地球にやさしい企業『サステナベーション』が次世代を制す!?
この記事は、藤原遠(NTTデータ副社長)さんの著書「サステナベーション多様性時代における企業の羅針盤」を一部参考にして書き上げています。
1.サステナベーションとは?
サステナベーションは、サステナブル(地球環境の持続可能な発展)とイノベーション(技術革新)を組み合わせた言葉です。
【サステナブルの大切さ】
カリフォルニアの大手電力ガス会社のPG&E が破綻しました。
これの直接的な原因としては、11件の山火事の原因をつくったとして、3兆円を超える賠償金を請求されたからです。
これはほんの1つの例にすぎません。
これからの時代は、政府による環境問題への規制や賠償金は増加していくと考えられます。
なので、環境に配慮していない企業は潰れるということです。
次の時代の求められる企業は本業が社会貢献に直結していなければならないということです。慈善活動などではダメです。
2.サステナベーションというチャンス
サステナベーションが重要視されているということは、そこに投資が集まるということです。
例えば、イングランド中央銀行はサステナブルなビジネスでイノベーションを起こしていく企業に投資を集めるという方針を掲げています。
実際にサステナブルへの投資を行っている企業があります。
その企業というのは、皆さんが知っているであろうアリババ($BABA)です。アリババはシンガポールのDBS銀行と協力して、芝麻信用と植林(アントフォレスト)を組み合わせたサステナブルへの投資を行っています。
芝麻信用:1.資産、2.返済力、3.勤務先、4.学歴・人脈、5.行動
の5つのパーソナルデータから個人の信用スコアを割り出す仕組み
例えば、車ではなく電車を利用するようなサステナブルな行動をしたら、
ポイントが増えるという仕組みです。
他にも、シンガポールのUOB銀行はグリーンファイナンス(環境に良い効果を与える企業への投資)を行っています。
3.サステナブルなベンチャー
✔enVerid Systems ~従来の換気の概念を変え、圧倒的な省エネに置きかえる換気テクノロジー企業~
通常の空調システムでは、多くのエネルギーを必要とし、また、汚染された室内の空気が外部に放出され、大気汚染の原因となる。
しかし、enVerid社の「HLRテクノロジー」といわれるシステムは、室内の空気の循環プロセスで汚染物質を安全かつ効率的に除去できるため、外気を取り入れる頻度を60%~80%減少させ、省エネと共に大気汚染の抑制にも貢献できる。
ポイントとなるのは、同社独自の吸着剤カートリッジだ。揮発性有機化合物(VOC)、二酸化炭素、ホルムアルデヒドといった有害物質を吸着させることで、室内の空気の循環をクリーンなものにする仕組みとなっている。
✔Pivot Bio~農業に欠かせない「窒素」をクリーンに作る〜
Pivot Bio社は、窒素を生産する微生物製品「Pivot Bio PROVEN」を主軸として、農業における環境保全の確保に取り組んでいる。
窒素は農作物の成長に必要な栄養素の1つである。窒素をまかなうため、現在は合成窒素肥料が広く使われているが、それが土壌に残ることで窒素化合物となり、河川に流れて水質汚染の原因となる。
「Pivot Bio PROVEN」は、植栽時に土の中に入れると、植物の根に微生物が付着し、適度な窒素を供給してくれる。その結果、合成窒素肥料を使用することなく植物に窒素を供給し続けられるのだ。
この製品は2018年から米国10州のトウモロコシ農家で実証実験を行い、2019年には市販製品となった。2019年と2020年には、米国ビジネス誌『FAST COMPANY』が選出している「World’s Most Innovative Companies for 2020(世界で最も革新的な企業)」の中に名を連ねた。
✔C16 Biosciences~森林破壊につながらないパーム油代替品を人工的に生産する~
アブラヤシの果実から取れるパーム油は石鹸、化粧品から菓子類まで生活用品の50 %近くの製品に含まれている油である。
しかし、パーム油の農園開拓のために行われる森林伐採が、生態系の破壊や温室効果ガス増加の原因のひとつとなっている。
そうした事態を改善するために、C16 Biosciences社のソリューションは特殊な酵母を発酵させることでパーム油の代替品を抽出する技術で、化学的にほぼパーム油と同じ組成の物質を生成している。
この技術によって生成された代替オイルを、まずは化粧品やスキンケアの分野に応用する予定だ。
市販化まではまだ少し時間はかかりそうだが、発酵プロセスを使って持続可能な方法でパーム油代替品が生産できれば、天然パーム油の生産過程で生じる森林伐採などの抑制に繋がるであろう。
✔Lilac Solutions~リチウムを圧倒的短時間で抽出する~
現在、充電可能な製品の多くに搭載されているリチウムイオンバッテリー。Lilac Solutions社は、電気自動車の増加などによって、リチウムイオンバッテリーの需要が今後10年間で約4倍になるだろうと予測している。
しかしリチウムを抽出するためのプロセスは非常にコストと手間のかかる作業だ。抽出には、南米などの塩湖のかん水を用いる。さらに、一般的に天日蒸発・濃縮を行うために広大な土地が必要であり、天候にも左右される。
同社の技術は、リチウム抽出までの期間を通常の2年間から2時間に短縮できるとしており、これが実現できればリチウムの生産に大きな希望をもたらすことになる。2019年にはアルゼンチンや米国ネバダ州などで実験が行われ、いずれも従来の抽出方式より短期間で高濃度リチウムが抽出できるという結果を出している。
✔ESS~再生可能エネルギーの利用を向上させるフローバッテリーの開発~
ESS社は、持続可能なフローバッテリーを開発している企業だ。フローバッテリーというのは、長寿命かつ発火性の材料を用いないため安全性が高く、電力系統用の蓄電池などに使われているバッテリーである。
同社のフローバッテリー「Energy Warehouse」は、リサイクル可能な鉄ベースの電解質を使用しており、メンテナンスをほとんど必要とせず、400kWh(概ね一般家庭の1ヶ月分の電力消費量に相当)を蓄電できるのが特長だ。また、入手しやすい鉄を使用することでコストも下げることができる。再生可能エネルギーを貯蔵し安定供給できるため、通常の電力が届かない遠隔地においても電力を届けることが容易になる。
低コストで環境負荷も少ないフローバッテリーが普及すれば、地域の電源は地域の資源で賄う、といったマイクログリット(同一地域内にエネルギー供給源と消費施設を持つ小規模なエネルギーネットワーク)またはオフグリッド(電力会社に頼らず電力を自給自足している状態)な社会が実現し、電力供給モデルの変化が期待できる。
これらの5つの企業は、上場していないもののこれからの時代で必ず求められる企業となるでしょう。
4.最後に
『サステナベーション』面白いテーマになりそうです。
これからの時代の展望を見据えるために「サステナベーション 多様性時代における企業の羅針盤」ぜひ読んでみてください!
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