【初心者向け】スペシャルティコーヒーの楽しみ方
はじめに
こんにちは。
私はここ1年ほど前から本格的に珈琲にハマっています。具体的にはおいしいスペシャルティコーヒーを嗜むことに沼っています。ここで言う嗜むとは、消費者としておいしい珈琲豆を選んで香りと味を楽しむことです。
お店で煎れてもらうこと、自宅で豆をひいて煎れること、どちらかは問いません。私はお店で飲むことが多いです。
そんな私がおいしい珈琲に出会うためにここ1年で覚えたことを紹介したい思います。珈琲を楽しむことは、ワインなどと同様に自分にとって最高の豆と飲み方を見つける旅のようなものです。自分の好みの豆を見つけるには珈琲に対する解像度を高めることが大切です。解像度は興味の対象のことを知るほどに高まっていきます。
この記事がみなさまが自分にとって最高のスペシャルティコーヒーに出会う一助となれば幸いです。
おいしい珈琲との出会い
ここではまず私が珈琲にハマることになったきっかけを書いていきます。
私が珈琲を飲むようになったのは社会人になってからです。私にとって正直、珈琲はある程度苦みを我慢して飲むものでした。珈琲の香り自体は好きでしたので苦みについては目を瞑るようにしていました。苦みの感じ方は人それぞれですが、私は人より珈琲の苦みが苦手なようでした。この記事を読むにあたってそうした私の志向もご参考ください。
いろいろなお店で珈琲を頼んでいくうちに私はあることに気づきました。それは豆や煎れ方によってかなり自分にとっての当たり外れがあるということです。香りが強ければ少々苦くても気にならなかったのですが、香りが弱いとかなり我慢して苦い汁を飲むという苦行に変わりました。そうまでして私が珈琲を飲んでいたのは、ブラック珈琲を嗜んでいる自分に酔っている部分は多分にありました。
ただ、なんとなくですがこの香りだけを楽しめる最高の珈琲があるのではないかという予感だけはありました。
そんな私に衝撃を与える珈琲との出会いがありました。それは猿田彦珈琲の季節のブレンドのアイスコーヒーでした。この珈琲は月ごとに少しずつブレンドを変えていますが、一貫したほのかなフルーティさを備えていました。
私はこの珈琲を飲むまで珈琲に果物のようなフレーバーが存在することに気づいていませんでした。これまでよく飲んできた珈琲はスターバックスをはじめとするチェーン店によくある中深煎り以上の豆のものであり、それらからは私はフルーティさを全く感じていませんでした。詳細は後述しますが、珈琲は焙煎度が深いほど苦くなり、酸味とフルーティさを失っていきます。チェーン店の珈琲豆はある理由により中深煎り以上で焙煎されている豆で提供されています。
※ スターバックスは特に一般的な基準よりも深めに焙煎します。スターバックスの中煎りは他のお店でいう深入りに相当します。ただし、後ほどこの記事でも登場するスターバックスリザーブという特別な豆はこの条件には該当しません。
私はこの珈琲との出会いをきっかけに、フレーバーティ並の香りと味の変化の幅が珈琲にあるということを理解しました。この時点でわたしはまだ自分がどのような珈琲が好みなのか全く言語化できない状態にありました。
言語化できないということは何がその珈琲を特別たらしめているか理解できていませんでした。
それからは毎週のように猿田彦珈琲の季節のブレンドを飲みに行きました。今にしても思うとこれでもまだ私には苦いのですが、これまで飲んできたものと比較して明らかに香り豊かで複雑でした。ただ、ホットにすると苦みが増すため、基本的には季節を問わずアイスで楽しんでいました。
※ フレーバーティは茶葉以外に直接フレーバーに関わる素材を混ぜ合わせる。具体的には乾燥させた果物やハーブなど。見た目も華やかになるというメリットがある(逆に異物感が苦手という方もいるそう)。珈琲の場合は、珈琲豆が本来持つ成分でフレーバーが再現されます。個人的にはフレーバーティより珈琲の方が少量で満足感が高いです。それは、珈琲の方がボディ感が高いことが理由だと考えます。私にとってスペシャルティコーヒーはがぶがぶ飲むものではなくじっくり味わうものなのです。
この出会いをきっかけに更に珈琲のことを知りたいと思いました。調べ初めて次に気になったのが、スターバックスロースタリー東京でした。世界でも数店舗しかないスターバックスの旗艦店といえるお店で、ここでしか飲めない豆があるという触れ込みでした。
