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スリー・ビルボード(Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)

今年の夏、第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で脚本賞を受賞し、トロント国際映画祭では最高賞となる観客賞を受賞した『スリー・ビルボード(Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)』を、今月初めに東京国際映画祭で観ることができました。

アメリカ・ミズーリ州の片田舎を舞台に、娘を残酷な方法で殺害された母親が、事件から何ヶ月もたつというのに一向に解決をみないことに対し、警察に向けて出した巨大なビルボード広告の抗議のメッセージと、それをめぐって少しずつ動いていく街の人々を描いた作品です。

監督はMartin McDonagh、製作と配給は先日の『ギフテッド』に引き続き、Fox Searchlightですが、Searchlightは本当にいい作品を出してきますね。ちなみに製作にはFilm4も入っていますが、Film4は『スラムドッグ$ミリオネア』『ルーム』『トレインスポッティング』などの名作を手がけている、イギリスで最も活躍している製作会社の一つです。

この作品に関しては、僕はトロントの観客賞という前評判をもって観に行ったので、非常に楽しみにしていたのですが、その期待を裏切らない出来でした。特にFrances McDormandのインパクトがものすごいです。母親として行き場の無い怒りと悲しみがひしひしと伝わってくる演技で、それがとにかく作品を一貫して引き締めています。

そしてその周りの人々、特にビルボード広告で抗議された警察側の人々のドラマも単純ではなく、彼らにも家族があり、愛する人々がいるという、当たり前だけど外からは気づきにくいことや、ビルボード広告が、彼らにどう影響して行くのかという各々の変化が、よく掘り下げられていました。

ハリウッドで作られる映画というのは、脚本開発の段階で、キャラクターがどう変わっていくか(これを「キャラクター・アーク」と言うのですが)をストーリーの要素として非常に重視するのですが、これに関して言うと、周りが大きく変わるのに対し、主人公の強くて頑固な人間像が一貫されていて面白かったです。それでも彼女も少しずつ変わることでクライマックスにつながるわけですが。

それから『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で突如伯父と暮らさなければならなくなった少年役で大きな注目を集めたをLucas Hedgesも出ています。彼は注目の俳優です。

『スリー・ビルボード』は、wikipediaによると2018年2月1日の日本公開予定だそうです。

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