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【給料推移編】2020年からのデザイナーの生き方予想3

私的2020年以降のデザイナー給料予想は、『2020年以降の平均は、微増が僅かに(3〜5年)続き、その後微減』と考えています。
2020 ↗︎微増 2025 横ばい 2030 微減

要因は、
しばらくの間は、UIデザインに対してのリプレイス需要が起こると考えているため、評価されやすい。受託しやすい時期が数年ぐらいは続くのではないかというところです。かつてのシリーズ記事でも書きましたが、UXやUIに関しては、デザインのコストというより、コンバージョン(購入率など)を改善するマーケのコストを当てやすいためです。
デザイン性、アート性&審美性を一般の人が理解、感銘して導入し始める、という楽観的な話ではないと考えています。
結局のところ数字の世界はそれよりはシビア(好きか嫌いかというよりそもそも優先順位をあげられない)であり続けると考えられる。

ここ十数年ほどで、デザイナーの評価がぐっと上がったのは、『ウェブサイトの導入の常識化』があったと記憶しています。
かつては大手企業ですら、ウェブサイトにチラシのスキャンを掲載していました。しかし今は、ウェブファーストが当たり前です。

この2000年代にあったような『ウェブサイトの導入の常識化』に比べると、『UXやUIの改善導入』は、”導入しない”という判断がしやすいものだと思っています。
なぜなら、そもそもコンバーション(購入率など)はビジネスがそこそこできており、回ってる状態で投資しやすいものであり、金も時間もない会社はその判断に至る前に、ビジネス自体への別の投資をするのが常識、定石であるかと思います。

一方、ウェブサイトを持つとは、ECも含めると、認知だけでなくそもそもお店を立てる行為、商売の基幹と考えられる
が、
UX、UIを導入するとは、お店を持った上での店舗の導線設計という次のステップの話かな、ということです。
ここでのUXとは広義のブランディングなどは含まず、プロダクトに紐づくペルソナ作りあたりからの話で、会社の在り方自体体験(エクスペリエンス)には置いておりません


当記事は、下記の長文予測シリーズです。
2020年からのデザイナーの生き方(予想)
【スキル編】2020年からのデザイナーの生き方(予想)


ここまでをまとめると、
UX,UI投資を検討していた大企業が、海外・スタートアップの様子を見て、ある程度大規模な改善をここ数年でプロジェクト化する可能性があり、経験のあるUX、UIデザイナーにバリューがつくのではないか?それが微増への主要因になるのでは?という話です。
ただし、皆が上がるのではなく一部の人が牽引する傾向が強まるのではないか?

遅ればせながら、平均年収の推移を見てみましょう。
デザイナー
2000年 431万 > 2017年431万 
全体(サラリーマン)
2010年 412万 > 2017年 432万
まあ、n(調査数)が少なかったり、多少のブレはあると思いますが、だいたい一般と変わらないという感じでしょうか?

かつては、私は、200万ちょいぐらいの年収だった気もしますが、平均400越えともなると、なんだが個人的には上がっているような気もしますが、それは、その時の年長者がもらっていた?ということでしょう。
最近の人たちにとっては、上記年収はどう感じるのでしょうか?

時々、デザイナーの基本給料が低いとか、低くないとかという話題がネット上で出ます。主に年収が低いという感じる時に、海外(サンフランシスコなど)のデザイナーの給料を参考とするのかもしれません。
デザイナーについては、少なくても私がキャリアを続けているここ13年ぐらいでは、国内では1,2番の盛り上がりを見せているように思います。
一番は、『ウェブサイト導入常識化』、そして、『UXUI導入によるデザインの数字計算化』の流れかなと。

あくまでもオススメですが、サンフランシスコなど海外との比較は今後も鵜呑みにしないほうが精神衛生に良いと思います。
ここは鉄板の理由なのですが、物価も国も制度も違うので、同じ人、同じスキルで日本人であれば、日本が概ね一番良い待遇を受けることができると思います。一部の天才は別かと思いますが。

