マーケティングとは?全体の流れをつかむ
ビジネスに関する事柄に触れると、「マーケティング」という言葉を耳にする機会があるかと思います。仕事で専門でもなければ、なんとなく意味は理解していても人に説明するのは難しい、そんな言葉ではないでしょうか。
本記事は、マーケティングとはどのようなもので、どのように行われているのかを解説するものです。特に全体の流れを掴んでいただけるよう重視しました。はじめて触れるという方は、「売れている企業はこんなことをやってるんだな」ぐらいの感覚でご覧ください。
マーケティングは顧客起点で売れる仕組み作り
マーケティングとは、一言でいうと「売れる仕組みを作ること」です。さまざまな解釈があり、「顧客に価値を伝えること」「顧客から望む行動を引きだすこと」と定義する人もいます。いずれにせよ大切な点は、マーケティングの中心にいるのは顧客であることです。売り手が中心で、自ら「買ってください」と売り込んでいくセールスとは区別されます。
目的は顧客満足の先にある営業利益の拡大
顧客のニーズに応え、自然と顧客が引き付けられるような仕組みを作るマーケティング。では、顧客中心という視点はどこから生まれたのでしょうか。それは「顧客満足の先に営業利益が最大化する」という理論を確立した、フィリップ・コトラーという経営学者の考え方が基となっています。顧客満足を追求するためその行動を調べて分析し、戦略を立てることが現代の基本的な経営戦略として浸透しています。
効果を得るためには事前に目標を明確にしておく
マーケティング活動は、あくまでも企業全体の業績目標を達成するための手段です。ですからマーケティング活動を効果的に行うためには、事前に行う目的・目標を明確にしておかなければなりません。それを踏まえた経営戦略の理想的な流れは次の通りです。
経営戦略の理想的な流れ
①目的を明確にする
②業績目標(KGI)を定める
③マーケティング活動を行う
④改善策を考案する
マーケティング活動の流れ
マーケティングを行う目的や業績目標を定めたら実際の活動に入ります。活動内容は多岐にわたりますが、以下の流れに沿って動いていきます。
市場調査→戦略設計→広告宣伝活動→効果測定
戦略設計の段階をマーケティングと呼ぶ見方もありますが、本記事では一連の流れ全体をマーケティングと指します。
市場調査
はじめのステップとして、市場調査を行います。市場調査とは、自社が参入する市場における顧客の傾向・ニーズを知ることです。ターゲットである顧客が本当に必要としてるものを正しく知ることで、以降のマーケティングを効果的にします。大まかな流れと方法は以下の通りです。
市場調査の流れ
①調査する目的・ターゲットを明確にする
②仮説を用意する
③予算とコストを決める
④必要なものを準備・設計する
⑤調査の実施
⑥分析・検証をしたレポートの作成
⑦戦略設計に繋げる
調査方法の例
インターネット上でのアンケート
会場調査
インタビュー
対象の行動観察
大切なポイントは、事前に知るべき情報を整理し、調査する目的と対象(ターゲット)を明確にすることです。その際、「今後どのような市場にチャンスがありそうか」「具体的に社会にどのような構造変化が起こりそうなのか」「その中で顧客がどのように変化しそうか」に注目します。
また、聞きたいことに対しての仮の答え(仮説)を用意しておきます。以上の2点を怠ってしまうと、調査結果を扱うときに活用の仕方に迷ってしまう可能性があるからです。
戦略設計
市場調査で得られた情報をもとにマーケティング戦略を立てます。「誰に、何を、どのくらいの価格で、どのように提供するのか」を決めることが目的です。代表的な戦略の流れである「STP-4P」に当てはめて簡潔に解説していきます。
マーケティング戦略の流れ(マーケティングプロセス)
①、外部と内部に分けて環境分析をする
②、適した市場を見つけるために顧客を小集団に分ける
(セグメンテーション)S
③、適した市場を選び出す(ターゲティング)T
④、他社との差別化を検討する(ポジショニング)P
⑤、提供する価値、方法・手段を決める
(マーケティングミックス)4p
⑥、業績達成の中間目標(KPI)を定め、施策を実行する
まずは誰に提供するか、参入市場を決めていきます。
そのために①「自社を取り巻く環境」や「社内の状況」 を分析し、自社が強みを発揮できそうな市場機会を発見します。
顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点から分析を行うことが一般的で、頭文字を取って「3C分析」と呼ばれます。
分析ができたら②不特定多数の顧客をニーズや特性などに応じて細分化し(セグメンテーション)、その中から③どの顧客に提供するのかを考えます(ターゲティング)。
次に、他社と差別化できる要素を探すため、競合調査を行います。調査をしたら、④競合他社に対しての自社の強み・優位性をまとめ、明確にします(ポジショニング)。その際ポジショニングマップを作成すると把握しやすくなります。
市場環境を把握し立ち位置を明確にしたら、⑤具体的に自社が何をすべきか、提供する価値・その方法・手段を決めます。どのように決めていくかというと、下の4つの要素を混ぜ合わせ、施策を企画・立案し分析を行います。(4つのP=マーケティングミックス)。
製品・サービス(Product)
価格(Price)
販促方法(Promotion)
場所(Place)
戦略を立てることができたら、⑥業績を達成するための中間目標(KPI)を定め、戦略を実行に移します。中間目標を定める理由は、のちの効果測定の段階で、どのぐらいの効果があったかを見極めやすくするためです。
広告宣伝活動
戦略を実行に移したら、商材やサービスを知ってもらうために広告宣伝活動を行います。いくつか種類があり、目的に応じて使い分けます。
広告宣伝
広告宣伝はメディアを通じて、自社や製品の特長を広めるために行う活動です。内容は自社が決めるため、伝えたいことであるメッセージ性を強く打ち出すことができます。
用いられる媒体の例
マスメディア広告:テレビCM、新聞、雑誌、ラジオなど
広告費を支払い、外部メディアの広告枠に掲載してもらいます。費用はかかるものの、マスメディアの影響力により高い費用対効果を得られます。
Web広告:リスティング広告、アフィリエイト広告、ソーシャルメディアなど
潜在的な需要を引き出すことができます。自社が獲得したいターゲット層に向けた、細やかなアプローチが可能です。
販売促進
購買へ至るまでの動機付けをし、促すことです。顧客の購買モチベーションを高め、実際の行動へと誘導させます。相手の反応を見ながらアプローチできますが、売り込み感を出し過ぎないように注意が必要です。
用いられる媒体の例
POP(店内装飾)
新聞折込、ポスティング
フリーペーパー
DM(ダイレクトメール)
オウンドメディア(自社SNSやウェブサイト 、ブログなど)
効果測定
最後に、これらの活動が「売上に実際に結びついていたのか?」「どんな効果が得られたか」を検証します。例えば 活動にかかっていた費用と、それによって得られた売上を算出して、費用対効果をはかります。売上との直接的な関係を出せない場合、「ブランド認知度」や「見込み客の獲得」など売り上げにつながる指標を測定します。
重要となる指標の例
ブランド認知度
クリック単価、直帰率( Webサイト運営などの場合)
商品・サービスを購入した割合
広告の費用対効果
マーケティング活動を実施したまま放置せず、効果測定を行うことで今後立てる戦略の改善に役立ちます。有効性や強み、改善すべきポイントが浮き彫りになり、次回に向けてより効果的な活動へとつなげることができます。
まとめ
顧客起点で売れる仕組みを作ることがマーケティング
目的は顧客満足の先にある営業利益の拡大
活動を効果的に行うためには事前に目的や目標を明確にすることが大切
マーケティング活動の流れ
市場調査:顧客の傾向、ニーズを知る
戦略設計:「誰に、何を、価格、提供する方法」を決め、実行する
広告宣伝活動:商材やサービスを知ってもらう
効果測定:実際に売上に結びついたか、効果が得られたかを検証
マーケティングと聞いてとっつきにくいと感じていた方は、ある程度の流れを知ることができたでしょうか。規模はまるで違いますが、活動前に調査設計をして準備すること、活動後に効果検証し次に生かすことは、私たちの生活においても応用が利きます。もしかしたら、自身の生活と共通点を見つけつなげて考えると、マーケティングが身近に感じられるかもしれません。
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