酷暑のときは曇っているとホッとする。これが続くと、いっそ雨降れ、曇りはうっとおしいとなる。人は勝手で、そのときそのとき、動物も植物も同じだろうけど。
いまはもう秋。
私は十月生まれ。はじめて空を見上げたとき、どう思っただろうか、当然、なにも考えていないし、憶えてもいない。
人間、どうな状況や環境で生まれたかで、その後の人生、大きく変わる。
親や周囲の隣人、近所の人に感謝して、学校では先生や上級生、同級生に気に入られ、仲良くし、健康で元気よく過ごせよと言われるか言われないかは、別として、そういう風に仕込まれてきた。
はたしてよかったのか。
もうどうにもならない。
それなりに今後も生きていかないといけない。
自分は自分、周囲に好きなようにされては、いい人生、自分で納得いく人生は送れない。
父はいい人だった、おとなしい、人に言われるがまま。それだけ。
家族で旅行に行ったこともない、貧しいとか感じたことはない、ただ何もなかっただけ。そういうこども、いまもいるらしい。
近くの幼稚園か保育所、横を通ったとき、ひとりフェンスに寄り掛かって、遊びもしない、不機嫌そう表情で座っていた男の子、なんとなく大昔の自分を思い出した。
笑って声をかけた、通りすがりのおじいちゃん。
フェンスに沿って歩くと、その子がフェンス越しにハイタッチ、
こっちも嬉しかった。
こころと小さな声で、「がんばれよ。」って呟いた。