その店舗で私は2度目の衝撃的な珈琲豆に出会います。その豆はサンドライド・パプアニューギニア・ウルヤというものでした(既に終売済み)。この豆は割と深煎りで苦いはずなのですが、香りが強烈なほどフルーティで、飲むと口の中と鼻の中が華やかな果物の香りと形容しがたい複雑な何かで満たされました。猿田彦珈琲の季節のブレンドでほのかに感じた香りを数十倍にしたような香りでした。このときから私は本格的に珈琲の虜になります。
スターバックスリザーブロースタリー東京に行ってから私はスターバックスの豆は通常のものと、スターバックスリザーブ専用ものとがあることに気づきました。
ずっと前からあるはずなのに、今になって気づくなんて、と思いましたが割とスターバックスに通っている知人と話をしていてもこの豆の存在に気づいておらず、気づいていないのは自分だけではないのかとおもいました。
私見ですが、スターバックスがリザーブを積極的に宣伝していないのは豆の稀少さから需要が極端に上がっては困るということと、そもそも通常の珈琲の2~8倍ほどの単価で売られている高級品であるからだと考えました。
スターバックスリザーブはロースタリー以外にも国内の主要な都市で数店舗展開しています。そこではリザーブ専用の豆の販売やそれをお店で選んで飲むということが出来ます。また、目の前で豆の説明をしながら珈琲を淹れてくれるサービスもあり、そこでの説明や渡されるコーヒーカードでコーヒー豆に対する知識が少しずつ蓄積されていきました。
コーヒーカードについては以下をご覧ください。
スターバックスリザーブの珈琲カードは豆ごとに専用のデザインが施されており、併せてカードの裏面には詳細なストーリーが記載されてています。このカードを眺めているだけでもワクワクします。私は仕事においてストーリーを大切にしているので、この取り組みに共感してしまいます。私の仕事観については以下をご参考ください。
スペシャルティコーヒーの定義
スペシャルティコーヒーの魅力を語る前にまずはその定義から説明しましょう。日本スペシャルティコーヒー協会により、スペシャルティコーヒーの定義は以下の通りとされています。
消費者が美味しいと評価するコーヒーであること
生産国における栽培管理や収穫、生産処理、選別、品質管理が適正であること
欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること
適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されていること
適切な抽出がなされ、生産地の特徴的な風味特性が表現されていること
端的に言えば生産者による持続性があること、また一定以上の品質が確保された珈琲豆を指します。スペシャルティコーヒーは珈琲全体の流通量のうち5%しか存在しない希少なものです。生産者を筆頭に大変な手間暇をかけて品質が担保されています。口に入る素材というものはほぼ例外なく手間がかかっている方が美味しいです。
詳細は後述しますが、スペシャルティコーヒーの多くは浅煎りで提供されます。珈琲を浅煎りで美味しく提供するには珈琲豆に高い品質を必要とします。
珈琲のおいしさを決める変数
先述の出会いの後、私は様々なお店の様々な種類のスペシャルティコーヒー豆を飲み比べていきました。1年くらいしてやっと自分の好みの珈琲を言語化することが出来るようになりました。珈琲の香りと味は千差万別で自分の好みドンピシャのものにはなかなか出会えません。そのため自分の好みを言語化するだけの最低限の知識が必要になります。それがないと地図を持たずあてのない宝探しをすることになります。
自分の好みを言語化するためにまずは以下の通り、珈琲のおいしさや好みを決定づける変数を定義します。変数とは我々ITエンジニアがよく使う言葉で、変更可能なパラメータとお考えください。
下記の定義は一般的にブレンドではない単一種を指すストレート(または高品質なものになるとシングルオリジンとも呼ばれる)のものを基準にしています。
※ ブレンドもお店のこだわりが感じられますが、安価に抑えるため品質の落ちる豆も混じる可能性があります(すべてがそうではない)。また、珈琲は作物であるため1年間を通して安定的に良い豆を入手できるわけではありません。ブレンドは複数の豆を混ぜることでフレーバーや品質のコントロールが出来る点がメリットです。お店の特色やこだわりを表現できるという点も美点でしょう。とはいえ、スペシャルティコーヒーはほとんどの場合、シングルオリジンを指します。
