野だと言えます。

3Dプリンターの成長性

ARK社のレポートでは、3Dプリンターの世界での市場規模は今後5年間で毎年約60%増加し、2025年までに120億ドルから1200億ドルになると述べられています。

わずか5年の間に市場規模が10倍になるのならば、かなり魅力的です。

7.3Dプリンター関連企業

↑株式公開している3Dプリンター銘柄と売上高

ここで、上記のグラフの中にある銘柄をいくつか紹介しようと思います。

$SSYS
イスラエルの3Dプリンターメーカー。
製品の設計・製造工程で使う部品や、直接生産の部品用に付加的製造ソリューションを提供。アイデア・デザイン開発向けにデスクトップ3Dプリンターを提供するほか、ラピッドプロトタイピングやデジタル生産用に生産システムを提供する。
$DDD
専門技術ユーザーと一般ユーザー向け3Dプリンター、印刷資材、特注パーツなど3Dコンテンツの印刷ソリューションを提供。同社の3D印刷技術は、デジタル入力から実際のパーツを直接製作できるため、製品設計から製造までの納期短縮や費用削減に活用される。

以上の2つの銘柄が3Dプリンター業界の売上高の大部分を占めています。
しかし、両社ともに売上高は減少傾向にあり、利益も赤字となっており、業績が良いとは言えません。

$MTLS
3Dプリント用のソフトウェアや生体工学用のソフトウエアを開発・販売。試作品製作の支援やコンサルティングサービスも行う。同社の製品は自動車、航空宇宙、家電、消耗品、整形外科、心臓血管、顎顔面、歯科産業のほか、建築、ファッション、ジュエリーや芸術分野で使用される。
$XONE
米国、ドイツ、日本の生産サービスセンターを通じ、顧客へ生産開始前の共同制作や印刷した製品を提供する。研修や技術サポート、消耗品や交換部品なども提供。同社の3Dプリンターは、特殊シリカサンドとセラミックスから鋳型とコアを製造することができ、産業用の金属に印刷することで、直接製品の具体化が可能である。
$VJET
個人や企業の顧客へ高速・大型の3Dプリンターやオンデマンド部品サービスを提供。同社の3Dプリンターは、粒状材料と独自の化学結合剤から成り、様々な材料を使用して部品を製造するため、粉末の結合、添加剤製造技術を採用する。製品は、自動車、航空宇宙、映画、エンターテイメント、芸術・建築分野などに利用。
$NNDM
イスラエルのコンピュータ画像印刷企業。主に、多層回路基板を印刷するための3D多層PBCプリンターの開発・製造に従事。ジェット・プリンター・システムは自宅やオフィスで多層回路基板の印刷に使用される。また、3Dプリンター用の微小工学インクを開発、伝導ナノ銀粒子インクや絶縁ナノ・ポリマー・インクなどを製造する。

以上の銘柄が主な3Dプリンター関連企業です。

8.最後に

どうだったでしょうか?

3Dプリンターは簡単な作業で本格的なものを作ることができ、その最終製品のポテンシャルは今後増加すると見込まれています。

なので、12兆ドル規模の製造業にかなりの影響を及ぼすと思いますし、現在の3Dプリンター関連企業の株価の急騰にも納得できます。

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