【決定版】ブランドガイドラインとは?役割は?作成は?運用は?※参考画像付き
ブランドガイドラインとは、企業、事業、プロダクトごとに設定されるロゴ、名称、色、文字、使い方のルール、禁止事項などを設定するものです。
役割として、多面的に事業の効率化に貢献し、ブランドを形成する礎の一つでもあります。
これまでに著者は、主にアジア各地で数百のブランドガイドラインを見ましたが、現在、国内において十分なブランドガイドラインを作成できている企業は1割未満ではないかと思います。
企業や製品によってはガイドラインが存在しない、10年以上更新されていないもの、ブランドガイドラインをよくわからない人が作成したもの、社内外で運用されていないものなどが散見され、ブランドへの貢献度はは低いものが多いのが現実です。
コンテンツ立国の日本において、その状況はもったいないと考えこの記事を作成しました。
誤解のないように申し上げると、全ての企業・製品などにガイドラインが、必要なわけではありません。
ここまでで、なぜそんな面倒で直接売上にならないものを作成するのかと思った方も多いと思います。
実際に現在の商売やプロダクトに満足しており、拡大や引き締めも特に必要ではないという方は作る必要もないでしょう。イメージとしては個人経営のお店などは作る必要性は薄いと思います。
ブランドガイドラインの役割
ブランドガイドラインの役割は、ビジネスの効率化です。
様々な部分に貢献しますが、利益の大きなものを並べると、
・企業/製品に関する法律的な強度を上げる
・各種制作コストを最適化する
・会社と外部パートナー、会社と顧客のミスコミュニケーションを減らす
・ブランディングを効率よく行う
などです。
見ておわかりいただけるとおり、会社や事業が、販促や制作をせず、ほぼ金を使わない場合は、ブランドガイドラインから得られる利益は薄いといえます。
逆に、なんらかの販促、PR、制作を行ったり、基本的に会社を現在より業績を上向かせるような活動をしている場合には、あっていいものです。
ないと何が困るのか。それは上記の役割の逆となります。
法的なリスクが上がる。ブランドの領域でいうとフォントの訴訟はとても額が大きいです。
毎回、使う色を決めていないと同じ会社、商品と認知されずに広告費が無駄になります。さらに印刷代/インク代が上がったり下がったりもするでしょう。
そして制作を外部パートナーに依頼するときに外部パートナー達は迷います。
どのような色や形の製品を納品すれば、良いのかわからなくなってしまうため、説明のための時間の消耗が発生します。
つまり、個人経営などで自身でやり切れている方、大きくするつもりもない方にとってはわざわざ投資する必要がない。
中小企業であっても複数の従業員や外注が絡むような業務の場合や、支出が毎月あるようなビジネスの場合は、初期投資としてあって良い
という役割と必要性です。
具体的にいうとしっかりと最低限のものを作成し、運用もしっかりできれば、業態・規模にもよりますが、継続的に数%ぐらいの制作・露出効率化はできるのではないかと思います。
効率化の内訳は先ほどの通り、効率的認知、ミスコミュニケーション減、制作原価減などです。
ブランドガイドラインの作成
ブランドガイドラインには決まった形はありませんが、下にサンプルを使いながら説明します。
■ガイドラインの基礎(大きさと位置)
現代においては、A4横一がベストの一つです。
ブランドガイドラインは人々に共有されるものです。
A4に収まっていることで印刷に対応できます。これにより、工事現場などでも見ることができアナログの対応ができます。
そして横位置にしておくことで、パソコンでも見易いとなります。
ブランドガイドラインには、以下の情報が盛り込まれていなくてはなりません。
企業や製品ごとに個別の特別な情報(商品のキャラクターの情報など)を盛り込むことはしても良いのですが、最低限入れなくてはいけないものはあります。
■ロゴマーク
企業や製品を表す図形と名称などの文字が一体となったものです。
種類が複数ある場合は、それらも記載されていなくてはいけません。
下の図では、ロゴマークのコンセプトや禁止の使い方、色あり、色なし、白ベタなどを入れている事例です。これは、市区町村などとやりとりするのであれば、最低必要です。※仮の株式会社は、サンプル用に作ったものです。
■更新履歴
誰がいつどこを更新したのかを記入するもの。地味ですが超重要項目です。ブランドガイドラインは、かっこよくても更新されないもの、見られないものを作っても無意味です。
下のサンプルでは、ガイドラインとは何か?の説明から記載し、デザイナー以外の方にも守る意義を伝えています。
■ブランドカラーとカラーボリュームの設定
企業、事業、製品がどの色を使うのか?どれくらいの分量使うのか、です
まず色は下記、最低限4つは設定されている必要があります。