これらの変数はスペシャルティコーヒーを購入する際に販売者から提供される情報と合致します。ただ、すべてが必ず開示されるわけではない点はご留意ください。
生産国
生産地域
生産・加工農園
品種
精製方法
焙煎度
フレーバー
抽出法
生産国
結論からいうと生産国は珈琲豆の味や香りについて決定的な要素では無いです。ただ、傾向はあります。なぜなら気候特性や栽培されている品種に国ごとの性格がある程度反映されるからです。しかし、例えば一般的にフルーティといわれるエチオピアですが、それを選んでおけばフルーティさが確約されるわけではないです。後述する焙煎度の影響もありますが、全くフルーティさを感じさせないエチオピア産の豆もあります。
とはいえ、我々消費者が好みの豆を探す際に無視できない変数となります。
国ごとの傾向は以下が詳しいです。
生産地域
これも基本的には生産国と同程度の影響があります。理由は生産国と同様です。生産国という単位よりはより生産地における傾向の解像度が上がります。スマトラ、モカなどが有名です。
とはいえ、こちらも味や香りを決定づける変数ではありません。あくまで傾向を知る、という性質のものです。
生産・加工農園
ここからシングルオリジンと呼ばれる生産者のトレーサビリティ (追跡性) が担保されている高品質な豆に限って表現される変数です。わざわざ農場を載せている時点でそれだけ品質に自信の現れである、ということになります。
農園によってはブランド化しており、有名なところになるとそこで生産・加工されているというだけで高価になります。力のある販売者などは契約農家として流通を独占したりします。この変数は珈琲豆の品質に対する影響度はかなり大きいと言わざるを得ません。
世界一有名な農園というとゲイシャを流行らせた、パナマのドン・パチ農園でしょうか。
とはいえ、実は消費者の私たちが農園を意識して珈琲豆を選ぶことはとても難しいです。そもそも数多ある農園の名前を覚えられないですよね。そのため、要素として大切であることは理解しつつも普段の選別では意識をする必要はありません。ただ知っていると当然よい豆に出会える確率は上がります。どちらかというと販売者のための変数であると私は捉えています。
品種
珈琲の品種は大きく以下の2種に分かれます。
アラビカ種
ロブスタ種 (カネフォラとも呼ばれる)
後者のロブスタ種は珈琲の天敵であるさび病や気候の変化に強い上に繁殖力が高く栽培はしやすいですが、独特の土臭さがありおいしくありません。たまに麦っぽい風味の珈琲に遭遇しますが、それはロブスタ種の主たる特徴ですね。
よって、おいしいストレートコーヒーはほぼすべてがアラビカ種になります。アラビカ種には更に分類があります。大きくはティピカ種とブルボン種に分かれます。飲用であればそこから何十種類にも分類されます。飲用に限らなければ桁違いに種類が増えます。
私も含めて消費者が覚えるには骨が折れます。そのためすべてを紹介しませんが、特に有名な以下の2種を挙げます。どちらも高値がつく高級品です。高値になる理由として育成しづらいというのもありますが、どちらも香り高く、スペシャルティコーヒーのおいしさを体現する豆となっており非常に人気です。
ゲイシャ
ブルボンシドラ
珈琲豆の品種については以下のサイトが詳しいです。
品種を選んで珈琲を飲むというのは意外と大変で、特にシドラは出会えればラッキーといわれるほどレアリティが高いです。2024年09月現在ではスターバックスリサーブのコロンビア フィンカ ポトシ ブルボン シドラがそれにあたります。非常に高価な豆なのですがそれに恥じず大変香り高いです。
品種は重要な要素ですが、豆を選ぶときに使いやすい変数ではない点については注意ください。ただ、上記の2種に限っては、見かけたら試しに飲んでみる価値は十分にあります。
精製方法
珈琲を焙煎するためにはまず、珈琲の実(コーヒーチェリー)から生豆を取り出す必要があります。取り出された生豆は乾燥させ、元々持っている水分を約5%にまで減らす必要があります。それを精製と言います。その精製方法は以下の通り4+1種類あります。精製方法は味や香りを決定づけるかなり重要な変数です。
ナチュラル (乾燥式・サンドライドなど)
ウォッシュト (水洗い式)
セミウォッシュト (半水洗い式、パルプドナチュラル、ハニーなど)
スマトラ
アナエロビック (嫌気式)
精製方法については以下のサイトがわかりやすいです。
精製方法は、地域の色がかなり強いです。