参考までにいうと、
私の知っている上海(2013年ぐらい)だと、平均年収は140万円ぐらいでしたが、外資のクリエティブディレクターは、1,300〜1,800万円ぐらいでした。年齢でいうと、29〜40歳ぐらいまでです。それ以外の人は軒並み安いです。
クリエイティブディレクターがもらえる理由は、1〜2年の短期で、ビジネスで圧倒的に不利な状態をデザインでなんとかしろと任されている特命的なポジションであるためです。結果が出せないとクビですし、年収は一年働けけないともらえません。( > 当たり前ですが、外国のグローバル系で働いたことのある人には同意してもらえると思います。)
外国人の場合は、早く次を見つけないと国外退去
ですし、国をまたいで高いポジションの面接するなら飛行機代・ホテル代もかかります。
テレビチャットや電話で行うこともありますが、ディレクターレベルだと直接面接は不可避でしょう。
それら特徴・リスクが含まれているため高い。『毎月が手切れ金』そんな感じで働いていました。
その他は、
・ライバルもどんどん入ってくるし、勝ち残るのは少数派
・法律の知識、タブーの知識が薄く、国籍がない危険性が常につきまとう
・医療がめちゃくちゃ高価、クオリティが低いなどなど
・空気、水、食料、治安のクオリティが低い
などなどが、海外の高給には付随するケースが多いと思います。


日本はここまで大胆な差は作らない(作れない)
と思いますが、
今後は流石に、同じデザイナーでも、同じエンジニアでも、同じ年齢でも、その人の経験値や再現性への期待から、幅は当然のように広がるのではないかと思います。
それは、過去にどれだけのリスク・責任をとったか?どれだけの冒険をしたか?であり、世界のどこでも、どの業態でも、評価される基準であると思います。

給料予想オーバービュー

『2020 ↗︎微増 2025 横ばい 2030 微減』の内容で重複する部分もあります。
今後、数年は平均は上がり、長期的見ればもらう人とそうでない人のコントラストが強まり、平均は下がるいわゆる、海外型に近づく。
終身型で勤めるというより、個々がキャリアを意識し、やりたいもの、やっておくべきものを念頭にしながら、働く
これは新卒ぐらいから皆意識が高まらざるを得ない状態

優秀な人ほど、今だけでなく、さらにその先を考えるので、雇用側(企業)としては、単純に潤沢な給料と福利厚生を用意すれば、だれでも雇える時代でなく、それ以外のプラスアルファ(社会的意義や、次の昇給につながる名誉あるプロジェクトなど)の提供ができるかが、企業側での競争力になるのではないかと思います。
逆にいいプロジェクトを提供できていれば、給料は安くても応募はたくさんくるのではないかと思います。こちらも海外的傾向であると言えます。

人の定着が下がるのは、海外も等しく苦慮しているようですが、誰が意図せずとも、そういう構造が総意で形成されているかなと思います。
『世界的に、いかに魅力的な企業でも、人の流れは止められない』ということです。
そのため、個人または企業がどうあるのか?何を目指しているのかをクリアにメッセージングし、常に発信しなくては、採用で明確な勝ち負けがでることでしょう。

短い時間で会社に馴染んでもらう努力、なじむ努力この辺りが、日本でもニーズが出て、しばらくはそこのパッケージづくりなんて商売が出ることもあるかもですね。
ここが今年の流行にHRテックが入る要因でしょうか?

昇給・減給要因予想 ※2025を想定

※あくまでも危険な予測なので悪しからず。フィクションとしてお楽しみください。とは言え、評価せざるを得ない項目を、思いつくところで、書けるようにはしたいと思います。

単純に下がるというのは、ポスト、転職先が見つかりにくくなるという致命的なものも含むので、今からマイナスいくらかという単純計算に収まらないものもでてきます。

昇給要因
・有名なサービスの失敗経験(年収100〜増)
有名であるということは、一定以上の投資があり、それを活用した上で、失敗したということですから、デザイナー個人のスキルというより、その失敗談に勝ちがつく可能性は十分にあります。

・有名なサービスの成功経験
(年収200〜増)
200以上伸びる可能性は高いと思います。
我が社でも成功してくれるよね?という期待も乗るためです。
ただ、何回もうまくいかないと、なんでだろうと会社から疑念を持たれてしまうことも。そもそも事業というのはあんまりうまくいかないものですので。

