継続的巨額な赤字が勝利の方程式~ユニコーンスタートアップの破壊的戦略

ユニコーンスタートアップには、既存産業を破壊する勝利の方程式が見られるという記事。

記事によると、その方程式は「とにかく顧客を獲得し、市場を支配する。それまでは、巨額の赤字を計上し続けながら、競合を市場から追いやる。その後、独占状態に近くなってから価格を上げて儲ける。」というもの。Uberは昨年だけで45億ドルの赤字、Airbnbも創業から9年間赤字を続けた後、EBITDAベースでようやく黒字になったという。巨額の赤字を続けながら顧客を拡大し、他の競合を市場から追いやる手法は、価格競争の面から既存プレーヤーにとって脅威である。クラウドワーカーや遊休資産の活用により、従来型の産業より格段にスリム化されたコスト構造を持っている上、アルゴリズムを活用しオペレーションも徹底的に効率化、その上、巨額の赤字覚悟の価格戦略で既存の産業の破壊を試みてくることを想像して欲しい。既存プレーヤーの常識では考えられないレベルの価格を提示可能なことが分かる。

また、赤字を継続的に長期間続ける手法は、投下資本回収の観点からも既存プレーヤーを追いやるのに合理的である。上場企業では、単年度のROIパフォーマンスについて外部株主から説明を求められる。そのため、長期間、巨額の赤字を継続することは難しい。

これに対し、未公開企業、スタートアップの世界では、Sequia Capitalなどのこのモデルに対して成功経験があるVCが有望スタートアップを目利きをし、初期の成長資金を出資する。その後、成長に応じて多くのVCが多額の追加出資を行うことにより、勝者を生み出すための多額のリスクマネーが流れ込む。巨額の赤字を継続的に長期間続けるスタートアップを支える仕組みが整っているのである。Uber, Lyft, Airbnbなどのユニコーンスタートアップが、モバイルをベースとしたC to Cのオンデマンドなマッチングサービスにより、ユーザーに対してこれまでにない体験を提供していることは疑いようのない事実である。一方で、素晴らしい体験の提供の裏側では、既存の産業を破壊する合理的なビジネス戦略を備えていることも忘れてはならない。

https://techcrunch.com/2018/05/05/the-formula-behind-san-franciscos-startup-success/

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