ナチュラルは、もっとも手間がかかる方式です。乾燥した地域で好まれます。フルーティさと複雑さを味わうのはこの方式が一番です。お店で精製方法を豆の中から選べるのであれば私は迷わずこちらを選びます。
ウォッシュトは、大量の水が必要ですが乾燥式よりも手間がかからず豆の選別がしやすいこと、気候の影響を受けづらいことから生み出されました。ナチュラルよりもかなり風味は褪せますが、すっきりとした味わいが特徴です。
セミウォッシュトは、ウォッシュトと同様に精製の工程で水を使いますが、粘着物を取り除かない状態まで洗ってから乾燥する方式です。水はウォッシュトと比較して少量で済むため、水が貴重な地域で好まれます。そうした性質からナチュラルとウォッシュトの両方のメリットを持ちます。この方式は加工時のパラメタが多く一口に半水洗い式といっても傾向はまちまちで、飲んでみないとわからないというのが正直なところです。微妙な精製方法の違いで呼ばれ方も様々です。
スマトラ式は、インドネシア・スマトラ島で生まれた独自方式です。完全に乾燥させる前に脱殻してしまうのが特徴ですが、スパイシーでハーブのようなエキゾチックで特徴的な香味で日本人に人気のようです。生産されている約50%がスターバックスに独占されているとか。ただ、スペシャルティコーヒーでこの方式はあまり見かけないです。私が浅煎りばかり飲んでいる所為もあるかもですが。
アナエロビックは、他の方式と排他なものではなく、他の方式の前段階で組み合わされるものです。空気が入らない器に豆を入れて嫌気性の微生物により発酵させます。アナエロビックは独特の風味があり、豆の香りの複雑さを増幅させます。私はアナエロビック・ナチュラルも好きです。ただ、若干くせがあるため人を選ぶかもしれません。
焙煎度
これまでの説明で出てきましたが、珈琲の善し悪しというよりは好みを決める上で最も大事な要素と考えるのは焙煎度です。一般的には豆を焙煎する際のハゼの回数などで焙煎度をはかります。焙煎度は大きく以下に分かれます。
浅煎り
中煎り
深煎り
細分化すると更に以下に分かれます。
ライトロースト ・・・ かなり浅煎り。
シナモンロースト ・・・ 中煎り寄りの浅煎り。
ミディアムロースト ・・・ 浅煎り寄りの中煎り。
ハイロースト ・・・ 中煎り。
シティロースト ・・・ 中煎り寄りの深煎り。
フルシティロースト ・・・ 深煎り。
フレンチロースト ・・・ かなり深煎り。苦い。
イタリアンロースト ・・・ 相当な深煎り。もはや炭。
実に多いですね。といってもあまり覚えなくていいです。というかこれより実際はもっと細分化しているお店もあります。お店によって基準が変わる場合もありますのでお店の方に聞いてみるのもよいです。珈琲豆は焙煎度によって以下の特徴があります。
焙煎度が低いほど酸味がある
焙煎度が低いほど果実味(フルーティさ)がある
焙煎度が低いほど苦くない
焙煎度が低いほど豆も品質が求められる、品質が低い豆の浅煎りはエグい
焙煎度が上がってくると上記と逆になります。酸味やフルーティーが減り苦みが増します。特に品質面が顕著で、品質が良くない豆ほど深煎りにした方がごまかせます。
私は珈琲において一番優先していることはフルーティーさですので、浅煎り一択です。ただ品質のよろしくない浅煎りの豆は生臭かったり、嫌な酸味があります。よく珈琲の酸味が嫌いという方に遭遇しますが、好みもあるでしょうが本当によい品質の豆に出会えてないのでは、と思うことがあります。
これは完全に好みですので、様々な焙煎度の豆を試していただき自分の好みを把握するのがよいと思います。かなり重要な変数です。
フレーバー
ここまで割とシステマティックな変数をご紹介してきました。上記の変数を完全に把握して珈琲豆選びをしても残念ながら好みを外すことがあります。
このフレーバーはかなり情緒的な変数ですが、自分好みの豆を選ぶ際には強力な要素になります。実は好みの豆を知るには真っ先に知っておくべき変数かもしれません。
ただし、情緒的かつ定性的な変数故の難点もあります。
複数のフレーバーが複雑に関わる
各フレーバーの割合や個々の強さは表現されない
主観的である
上記の通り、それぞれがどの程度の割合で支配的なのかまでは表現されないため、大きく外さないものの、全体としては思ったのと違う! というときもあります。
