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「仕上がり罫」を入れるべきかどうか
DTPオペレーターまさゆきです。
気になるポスト(ツイート?)を拝見しました
仕上がり罫が入ったまま印刷してしまったという事故。これってどこに責任があるしょうか。うちはDTP担当者が怒られ、刷り直しになります(わたしもDTP担当者の責任だと思っています)
— 制作課長 くれそん (@PmP96079998) September 17, 2024
印刷物を作っている人なら一度は目にした事があるのではないでしょうか? また印刷事故を経験した人も多いはず…。
今回はDTP側から仕上がり罫について記事にしました。
ちなみに私はデータ制作者…というか仕上がり罫を入れろと指示した人や好んで入れる人に責任があると思います。
DTPオペレーターが望んで入れているパターンは少ないからです。
仕上がり罫とは?
文字通り仕上がりサイズに引かれた罫線です。お客さんへの確認作業である「校正」の段階で、どこが仕上がりサイズなのか分かりやすいように枠線をつける事があります。
仕上がりサイズとは、印刷物が仕上がる時のサイズです。A4のチラシなら210*297mmが仕上がりサイズです。
このパターンで仕上がり罫を付けると、210*297mmの枠線を付け事になります。
それだけなんですが、この仕上がり罫がやっかいなんです。
問題点
仕上がり罫を付けたまま印刷してしまい、印刷物の周囲に枠線が入ってしまう事故があります。DTPのミスと言えばそれまでですがデータ上では発見しにくいんです。
さて、下記の画像のどちらに仕上がり罫が入ってるでしょうか?
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正解は左です。
IllustratorやInDesign上は仕上がりに黒枠があって、その上に線を引くとカブってしまって見えにくいです。
左の方が若干太く見えますが見比べてもほぼ変わりません。これをデータチェックの時に確認しろと言われても見過ごす可能性があります。
他のアプリでも見てみましょう。下記の画像はAcrobatと呼ばれるPDFの確認に使われるアプリです。どちらに仕上がり罫が入ってるでしょうか?
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正解は左です。こちらはIllustratorより黒っぽいので気づくかもしれませんが、アプリの枠線が仕上がり罫とカブってしまって見えにくいのは変わりません。
そもそも仕上がり罫はいるのか?
個人的には全く不要だと思っています。
仕上がり罫を入れる理由は「仕上がりサイズを分かりやすくする為」です。つまり校正する段階でしか使用されていません。DTPは原則として、印刷に不要な物を含めるべきではありません。印刷できないデータや事故になるデータは制作段階で極力潰しておくべきなのです。印刷物のデータを作る人はここに注意してほしいです。
校正のデータを出すときはトンボを付けているので枠線がなくても分かります。トンボがある以上、裁ち落としも仕上がりサイズも明示されています。
お客さんがトンボに慣れてなくて仕上がりサイズがわからない、という理由ならまだわかりますが、お客さんに仕上がり罫が欲しいと言われた事はないです。
実質的に誰もいらないのに慣習的につけているだけの事が多いのではないでしょうか。
仕上がり罫を付けても「仕上がりサイズが分かりやすい」だけです。しかし取るのを忘れて印刷すると事故になって刷り直しになります。
刷り直しは、印刷した物をもう一度印刷する事です。赤字になる事も多く、納品までしたら信頼も落としてしまう最悪のパターンです。仕上がり罫にそのデメリットを超えるメリットはないです。
仕上がり罫を取ればいいじゃん、と思いますが意外と忘れます。データ上で見ても気が付かないんですよね。なのでデータチェックをしていても見過ごされる事が多く、実際に印刷事故も多いです。
まとめると…
印刷に不要な物である
お客さんが求めていない
享受するメリットに対しデメリットが釣り合っていない
なので私は仕上がり罫を入れていません。
入れる場合の対策
とはいっても社内政治的に入れざるをえなかったりします。仕上がり罫がないと満足しない人もいるのです。
反対派ですが入れろと言われて入れる事もあるので、ミスが出にくい制作方法を紹介します。
レイヤーを分けておく
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個人的にはあまりレイヤーを分けないのですが、仕上がり罫は独立したレイヤーに入れています。
必ず最初に「仕上がり罫だけのレイヤー」を作成しロックをかけます。そしてデータを印刷に送る最後のタイミングでこのレイヤーを削除します。
最初に分けてロックする事で他のオブジェクトの混入も防げます。しかし作業中に必要なオブジェクトが混入し、レイヤーと一緒に消してしまうリスクも0ではないので、やはり仕上がり罫はない方がいいですね。
目立つ色 & 太い線にする
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前述の通り細い黒線だとアプリ上で見にくいです。なので線を赤色にしたり太くする事で、誰が見ても分かりやすくしています。
最悪そのまま印刷に送っても明らかにおかしいので差し戻される可能性が高まります。
Finderで確認する
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Macの場合はFinderでスペースキーを押すとクイックルック機能でデータの中身が見れます。クイックルックはデータの再現性に難があるのでデータ確認に使うべきではないですが仕上がり罫は見やすいです。
私は印刷へデータを送る前に仕上がり罫がないかクイックルックで必ず見ています。
まとめ
仕上がり罫は原則入れないようにしましょう。
私はなぜ仕上がり罫を入れるのかわかりませんが、入れる時は事故が起こらない対策を必ず行いましょう。
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