・Pantone = 世界で使える印刷の指定記号(例:
・HEX = デジタルデバイス共通の色指記号(例:
・CMYK = 印刷の指定記号の色の分量を示す値。(例:
※Pantoneと双方設定されていることでどちらが安いかなどを検討しやすくなる
・RGB = デジタルデバイスの色の分量を示す値。(例:
※HEXと双方設定されていることで、HEXが誤りではないか、微妙な差がないかなどを確認できる
既に色は決まっていて、上記がわからない場合は、変換した数値を出してくれるウェブサイトを使いましょう
公式Pantoneサイトの色変換ページは↓こちら。
https://pantone.jp/color-finder#/convert?colorSpace=rgb&pantoneBook=all
※デザイナー視点では、細かいズレはあるのですが、こだわることは時間と金もかかりますので、それは各自ご判断ください。
カラーボリュームとは上記で設定した色をどれくらいの割合でそれぞれ使うのかの設定です。
同じ色でも、赤9割:白1割と赤1割;白9割では別のものに見えるため大変重要です。ただし細かく指定しすぎると、イベント、ウェブサイト、印刷物などそれぞれ違うシチュエーションで合わせるのが大変になるので、緩めの設定(推奨設定)がベターです。
※下のサンプル、仮の株式会社では緑をたくさん使って白、グレー、黒も使うという設定になっています。
■フォント設定
フォントは訴訟が多く金額も大きいです。必ず契約をしているフォントをガイドラインに記載しましょう。特に外国でも商売する場合は最も重要な項目と考えていただいた方が良いです。
■ミスユース(使用の禁止例)
ブランドのロゴマークの禁止された使い方を一覧するものです。わかり切ったものでも書いておく親切さがブランドガイドラインの作り手には必要です。
表紙のデザインなどはそれぞれお好きに、会社や製品らしく作ってください。
ブランドガイドラインの運用
世の中のブランドガイドラインの中には、国内大手代理店や海外に発注するなどして数百〜数千万円かけて作られたものもあると思います。しかし、安価なものやお手製のものと隔たりなくほぼ活用・運用されていません。
ブランドガイドラインは継続・運用がないと無力です。
誰も読まない説明書に意味がないのと一緒です。
そのため、この記事の順番の通り、
役割を理解し、正しく(最低限)作成し、運用することこそが重要です。
事例と運用はデジタルや多様性が普及し続けている現代において様々な形式があります。
例を見ましょう
・ボストン市 ブランドガイドライン
ネットに公開し、市民が広く活用しやすくしている例。
これは、ブランドガイドラインの運用をかなりオープンに推進している素晴らしい例です。
しかし、一般企業から比べれば性格の違いからか、情報が多すぎる部分もあります。
https://www.boston.gov/departments/innovation-and-technology/brand-guidelines
・Twitter ブランドガイドライン
とてもユーモアがあり、twitterらしいと言えると思います。ただし、装飾が多いので、実際にうまく理解・運用できるのは、デザイン知識の高い人になるのかもしれません。
下記はtwitterブランドガイドラインのダウンロードページ
https://about.twitter.com/ja/company/brand-resources.html
・Youtube ブランドガイドライン
業態からブランドのロゴなどが頻繁にダウンロードされる前提のもの。様々な人が見る前提でごく最低限の物だけを規定しています。情報のシンプルさは大変参考になるのではないでしょうか。
https://www.youtube.com/about/brand-resources/#logos-icons-colors
まとめとさらなる上級のブランドガイドとは?
商売を広げる必要がなく、一人でやっている場合は不要です。
複数人や外注、契約先がある場合は、あった方がいいでしょう。
最低限のルールを設定し、誰もが理解しやすく見れる場所にガイドラインを設置できた上で、さらなるブランドガイドライン上級者を目指す場合は、独自のキャラクターの情報、ロゴの由来、会社や製品のミッションなどを記載するのも良いでしょう。
また、なるべく多くの媒体やデバイスで見れる形式を意識しましょう。
たくさんの人が様々な状況で見れることも大変重要です。
あとは、かならず読み手のことを考えた『優しさと易しさを大事に』して情報を入れ込みましょう
以上です。
参考になれば幸いです。
※ブランドガイドラインのベストな形は時代とともに変化します。そのためこの記事に手を入れることもありますのでご了承ください(2020.09)
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