私の場合、ブルーベリーなどのベリー系やメロンなどのフレーバーが記載されていると当たる確率が高いです。そのため、自分にとって最も重要なフレーバーを知っておくことは大切です。いろいろ飲んで把握しておきたい大切な変数ですね。
フレーバーはわかりやすいものはフルーツやハーブなどの他の素材にたとえられますが、中にはよくわからないものがあります。以下の記事などで言葉の意味を知っておくと理解が進みます。フレーバーホイールなどはすぐに覚えなくてよく、ポジティブなワードとネガティブなワードがあると言うことだけ覚えておけばいいです。ただ、私はお店でネガティブなワードを見たことないですが。
抽出法
最後に豆そのものではなく抽出法、つまり淹れ方についても触れておきます。
お店で飲む場合は、基本的にはスペシャルティコーヒーを楽しめるお店はハンドドリップ (ペーパードリップ) になります。それ以外だとスターバックスリザーブのクローバー (真空式) などが有名ですかね。スターバックリザーブスロースタリー東京では様々な種類の抽出法で注文ができます。特にケメックスは香り高く、(他のお店に全くないわけではないが) 珍しい抽出法で是非試していただきたいです。
自分で淹れる場合は、基本的にマシンかハンドドリップになると思います。マシンの場合は豆のひき方だけ注意です。お店で引いてもらう際にマシンで淹れることを伝えれば良いです。
ハンドドリップの場合は、自分の腕次第でうまくもまずくもなるためそれなりに淹れ方の理解が必要です。ここでは初心者向けのため詳細は書きませんが、以下のサイトが非常に参考になると思います。
自分で豆を引く場合は、少々高いですが思い切って以下、タイムモアのC2を買うことをオススメします。ひき方で味が落ちた! ということがなくなります。Amazonなどで安値で購入可能ですが保証がなくなってしまう点に注意です。公式サイトかハンズなどの正規代理店で買いましょう。
ハリオのスイッチ式で淹れてしまうのも下手なハンドドリップよりもおいしいです。
【参考】ブランドについて
変数の1つとしてブランドも一般的に挙げられますが、少なくとも一消費者としての私の経験的には考慮不要なものと考えています。
ブランドとして有名なものはブルーマウンテン、エメラルドマウンテン、キリマンジャロ、コナなどがありますが、それらはいずれも深煎りで提供されるため、個人的な偏見も大いにありますがスペシャルティコーヒー愛好家に好まれる浅煎りの珈琲とは扱いが異なります。よって、これらのブランドがスペシャルティコーヒーの説明で登場することはほぼないと断言します。
【参考】コーヒーカードの見方
コーヒーカードの見方も念のため説明します。中級者以上の内容かも知れません。
以下の画像をご覧ください。これまで説明してきた変数がいずれも記載されています。ただ、コーヒーカードは英語で記載されていることが多いため少しわかりづらいかもしれません。
下記の通り読み替えます。
Roast profiles (焙煎度): Light Roast (浅煎り)
Flavor Notes (フレーバー): Apple/Lemon Syrup/Macadamia Nut (お店では、りんごやレモンシロップの爽やかな酸味、マカダミアナッツの滑らかな質感と豊かな風味という説明がついてました)
Score (スコア)★: SCAA(アメリカスペシャルティ協会)評価が記載されます。ほとんどの珈琲屋で見かけない貴重な変数です。そもそもこのスコアを明示している時点で相当の品質と言えます。この豆は2023 CUP OF EXCELLENCE 8位でした。
Farm or Farmer (農園および生産者): MONTAÑA HELADA Guatemala (モンタナ・エラダ・グァテマラ)
Variety (品種): Geisha (ゲイシャ)
Elavation (標高)★: 2,200m。標高が高くなるほど品質が高くなると言われてます。800m以上が一つの基準となっていますが、この前はなんと2,000m以上でかなりの標高のものと言えます。
Process (精製方法): Washed (ウォッシュト)
★の変数はこの記事では取り上げていません。
これは猿田彦珈琲が凄いのか、Cup of Excellenceの豆だから凄いのかわかりませんが、とてつもない情報量です。実は上記だとほとんどの購入者が判断に困ってしまうだろうと、以下のようなポップも用意されています。私が取り上げた変数を中心にわかりやすくまとめられています。
Cup of Excellence については以下がわかりやすいです。
