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バイオテクノロジーの未来と銘柄まとめ(医療編)

1.バイオテクノロジーの今後と注目すべきテーマ

バイオエコノミー(生物経済)がデジタル化に匹敵する技術革新を起こし
2030年には180兆円の巨大市場になる予測です。

この記事では医療テーマについて書いてあります。
(食料と環境に関する記事は近いうちに書きます。)

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2.医療概要(遺伝子治療・ゲノム編集)と関連銘柄

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1.遺伝子治療(従来法)

近年では、がんの医療に遺伝子情報に基ずく治療が発展しています。

一部のがんでは、がん遺伝子検査を行い、いくつかの遺伝子を調べ、その遺伝子情報をもとに診断、薬の投与が可能になりました。

例えば、一部の血液のがん(慢性骨髄性白血病)では、病気の原因となっている特定の遺伝子(BCR-ABL融合遺伝子)によって確定診断し分子標的薬を選択します。さらに、遺伝子の量をはかることで治療効果の確認を行ったりすることがあります。

~銘柄紹介~(米国株)

$ILMN
遺伝子機能の大規模解析を行うためのシステムを開発。
最近では、血液検査からがんを見つけることができる技術を開発したGrailを買収。
$NVTA
遺伝性のがんなどの遺伝子検査・診断サービスを開発。
$EXAS
大腸癌及び前癌状態の早期発見のためのリキッドバイオプシー製品(排便からDNAを検出し大腸癌に関わる遺伝子から癌を見つけだす製品「Cologuard」)の開発。
     
リキッドバイオプシー
→低侵襲または非侵襲的に得た体液から診断・治療選択・再発の確認をする、今後医療現場での需要が拡大するであろう検査手法のこと
2028年までに20-30%の市場成長予測
$PACB
遺伝子解析のための技術を開発、製造、販売する。ナノファブリケーション、生化学、分子生物学、表面の化学的性質と光学の発展を組み合わせることで、一回の分子反応で生体分子のリアルタイム分析が可能な単一分子リアルタイム(SMRT)技術プラットフォームを開発。    

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2.ゲノム編集治療

2020年のノーベル化学賞は、ゲノム編集技術「CRISPR-Cas9システム」
基礎研究を行った2人の女性に贈られました。

この「CRISPR-Cas9システム」は、効率よく正確に狙ったDNA配列を切断できるのが特徴で、遺伝子の働きを失わせること(ノックアウト)も、
異なる配列を加えてDNAを書き換えることも可能です。

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また、「CRISPR-Cas9」システムは簡単に安く、高精度なゲノム編集ができるため世界中の研究者に爆発的に広がっています。

ただ、CRISPRを含むゲノム編集は一般的に、発症や進行に複数の遺伝子が絡むような疾患への応用は難しいとされており、標的と似たDNAを誤って編集する「オフターゲット効果」の懸念もあります。

さまざまな疾患に応用が期待されることは間違いありませんが、今の技術が決して万能というわけではなく、技術の改良や安全性を高めるための研究が進められています。

そんな中、治療応用で先行しているアメリカの3社を紹介したいと思います。

$EDIT(エディタス・メディシアン)
「CRISPR-Cas9」を商標登録し、特定のDNAを認識し削除した後ゲノム配列を編集する技術を開発。
例として、In vivo(体内)で最も開発が進むのは、エディタスの眼疾患治療薬「EDIT-101」。レーバー先天性黒内障10型を対象に、自社で臨床第1/2相(P1/2)試験を行っています。
同社はまた、Ex vivo(体外)として、米ブリストル・マイヤーズスクイブと、αβT細胞療法と呼ばれる活性化自己リンパ球療法の開発も行っています。
$CRSP(CRISPRセラピューティクス)
バイエスとバーテックス・ファーマシューティカルズと提携し、
「CRISPR-Cas9」を開発。
例として、鎌状赤血球症/βサラセミア治療薬「CTX001」のP1/2試験を実施中。
20年12月には、同試験のフォローアップ期間が3カ月を超えたβサラセミア患者7人全員が輸血を必要とせず、同様に鎌状赤血球症患者3人全員で血管閉塞症が見られなかったとする良好な途中経過を発表しました。
同社はまた、幹細胞由来の補充療法を手掛ける米ヴィアサイトとともに、免疫抑制を必要としない1型糖尿病治療用のβ細胞置換製剤を開発しています。
$NTLA(インテリア・セラピューティクス)
「CRISPR-Cas9」を利用。
例として、米リジェネロンとトランスサイレチンアミロイドーシス治療薬「NTLA-2001」のP1試験を実施中。両社は血友病A/Bでも提携しています。インテリアのIn vivo治療薬は、デリバリーシステムに脂質ナノ粒子(LNP)を使っているのが特徴。
Ex vivoでは、スイス・ノバルティスと鎌状赤血球症治療薬のP1/2試験を行っています。

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また、CRISPR-Cas9を発展させた技術の開発も進められています。

その中で先行しているアメリカと日本の企業を1社ずつ紹介します。

$BEAM
「CRISPR-Cas9」をもとに、ゲノムの単一塩基を書き換えることにより、疾患の原因となる変異を修正・改変するともに、保護的な遺伝的変異を作成する塩基編集技術を開発し、同技術を使用し遺伝子医薬品の開発を行う。
例として、鎌状赤血球症とβサラセミアを対象とするEx vivo治療「BEAM-101」のIND申請に向けて準備を進めています。
モダリス(4883)
CRISPR-Cas9を応用した治療法を開発中。
同社は「dCas9」(切断機能を無くしたCas9酵素)を使って遺伝子のスイッチのON/OFFを調整する「CRISPR-GNDM技術」を持っており、筋疾患や中枢神経疾患に対する治療法を開発しています。

3.その他注目したいアメリカバイオ銘柄

$ABBV
主にC型肝炎、神経学、免疫学、腫瘍学、慢性腎疾患および女性の疾患などの分野における医薬品の開発。
主力製品はリウマチ性関節炎や乾癬治療薬「ヒュミラ」など。
$FATE
幹細胞関連で先進的な医薬品の創製を目指す。
例として、造血幹細胞の移植後の定着を高める作用を持つ幹細胞調整薬「FT 1050」を開発。なお、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製にかかわる実験法の特許を所有す。
$CDAK
細胞間のコミュニケーションツールとして機能するエクソソーム(細胞外小胞)を改変・製造する独自プラットフォームengEXを保有し、がん、神経筋疾患、感染症のエクソソームベースの治療薬の開発を目指す。
$PSNL
バイオ医薬品企業に対し、がん患者のがんと免疫反応に関する包括的な分子データによる免疫ゲノム解析・分析データを提供。
同社のプラットフォームImmunoID NeXTにより、個別化がんワクチンおよびその他の次世代がん免疫療法の開発をサポートする。
$BNTX
がんやその他の重篤な疾患に対する新規治療法の開発。
同社のがん領域のポートフォリオには、市販または個別化されたmRNAベースの免疫療法、キメラ抗原受容体T細胞療法、新たな標的がん抗体、低分子免疫調整薬が含まれる。
また、さまざまな感染症を対象としたmRNAワクチンを開発。

4.最後に

本記事では、バイオテクノロジーの中でも医療テーマの概要と14の企業に
ついて書いてみました。

個人的に医療についてはかなりの関心があるので、楽しく記事を書き上げることができました。

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