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空き家の花、「主なしとて春な忘るな」しっかり次々咲いている。主も、どこかで喜んでいると想う。
東風吹かば 匂いおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春を忘るな
菅原道真
百人一首
日々毎日の神社参詣の帰り道、空き家の道沿いに、花がずっと咲いている。誰が手入れするわけでもない。極々稀に、誰か空き家に入っている気配はある。そうした空き家が多い。少子高齢化の行き着く先、どんどん人口が減っている。わが街は、前の市長が積極的に子育て支援を政策的に実施したためか、総合的には人口は増えた。
一方では、高齢者が亡くなり、空き家も増えた。結果的には、新しい家やアパートが建ち代わっている。
神社も、氏子有志がほとんど気が付かない程度に、少しづつ改修がなされている。行事は年1回元旦だけ、以前はるかな昔からの祭事はなくなった。数十年前は、こどものラジオ体操など、様々な地域活動の中心だったそうだ。いまは、時折、訪れる参拝者そして散歩の人だけの静かな環境になっている。
奉志者の名を刻んだ石碑もなくなり、境内の裏側が駐車場になり、境内の杜は少しづつ木が少なくなっている。大きくなりすぎると、台風や自然災害のとき被害発生のおそれもあるのだろう。道路に面した木は枝を切ってある。事故防止のためには、やむをえないか。
いずれなくなるかもしれない。
空き家の花、子の空き家もいずれ解体、消滅の運命ではある。
日々朽ちていく空き家はしかたない。この花、咲いていてほしものだ。
通りすがりの年寄りは、思う。
時代の流れか。
ゆく川の流れは絶えず、かつ消えかつ結びて、とどまりたるためしなし。
我々も、みな一時のうたかた。
そういうことで、明日もがんばりましょう!
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