どうやって選ぶか
さて、ここまでは珈琲豆の味や香りを決定づける変数の話をしてきました。実際にお店に行って自分好みの豆を選ぶために必要な情報はそろったと言えます。ただ、情報が多すぎて結局どうしたらよいかわからないと思います。
そこで参考に私が豆を選ぶときの手順を紹介します。あくまで紹介に留めているのは、豆の好みによって微妙にアプローチの仕方が変わる可能性があるためです。
以下のような手順を踏みます。
焙煎度を確認
私の場合、苦い珈琲が苦手なので浅煎りどうかをまず見ます。浅煎りがあったら、その中から好みのものを探します。
フレーバーを確認
フレーバーは先述したとおり、自分の好きなキーワードを理解しておきます。自分好みのフレーバーがわからない場合は飛ばします。私の場合は先述通りブルーベリーやメロンやそれに似たフレーバーがあるか確認します。
産地を確認
好みのフレーバーがわからない場合は産地を参考にします。具体的な地域より国で傾向を見ます。私はエチオピアが好みのことが多いです。
品種と精製方法を確認
品種はわからないことが多いため、ほとんどの場合は精製方法を参考にします。私の場合は香りの強いナチュラルを選びます。
まとめ
上記のことから私は「浅煎り・エチオピア・ナチュラル」を選ぶことが多いです。それにブルーベリーのフレーバーがあるとほぼ好みのものに的中します。
地域、農園はそもそも情報がない場合とかなり知識が必要になるため、初心者は気にしなくてよいです。
ゲイシャをはじめとした特定の品種は予算が許す限り選択の対象としてもよいと思います。
どうしてもわからない場合は、お店の人に聞いてしまうのも手です。自分の好みが言語化できるなら、ある程度お店の人が導いてくれます。本記事はその助けになるという意味でも書いています。
とにかく最高の豆で飲みたい! お薦めのお店
私が過去に行ったオススメのお店を一部ですが挙げていきます。東京在住のため、東京のお店が多いです。ご参考ください。
以下の2店は高いですが、スペシャルティコーヒーの最高を味わえます。価格は1杯1,000円から3,000円くらいです。COVERT COFFEEはGLITH COFFEEの姉妹店です。
先のお店よりはかなりリーズナブル(500円~800円くらい)ですが、常時10種類以上の豆から選択できます。
こちらも価格は比較的リーズナブルです。が、焙煎するまでの手間がとてつもなくかかっています。また、ドリップ方法も特殊で大量の珈琲豆を使い、ほとんどおいしさの上澄みだけをドリップした後にお湯で薄めるという方式を採っています。豆の量からするとかなりコストのかかるやり方をしているのが印象的です。
こちらは今回紹介する中では一番安価かもしれません。ハンドドリップではなくハリオのスイッチ・ドリッパーで淹れてくれるのが特殊です。
普段は東京にいない方なのですが、とてもおいしい珈琲が飲めます。比較的リーズナブルだと思います。ここのゲイシャがとてもフルーティーで好きです。
秋葉原にあるお店です。こちらは比較的高級ラインの豆の取扱が多いです。ここでしか飲めない豆が多いです。とにかくパッケージがおしゃれで贈り物にも向いていると思います。
言わずと知れたチェーン店ですが、シングルオリジンの知名度を高めた立役者的なお店です。フラグシップ店以外はお店で飲める豆が限定的なのが残念です。
私が珈琲にはまるきっかけをくれたお店です。ここのシングルオリジンは外れなしで、どれも安心して飲めます。あと、フードもおいしいため普段使いもしやすいです。店舗に寄りますがくつろぎやすい点もよいでしょう。
さいごに
ワインと同様、珈琲豆選びは奥が深いです。豆自体だけではなく珈琲の淹れ方、その腕前が違うだけでもかなり変わってきます。正直実際に飲んでみないとわからないことが多いです。だからこそ自分好みの珈琲を探し甲斐があります。飲む前から味や香りがわかってしまったら面白くないですよね? また、わからないと言いつつも、今回記事であげた知識を活用すると自分好みの豆を発見する打率が上がることは間違いないです。
また、新たに好みの珈琲、フレーバーを発見したときの喜びは言葉に表せないです。もっと理想の珈琲がこの世に存在あるのではないか、という終わりなき旅が一生をかける趣味としてあなたの人生を彩ってくれることでしょう。
以上
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