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11月9日(木)「醗酵食品・しょっつる」

今日の東京も晴れ。
朝方の最低気温は12℃台、日中の最高気温も20℃台迄しか上昇せず。
昨日よりもチョットずつではありますが切り下げてます。来週初めに掛けてまだまだ下がるみたいですね。
まぁ、コレがフツーなんでしょう。じゃないと、秋じゃない。さて、

昨日は「二十四節気・立冬(りっとう)」についてお届けしましたが、本日は秋田の魚醤「醗酵食品・しょっつる」について書いて行きたいと思います。

しょっつる(塩魚汁)。
石川は奥能登の「いしる」、香川の「いかなご醤油」等と共に日本を代表する魚醤の一つですね(日本人は何にでも「三大」とかを付けるのが大好きで、この3つを纏めて「日本三大魚醤」等と呼ぶヒトもいるようです(笑))。
基本的にはしょっつるの主な原料であるハタハタは、普段棲んでいる約250mの深海から秋になると(12月頃)産卵の為に秋田沿岸の水深2mホドの藻場に大量に接岸して来るので、コレを定置網や刺し網で漁獲しているようです。ただ、1970年代迄は1~2万トン程度と大量に水揚げされていたのですが、1991年には70トンに迄激減。その後地元漁師さん達の自主的全面禁漁等の資源保護活動により、2008年には3,000トン程度迄回復。その後は地球温暖化や海水温上昇等の影響もあって、再び減少傾向になりつつあるようです(涙)。
しょっつるは基本ハタハタが原料なのですが、上述のように獲れなくなってしまった時期もあって、現在ではイワシ・アジ・サバ等の原料も使われているようです。

日本で魚醤と言うと、上記3つ以外にも大分の鮎魚醤・北海道のほっけ醤油・山形のあみえび醤油等もありますが、あんまりメジャーではありませんね。
ただ、世界に目を向けると、タイのナンプラーカタクチイワシ等)・ベトナムのニョクマムイワシムロアジ等)・フィリピンのパティス(イワシ・小エビ等)・カンボジアのトゥックトレイ(雷魚等淡水魚)・ラオスのナンパーデーク(鯰・鯉等の淡水魚)・インドネシアのケチャップイカン・中国の魚露(カタクチイワシ・ムロアジ・タチウオ等)・韓国のエクジョ・イタリアのコラトゥーラ(カタクチイワシ)等々、多士済々の各種各様、百花繚乱。恐らく、どの国でも上述したモノは代表選手であって、実はあまり知られていないような魚醤は数多くあるのではないかと推察されます。
現に、1年前迄3.5年ほど駐在していた韓国では、コロナ禍であったせいもあって韓国全土の漁港と市場を巡りめくっていたのですが、一言でエクジョと言っても、カタクチイワシ・イカナゴ・タチウオ・コイカ・アミエビ・各種貝類等本当に多種多様で日本の魚醤なんて比較にならない位に豊富。韓国の西海岸は水産物が豊富なのは勿論ですが、基本的に干潟が多く塩田も多い為、必然的に塩辛・魚醤文化が発達しているんですよね。
勿論、キムチ作りにはコレら魚醤は欠かせないのですが、スゲーなぁと素直に感心したのは、韓国のオバちゃん達(最近の若奥さんにはムリだけど)はコレらを料理の用途別に使い分けていた(みたい)であること。韓国料理は大胆かつ豪快な調理方法が多いのですが(笑)、意外と繊細な部分もあるようです(韓国の方々、失礼!)。

ハナシが逸れ過ぎました。しょっつるに話を戻すと。
上述の通り、漁獲量激減により本物のハタハタだけを使ったしょっつる作りも廃れ気味になってしまっていて、実際に市販されていたしょっつると、漁師の家で造られていた本物のしょっつるとは懸け離れたモノになってしまっていたようです。そのコトに危機感を抱いた昭和5年創業の男鹿の諸井醸造さんが、ホンモノのしょっつる復活に向けた取り組みを始め、様々な試行錯誤の末に2000年に秋田の食文化の伝統を守るハタハタ100%の「秋田しょっつる」の製品化に漕ぎつけたのだとか。
こう言う動き、大切ですよねぇ。放っておくとどんどん廃れて行ってしまう伝統の食文化。ソレをキチンと後世に残す為の取り組み。自分はまだ「秋田しょっつる」を買ったコトも使ったコトもありませんが、是非一度買ってみたいと思います。

しょっつるの使い方。
矢張り代表選手はハタハタやきりたんぽを入れたしょっつる鍋。他にも、うどんやラーメンのスープに入れたり、パスタに隠し味的に入れたり、料理に少量入れるコトでコクや旨味を引き出すのに使われるようです。自分はまだソコ迄の使い方をしたコトがないので、今度色々とやってみたいと考えています。

と言うコトで、本日はコレにて。
明日は「醗酵飲料・新酒の季節」について書いて行きたいと思います。


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