ぼくのユルい伯父さん
『まーくんは、なんの仕事をしているの?』
そう聞かれて少しの間、私は困ってしまった。7歳の子どもに対して、説明が難しい。だって、まだ映画やドラマを見ていないのだから。 彼はミラノに在住している姉の子ども。甥っ子だ。少しの間、日本に来ていたので、先日、我が家にも泊まり、1泊2日で遊んだ。
3歳くらいの頃から1年に1回しか会えていないのに、なぜだかとても懐いてくれている。
ところで、私が子供の頃も親戚の集まりがよくあった。
伯父さんの中で、私が好きだったのは、長男でサラリーマンのしっかりした雰囲気のA伯父さんではなく、末っ子で自営業をしている、まさに自由な雰囲気をたたえたB伯父さんだった。母の弟だ。
B伯父さんはよく酒を飲み、常に顔が真っ赤だったが、適度にユルく、何より、よく笑っていた。
優しそうでなんだか好きだった。
子どもの僕にもまったく偉ぶらず、なんなら、すぐに私にも謝ってくれるような素敵な大人だった。
人生は巡り。
僕はいま、B伯父さんになったのかもしれない。
甥っ子が懐いてくれているのは、ぼくが子供の頃抱いたそれと同じ理由ではないか。ユルそうだもんな、まーくん。
私も、適度にユルく、何よりよく笑っていよう。
子供でも素直に謝れる大人でいよう。まあ、最近はお酒はほとんど飲みませんが。
ミラノへ帰国直後、甥っ子は将来、「まーくんの仕事をしたい」と言ったそうだ。