ベイスターズ_スタジアム

FOR REALを観たら、僕らはベイスターズから離れられなくなる

前回、ベイスターズのマーケティング手法を紹介しましたが、その時は網羅的な紹介にとどまっておりました。

分析→戦略立案→施策実行までの全体感も素晴らしいのですが、点で見た時に素敵な施策もたくさんあります。
今回は、その中でも自分が好きな"FOR REAL"などのベイスターズの動画コンテンツ施策を #マーケティングトレース しつつ紹介します。

FOR REALとは?

FOR REALとは、チームの公式ドキュメンタリーで、表舞台の裏で繰り広げられる様々な"REAL"なストーリーを追ったものです。

例えばこのような感じで、通常では映されない、監督とコーチ、選手の緊迫したやり取りや表情、シーンを映し出してくれています。
上記はYoutubeに上がっているものですが、本編は2時間ほどのドキュメンタリー作品です。
また、球団のホームページには、"FOR REAL - in progress -"として文章でシーズン中の各選手のストーリーが綴られています(随時更新)。

FOR REAL以外にも、事あるごとにプロモーションMOVIEが作られている

FOR REAL以外にも、事あるごとに素敵なプロモーションMOVIEが作られています。

開幕時にはこのようなコンセプトMOVIEでファンを盛り上げてくれますし、

選手が記録を達成した時にはこのように記念MOVIEを作っています。

このような動画コンテンツを事あるごとに作成し、ファンに向けて配信しています(他の球団はあまり取り組んでいないです。最近ジャイアンツが頑張ってます)。

ベイスターズの動画コンテンツをSTP分析

これらの動画コンテンツをフレームワークに当てはめて分析してみます。
まずはSTP分析です。

セグメンテーション:
ベイスターズファン => コア/ヘビー/ライト/ファン以外

ターゲティング:
ファン全体(コア、ヘビー、ライト層(数回ベイスターズの試合を観たレベル)まで)

ポジショニング:
観る(読む)と選手・チームのことが好きになる
(所属選手一人一人のストーリーを映像や文章で綴っている=>ドキュメンタリーとしても面白いし、映画や小説のようにストーリーに引き込まれる=>選手のことが好きになっていく)

動画コンテンツはファンのエンゲージメントを高めてくれるという仮説

STPのポジショニングの部分を詳しく書きます。
プロ野球では、試合以外での場面を目にする機会があまり多くありません。報道される多くは試合結果やパフォーマンス、練習している場面などです。
しかし、FOR REALのようなコンテンツによって、舞台裏の選手一人一人のストーリーを知ることができます。
また、プロモーションMOVIEにも選手の軌跡、苦悩、栄光が描かれています。

なぜスポーツ観戦は面白いのか?
なぜ特定のチームを応援し続ける人がたくさんいるのか?

それは、そこにストーリーがあるからです。
選手、監督、コーチ、チーム、スタジアム、地域、それぞれに流れるストーリーに個々人が思いを馳せ、共感し、応援するから面白いのです(ラグビー日本代表の盛り上がりもまさにそれですよね)。

じつは私自身も、もともとファンではありませんでした。
年に1回、誰かの付き合いで試合観戦に行くかどうかくらいで、行ってもそんなに楽しくない、みたいな状態でした。
しかし、何かのきっかけで動画コンテンツに触れて、隠されたストーリーを知り、エンゲージメントが引き上げられてファンになっていきました。

このような自身の経験から、動画コンテンツはライト層(年に1回〜せいぜい数回、回りの誰かに連れてこられた層)をヘビー、コアに引き上げていく上で重要なコンテンツになりうるのではないかと仮説を持っています。

ベイスターズの動画コンテンツを4P分析

画像1

次に、ベイスターズの動画コンテンツを4Pでまとめてみます。
FOR REALとかは前にCMやってた気もしますが、あんまりプロモーションはしてなくて、あくまでも既存のファンが各SNSか、球団ホームページで知るという感じのような気がします。

自分がCMOならどうする?

ライト層をヘビー層〜コア層に引き上げるパワーがあるという仮説に基づき、ライト層とのタッチポイントをいかに増やすか、に注力します。

・現状の動画コンテンツのタッチポイントと登録者数
Twitter:14.9万
Instagram:10.9万
LINE:不明
Youtube:8.94万
+球団ホームページ

現状の動画コンテンツのタッチポイントは上記です。
課題は、全てユーザーが能動的に動かないとタッチポイントを作れない点です。ライト層が自分から球団の公式アカウントに登録するとは思えません。たまたまYoutubeで見つけることはありえますが、アンコントローラブルです。
そこで、半強制的にタッチポイントを作る方法を考えました。

チケットアプリの活用

今、ベイスターズにはチケットアプリ(チケットでの入退場機能やスケジュール確認など)公式アプリ(情報取得ができたり、カードゲームができる)があります。
(この2つのアプリの動作や提供価値自体に課題を多く感じており、言いたいことはたくさんあるのですが、それはまた別の機会で)

私がCMOなら、下記のように仕組み化します。
チケットアプリをチケットの購入・入退場と、チームに関わる情報が見れるポータル的な位置付けのアプリにする

チケットの購入経路をチケットアプリに寄せる(=>球場来場者はチケットアプリをインストールしなければいけない仕組み)

アプリを通じて、定期的に動画コンテンツを届ける

じつは、今はチケットはセブンイレブンで発券した方が利便性が高かったり、カードゲームの価値が混ざってユーザーにアプリ価値が伝わりにくい状況になっていたりするので、提供価値をシャープにしつつ、全来場者がチケットアプリをインストールしている状態(=>接点が持てている状態)を目指します。

これにより、年間200万人以上来場しているライト〜コアまでのファンと一律で接点を持てるようになるので、
動画コンテンツを多くのファンに届ける

ライト層を中心にエンゲージメントを引き上げる
という施策が打てるはずです。

以上です。また書きます。

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