【読んだ】美馬達哉『臨床と生政治 〈医〉の社会学』
医療に関わる色んなトピックの論考がなんと16本も収録されているので、全体を通底する話の筋を探りながら読んだ。一貫しているのはおそらく、医療の客観性や権威や専門性の根拠が揺らいでいる状況ではなかったかと思う。無論、社会構築主義に基づく医療化批判や、医療社会学で言われる医師と患者の非対称的な権力関係や役割分担の問い直しは前からやられていたのだと思うのだけど、どうもそれだけには止まらない面白さがあるような気がした。一方には客観性や権威や専門性を再構築しようとする医療側の不断の動きが