魂が震えて勝手に泣き出す事
わけもわからず、涙が滝のようにダダ漏れになった事が、過去に2回ある。多分本当はもっとあるけど、大きなのは2回。
一つはニューヨークで、ミュージカル「ショーボート」を
一人で見に行った時。
黒人のおじさんが「オールマンリバー」を歌い出した瞬間
私の頬が顔を洗ったかのように濡れた。
私は嗚咽もしていなかったのだが、
とにかくまず
「あれ?なにが起こっているのだろう?」と思ったんだ。
そのあと、響いた心っていうか、響いた魂っていうか
わかんないけども、その曲中、ダーダーに泣いた。
決して泣くシーンじゃなかったのよ?
だけど、とにかく、号泣した。
そして2回目。
こちらはスペイン。
一人でコルドバへ行った。
電車に乗って、ギザギザの岩山を左に見ながら
コルドバに着いた。
バックパッカーじゃなかったわよ。
そのスペイン旅行は、
そもそも某銀行主催のパーティーを撮影するという仕事で行ったので、
マドリッドでは、いーーいホテルに泊まらせてもらってた。
そのあと、せっかくだから一人旅をしたのだけど、
そうだ、アンダルシアへ行きたい、と
急遽、電車にのってコルドバへと向かったのだった。
駅の公衆電話から、ガイドブックをみながら電話してホテルを取った。
日本人のスペイン語は明確に通じるため、ホテルの予約は簡単にできた。
「ネセシート アラオテル パラ ノーチェ(今晩ホテルが必要)」って言えば通じる。
そのあとは
「メヤモ マサヨ ソイ ハポネサ(私はマサヨ、日本人)」
「ウノ ペルソナ(一人)」
というのをとにかく繰り返す。
そのホテルは、寺院の目の前にあった。
その寺院の名前は「メスキータ」
寺院の中に入っていくと、アラブ系の建物の色であるサーモンピンクとベージュのアーチがいたるところにあり、ここがキリスト教の寺院だとは思いもしなかった。
奥の方にはアラジンのランプのようなものが飾られており、明らかにエジプトとかとスペインのミックスを感じた。
ここは、宗教戦争、メコンキスタの影響をとても受けている寺院として有名なのだった。
上を見上げると、大きな、ローマを彷彿させるような、いかにもキリスト教的なステンドグラスのドームが見え、そのドームに照らされているように、ジーザス(キリストさん)が貼り付けになっているのを見ていた。
呆然と見ていた。
すると、目から滝のように涙が溢れ
「私たちの時は失敗に終わった。君たちの時代はどうかうまくいくように」とジーザスの声が聞こえたような気がした。
ここからあとは、号泣。
メスキータの中でこんなに号泣している女はいない。
皆じろじろ見ていったが、止められなかった。
なんだったんだろうな。
とにかく、
魂が震える瞬間というのがあるもんだ。
二度あることは三度ある。っていうから、
あと一回くらい、経験したいなあ。