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育ててくれた故郷の為に考えた商品の開発秘話 その③
中学から清水の草薙という場所に引っ越した。草薙には「草薙神社」という歴史的な神社がある。当時中学の友人達とその神社で遊んでいたら防空壕をみつけた。今もまだ残っているのかな?
そんな草薙神社は三種の神器の草薙剣が奉納されているという伝説が残る神社だ。当時はそれほど、というか全く興味もなかった。ふーん、ていうくらい。
当社には草薙に「草薙の茄兵衛」という店がある。出店してからもう25年経つ。当時、今は亡き先代の会長(親父)がなすびが歳を取ったので若返らせるために作った店だ。私も開店当時大学四年生だったが、幸い卒業に必要な単位を3年間で取り終わったため四年生の時はこの店で半分店長をしながら、ゼミだけど東京に週一でいく生活をしていた。この店の名物はいくつかあった。
一つは地獄の門のパスタ。なぜこれが名物だったのかと言うと、草薙には静岡県立美術館があり、そこにはロダンの地獄の門が展示してあり、それがこの美術館の目玉である。それ故に店でも辛〜いパスタを地獄の門のパスタの名付けてお客様を楽しませてきた。
昔からなすびはこのように地域と密着した商品開発をする事で、何気なしに地域の文化を発信してきたのである。
それから私は店というのはただ美味しい料理を出すだけの事が大事ではなく、地域に貢献する事が最も大切だと考えるようになった。
あれから15年ほどの年月が流れ、なんと弊社で秋篠宮ご夫妻の昼食をご用意させて頂く機会を頂いた。その際に当初は通常の所謂「和の懐石」的なものを宮内庁にご提案させて頂こうとも考えたのだが、やはりここは違う、もっと文化的な商品を折角だからご提案したい、と考え、
あ、これだ!
と思いついたのが「草薙の剣首領」だ。
「草薙」には3種の神器の「草薙の剣」が奉納されているという伝説が今でも残っている。三種の神器いえば、八尺瓊勾玉勾玉、八咫鏡、草薙剣、であるのはご承知の通り。天皇家が古代から伝世してきたものである。
その草薙とはまさにわが故郷の草薙なのである。これをコンセプトとした懐石を作ることにした。それが「草薙の剣首領」。
八咫鏡を清水港で揚がった地魚でさつま揚げを作り
勾玉はカシューナッツ
メインの草薙の剣は駿河湾の太刀魚を姿づくりに!太刀魚の下にはネギをあしらうことで「日本武尊が草を薙ぎ払った」という伝説を表現した。
和の王道でもなんでもない、私の地域に対する思いだけで考えた料理。これを昨年秋篠宮ご夫妻にお召し上がりいただき、晴れて宮内庁御用達の料理にまで昇華した。
食事後ご夫妻からも「大変美味しく召し上がりました。」と高い評価を頂いた。また、草薙の剣伝説も話すことができ、「和食の文化をこのような形でこれからも発信していって欲しいです」というエールまで頂き、感激したのを昨日のことのように覚えている。
これからも地域に根付いた商品をもっともっと発案していきたいと思う。