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家族の肖像:僕の大好きなビル・マーレーと聖夜はすごそう。
ビル・マーレーってそんなにメジャーな俳優ではないが忘れられない。「三人のゴースト」と言う映画は、「スクルージー(クリスマス・キャロル)」を現代に翻案した映画だ。クリスマスにピッタリのお話である。今日のおすすめは、「ヴィンセントが教えてくれたこと」である。
誰もが老人になる
いつか人生の終りがくると言うことをどうして思いつかないのだろうか。僕はII型糖尿病で失明を宣告された。食事を作れなくなってきた母に食事をつくり、2016年母は亡くなり、2020年父も亡くなった。歳を取るということがどんなことなのか少し分かった。
ちょうどその時期にこの映画と出会ったのである。
おそらく、僕と妻は死に別れる。二人同時に死ぬ確率は低い。問題は生き残った時に僕を知っている人間がどれだけ残っているかだ。
自分の知り合いが次々と鬼門に入ることは仕方がない。しかし問題は自分が何者であるのか知っている人が居なくなることだ。
母も父も友人や知り合いが多かった。しかし、鬼門入りの順番は最後であった。知人は既に亡くなっていた。葬儀にも、友人はもう来なかった(子供さん達が来た)。
母の友人たち。一番左、若く僕の娘の年ごとである。
父は、毎日、僕の家で食事をした。もう何も作れないから来ては好きな酒を飲んで話をして帰っていっった。
僕は認知症と言われる状態は「孤独」に対する身体の当たり前の反応だと思う。
時間も日付も分から無くなっても問題はない。だって、必要ないのだから。誰との約束もなく、思い出の記念日も関係なくなっていく。
やがて自分と世界の境界は消えるのだ。
映画は世につれ世界を写す
数年前から、「家族」というものが映画でどう描かれているのかということを考えるようになった。明らかに、「家族」が失われている現実に多くの人が助けを求めている。
「ヴィンセントが教えてくれたこと」は実に素晴らしい映画
今の時代は、「自分が何者であるのか」覚えていてくれる人が居なくなった時代である。ほんとうの意味の孤独だ。
形式的には名前程度は覚えていてくれる人もいるだろうが、共に生きて泣いて笑って助け合った家族は居ないのだ。
今や家庭は、買ってきた食事を食べて、パートナーとセックスして、ゴミを出して、会社行って眠りに帰ってくる場所である。
子供を育てると言っても
「とうさんのようになっちゃダメよ」などと言われるか、
「遺産の争奪戦のために親にこびう売る」子供かのどちらかになる。
まあ、ダメおやじにはなりたくないが、有名人の子供が不良になったりするのを見ると憂鬱な気持ちになる。栄華の限りを尽くしても、やがて年取って年金のATMとなって施設で誰も来てくれないままに胃瘻したまま小さくなって孤独に死ぬのだ。
とは言ってもその頃にはもう自分の意識もなにもないだろう。今の僕たちは、生きながら年寄りを施設に隠す。ピラミッドにミイラ隠していた文明をバカにすることは出来ない。
子供は20歳くらいで外に行き帰ってこない。共に生きていなければ親と言ってもただの汚い年寄りだ。僕は父を風呂に入れ食事を共にして様々なことを知った。亡くなったときの遺体を触ることになんの抵抗もなかった。ちうよりも。愛おしかった。父の身体から霊が離れていくのが感じられた。
やっぱマイクロバイオームだ。
家族というのは、その時の関係性で生まれる。衰え孤独に生きる自分を助け、現実に向き合う家族を励まし、共に生きる姿なのだ。
この映画の最後に近いところで、引っ越してきてシングルマザーと生きるオリバー(隣家の子供)はスピーチの中でヴィンセントの人生を自分の未来に重ね生きる決意を話す。ヴィンセントは、理不尽な世の中と戦い続けているのだ。そしてその姿は、人の心に大事なものを植え付けてくれる。自分で向き合わなければ奴隷の人生である。
学校では「上に従順である生き方=忖度の奴隷の生き方」しか教えてくれない。教師はそういう生き物だ。そして世の中はそんなものだと諦めてしまう。
そうでな生き方もあるのだ。僕はまともに人と同じことも出来ない負け組の糖尿病と言われ続けてきたが、おかげで、そうでない生き方(権威を疑問視に思い、自分を貫く生き方)があるという事を知ることが出来た。
誰かの利益のために忖度する生き方は自分を少しずつ殺す。「うつや統合失調症」は「誰かの利益のために忖度させられ」自分の大事なものを失うことに対しての当たり前の心の反応なのだ。
まずは見て頂戴。素晴らしい映画だ。
憂鬱な時代を少しだけ忘れさせてくれる。
とにかくすばらしいのは「ハラポテ夜勤の人」を見事に演じたナオミ・ワッツであろう。彼女が素晴らしい。冒頭のシーンは衝撃的である。色物かと思わせるが、彼女はヴィンセントにとってのマリアなのだ。彼に人生を与えてくれたのは彼女とオリバーなのだ。ヴィンセントが見つけたものを思うと、涙が止まらなくなる。精一杯自分を貫いて生きた彼への贈り物なのだ。
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