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2025年2月10日(月)「未利用魚・ヒラ」
今日の東京は晴れ。
朝方の最低気温は-2℃、日中の最高気温は11℃。
先週土曜日からは二十四節気・立春の次項、七十二候の「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」(鶯が鳴き始める時季)となりました。う~む、この寒さじゃあまだまだ鶯が鳴き始めるのはもう少し先なのかな?さて、
先週末は「調理器具・低温調理器Boniq」についてお伝えしましたが、本日は「未利用魚・ヒラ」について書いて行きたいと思います(冒頭画像はコチラから拝借しました)。
ヒラ。
コレを未利用魚と言ったらアカンかなぁ。と言うのは、東京やら愛知県なんかの市場では殆ど見掛けるコトは無いし、お店で提供されてるのを見たコトもないのだけれども、西日本とりわけ岡山近辺の瀬戸内海では良く獲れるようだし、割と一般的なおサカナであるようなので。
まぁ、東京基準ではあまり利用されていないおサカナであると言うコトなので、ココでは未利用魚扱い(イヤ、低利用魚か)とさせて戴きます(笑)。あ、そう言えば御徒町のアメ横センタービル地下食品街(アジア食材満載)の魚屋でお見掛けしたコトがあったような…。
この見てくれ。
ニシンにソックリですね。ただ、サイズ的にはニシンの平均的なサイズが40㎝大であるのに対して、コチラは50~60㎝位にもなるのでデカい。分類的にはニシン目ヒラ科ヒラ属ですので、まぁ大雑把にニシンのお仲間であるコトには違いありませんが。棲息域的には北海道から九州まで広く分布しているようではあるのですが、何故か水揚げは瀬戸内や九州のようで、上述の通り豊洲に入って来るコトは殆どありません(ナンでだろ??)。特に岡山で好まれて食べられているサカナです。
何となく、個人的には東シナ海、黄海近辺の(日本だと有明海とか)干潟地域、汽水域のサカナと言うイメージが強いです。現に、中国特に揚子江界隈では「鰣魚」(shi2 yu2:しぃゆぃ)と言われて高級魚として珍重されているし、韓国の魚市場でも時々見掛けてたので。ただ、ソレらのサカナとヒラが全くの同種かと言うと、同じニシン目の近似種であるのは間違いないのですが、全くの同種では無さそうなカンジです(外見からだけだと殆ど判別付かないレベルであると思いますが)。ヒラの学名はIlisha elongataであるのに対し、鰣魚の方は中国の固有種のようで学名はTenualosa reevesiiとなってます(アレ?やっぱり別種なのかな…??)
有明海の釣り人等からは「有明ターポン」等とも呼ばれていたりもするようですが、上述の通りヒラはニシンのお仲間であるのに対し、日本にいるターポン(イセゴイ)はカライワシ目なので別物です。「オーパ、オーパ!!コスタリカ篇」で開高先生が谷口教授に釣ったターポンを料理して貰った際の食レポでは「重油のように脂っぽくてくさい匂いがし、とても食べられたものではない」としている(コレはカリブ海産のAtlantic Tarponについてだけれども)けれども、ヒラはニシン目なので、味はターポンのようには不味くは無く、寧ろ美味いんです。
確かに、ニシンのお仲間だけあって、身の中に小骨が沢山入っている為(大きな個体だと、大骨レベル?)、食べる際には骨切りをしておく必要があるものの、ソレさえやっておけば、ニシンにも似た脂のたっぷりと乗った、やや青魚的な美味い身を堪能出来ます。刺身で良し、焼いて良し、煮て良し、揚げて良し。ある意味、骨の難儀を除けば(?)万能選手ですね。美味いおサカナだと思います。
入荷すれば、出したいサカナの一つでありますかね~。
明日は「醗酵飲料(日本酒)・神亀 上槽中汲 純米生酒 1999BY」についてお届けしたいと思います。