・有名でないサービスの失敗経験(年収20〜増)
聞いたことないサービスでも、やったことのある。やりきったことのある人は、評価
されそうです。若者は特に。

・有名でないサービスの成功経験(年収100〜増)
場合によっては、有名なサービスの成功事例より評価されます。
その場合は、一気にデザインの執行役員ぐらいまで行くのかもしれません。ただ日本だといくらかは知りません。1500ぐらいでしょうか。

・複数のサービスの創業期を経験
(年収100〜増)
ジョブホッパーと取られないレベルといくつか経験してるのは心強いと考えられます。3ヶ月〜半年の転職の連続は、2025年でも日本では受け入れられてはいないと思います

・海外で学業経験
(年収20〜増)
この経験は年収というより、いい会社に入れる可能性が高いというイメージです。いい会社に入った後に、語学を使わなくなる場合、その後数年でこの経験はほぼ無価値になります。

・海外で就業経験
(年収50〜増)
この経験を売りにして、どこかに入社する場合、語学や、特殊な知識を持っている可能性があるので普通に高くあり続ける
のではないかと思います。かなりの確率でディレクターレベルもあり得るので、一気に倍近くまで伸びるなどもあるかもしれません。400 → 800とか。500 → 1000とか。

・若さ (年収30増)
現状日本では、若い人の年齢を上げる動きが広がり、同時に年長者を下げています。ただしこれは、若い人に対して期待をしているだけであり、現在の評価をしているわけではありません。昇給に見合わなければなんらかの調整をされる可能性が高まります。基本的に期待されることポジティブなものです。

■減給要因
・加齢 (年収50〜減)
私を含めて、しかたないやつです笑。正直、今までよりも、ややシビアに見られる傾向が強まるのではないかと思います。年齢を経る以上に経験、冒険でバリューを見せる必要であるということになります。

・全く同一の環境・プロジェクトで、5年以上いる
(年収50〜減)
業界によっては、5年は短いのですが、速い業界、デザインに金を張れる業界からしたら、同じプロジェクトを続けている人の経験の厚みに疑問を覚えられてしまうかもしれません。ただし、海外のように、半年、1年でぽんぽん辞めるのは、日本ではしばらくは受けいられないでしょう。
これも下げ幅としては、ポストが見つからないなどがありえ、50というよりもっと大胆に削れる可能性もありえそうです。

・手を直接うごかせなくなる(年収0〜減)
こちらはディレクターにならないと、致命的な要因
になり得ます。
また独立するときも同様です。デザイナーというより、組織を作る役職、プロジェクトマーネージメントする役職に映る場合は、年収はむしろ増えると思います。

・新しい流行 /デバイス/技術への不適応(年収0〜減)
こちらはIT業界では致命的になり得ます。また独立するときも同様紙や印刷のプロフェッショナルになることで生き残ることは可能だと思いますが、金銭的な評価はしにくいというのが経営や発注側の心理ではないかと思います。

・大企業のみでの経験(年収0〜減)
こちらは2020年からしばらくは、マイナスなんて全然なさそうですが、人の流動をする中で、2025年それ以降は、同じような規模の会社を横にスライドしているだけだと、経験のバリエーションの少なさについて疑問に思う人事もいるのかもしれないです。
ただし海外のようにフリーランスの社会的地位が、独立したスキルを持つ人間として上がるまではまだまだ先
かと思います。

職務履歴にあると評価が増すと思われる職種
・サービスのデザインリード
・サービスのプロダクトオーナー
・スタートアップのデザインリード
・起業経験のあるデザイナー(荒唐無稽なものでない)
・海外実務経験のあるデザイナー
・有名文系や建築系大学を出ているようなデザイナー
・学生のうちから働いているデザイナー
 ※キャリアを自分で就職前に考えている

のようなものがあり得そうですが、ものによっては、ポストの数も少ないので競争と巡り合わせの運は不可避な気もします。

まとめとか

意外なことかもしれませんが、デザイナーが評価されるのは、実は、スキルというより、その人が他社の秘密、成功の秘訣、失敗の要因を知っているかに、再現性への期待にバリューがつくと思います。
これはどの業界でもあり、いわゆる経験というものだと思います。

お金を払える人ほど、大手ほど、失敗を自社ではして欲しくないので、他で失敗した人、成功した人に価値を払う

というのは、割と正常で手頃な投資判断だと思います。


今回は以上です
:)